第5話 情報収集

カズマは『開かずの間』へ戻り、コンピューターから情報収集をしていた。


世界核大戦による地盤の隆起により日本列島は北海道、本州、四国、九州が地続きとなった。


地上に出てきた人類はこれを「ヤマト大陸」と呼ぶようになった。


ヤマト大陸には10のシェルターが点在していて、そこで生き延びた人びとは独自のコミュニティーを作っていた。


A~Jのシェルターの中でサンライト城はJのシェルターの上に建設された。


Jのシェルターの人々は世界核大戦を科学技術による人間のおごりと自分たちを戒め、科学を捨て自然と共に生きる道を選んだ。


シェルター内部も城と同様の石で固め、資源プラントを使用せずに地上の畑を耕し、家畜を増やすことに成功していた。


『開かずの間』と呼ばれるコンピュータールームは万が一の時に使用できるように残されていたが、地上での活動が軌道にのると封印された。


Jシェルターの政治体制は民主主義体制であったが、城の主を帝王として祭り上げていた。


しかし現在帝王の座は空位となっており、前帝王の娘が政務を行っていた。


サンライト城の住人達は農耕と牧畜を生業とし、たゆまぬ努力により地表に生命を復活させた事に誇りを持っていた。


また自然に存在する力を信じる事で白魔法を習得し、多少の傷を治癒できる回復魔法を使える僧侶もいた。


マナも僧侶の一人であり、わずか13歳で白魔法を習得したため。『神童』と呼ばれていた。


カズマがこの時代に召喚されるきっかけとなったBシェルターはサンライト城の北西の方角にあった。


近年Bシェルターのリーダーは自らを「覇王」と呼び、大陸全てのシェルターを支配する事を目論んでいた。


長い間Bシェルターは最寄りのAシェルターに幾度となく侵略を試みていたが、失敗に終わっていた。


しかしBシェルターでDNA操作が行われた事で事態は急変する。


DNA操作で生み出されたモンスターの軍団は人間の戦闘能力を上回り、Aシェルターは降伏せざるを得ない状況に追い込まれた。


その猛威はいずれサンライト城にも及ぶであろうとコンピューターは判断した。




カズマ:「現在のJシェルターとBシェルターの戦力の差は?」


コンピューター:「現在のBシェルターの戦力はJシェルターの3倍です。」


カズマ:「まあモンスターの身体能力に比べりゃ人間はそんなもんか。こちらの武器は何がある?」


コンピューター:「Jシェルターは農耕民族なので武器は鍬や鎌です。帝王守護隊が剣と槍、弓、斧などの原始的武具を使用します。」


カズマ:「Bシェルターの武器は?」


コンピューター:「同じく剣と槍、弓、斧などの原始的武具ですが、鋭いキバや爪を持つモンスターもいます。モンスターのキバや爪には毒を持つものもあり、毒に侵された者は最悪死亡します。」


カズマ:「Bシェルターのモンスターの種類はわかるか?」


コンピューター:「現在確認されているものはオーク、ゴブリン、リザードマン、トロールの4種です。」


カズマ:「その4種の詳細な情報を出せ。身長、体重、能力を人間の成人男性と比べた場合の数値でな。あ、写真もつけてくれ。」




コンピューターがモンスターのステータスを算出している間、カズマはマナが用意してくれた食事を食べていた。




『意外だな・・・質素だが美味い。』




モニター画面にモンスターの画像とステータスが表れる。


人間が真正面から挑んで勝てる相手ではなさそうだ。


絶望的な能力差にカズマは眉をひそめた。




『アレが作れれば・・・』




カズマ:「資源プラントにアクセスできるか?」


コンピューター:「はい、可能です。アクセスします。」




モニター画面に資源プラントのメインメニューが表示される。


カズマはメインメニューの「design」をタッチした。


「design」メニューが表示され、カズマはある物を探した。




『あった・・・』




カズマが探していたのは「gun」


さらに「gun」のメニューを開くとカズマはニヤリとした。


『Highpressuregun』


「こいつを二つ作る・・・っと」




カズマがコマンドを入力すると4Dプリンターが起動する。


起動した4Dプリンターは徐々にガンを作り上げていく。


その様子を見ているカズマの表情は子供の様に輝いている。


『Highpressuregun』の作成が終了すると、プリンターの扉が開き、中から二つのガンが表れた。


カズマはやや興奮した様子で二つのガンを手に取る。




カズマ:「これでイケる!」




そう言ってカズマはガンを腰につけていたホルダーに収める。


ゲーム用のホルダーに『Highpressuregun』はピタリと収まった。

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