第6話 マリ

カズマが『Highpressuregun』を完成させた頃、サンライト城の王室にはAシェルターからの早馬が来ていた。




使者:「Bシェルターからモンスターが攻め入り、我がシェルターはもう・・・」




Aシェルターからの使者は肩を負傷していた。


息も絶え絶えで、サンライト城の守衛にもう片方の肩を抱えられている。


サンライト城の帝王の娘マリは険しい顔でAシェルターからの報告を受け、使者を労った。




マリ:「ご苦労だった。今はもう治療に専念してくれ。」




役目を果たした使者は守衛に抱えられて医務室へと運ばれていった。


ハーと深いため息をついた後マリは他の守衛達を呼び、全員に非常事態を告げた。




守衛A:「モンスターか・・・そんな奴とどう戦えってんだ・・・」


守衛B:「大体何で他のコミュニティーを襲うんだよ。迷惑な話だ。」




兵士達の間でどよめきが起こり、動揺がおさまらない。




マリ:「Aシェルターが陥落したということはこの城にもいずれモンスターが押し寄せる。何か対抗手段を考えねば我々も同じ末路をたどる。まずは城壁をより堅固にせよ!そしてAシェルターの生存者は我が城で受け入れる。」


守衛A:「わかりましたマリ様」




マリの指令でひとまずその場は落ち着いたが、守衛達の表情から不安は消えなかった。


守衛達が城壁を固めに出ていく中、守衛隊長のドグマはマリの下へ近づき声をひそめた。




ドグマ:「マリ様、私はAシェルターの難民受け入れには反対です。」


マリ:「なぜだ?」


ドグマ:「Aシェルターの人間を受け入れる程我々も豊かではありません。食料や住居などが不足してしまいます。我が民からもいずれ不満の声があがるでしょう。」


マリ:「我々の状況はわかっている。貴様の言う通り避難民を受け入れるのは厳しいだろう。だがもし我々がAシェルターの立場だったらどうだ?そう考えると放ってはおけないのだ。我が民には私から説明する。この状況を乗り越える為にも皆の力を貸してくれ。」


ドグマ:「わかりましたマリ様。」




そういうとドグマは一礼をしてその場を退出した。


マリは鎧を手に取り自らも武装する。


前帝王が亡くなり、その職責の全てをマリが抱えることとなった。


元々男性性の強い性格だったマリは王女として暮らす事よりも武道をたしなみ、日々鍛錬していた。


褐色の肌は女性独特の艶があったが、しなやかな筋肉が発達しており、野生の豹を連想させた。


ぼさぼさの髪をまとめ、刀を腰におさめる。




マリ:「女など捨てたはずなのにまだ・・・」




そうつぶやくマリの口元はゆがんだ。

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