第3話 サンライト城

真っ暗なサンライト城の中をカツーンカツーンと足音が鳴り響く。


燭台の薄い明かりを頼りにマナとカズマが廊下を歩いていた。




マナ:「ここは一般の住民は立ち入りできない階層です。主に僧侶達の部屋があります。私も僧侶です。」




マナは嬉しそうに早足で案内するがカズマは話を流して聞いていた。


それよりも闇の中で燭台の明かりが照らし出した風景を見て考えを巡らせる。




『この建物の内装は確かに城だ・・・以前パリで見たヴァンセンヌ城とそっくりだ・・・俺はタイムスリップしたのか?』




カズマは奇妙なことに気付いた。




『窓がない・・・』




城の中が真っ暗なのは夜だからではないようだ。


マナの部屋もそうだったが窓が全くなかった。


廊下の突き当りまで来ると大きな扉があり、その横の壁に何かのボタンがついていた。


マナがそのボタンを押すと扉は横にスライドし、小さな部屋が現れた。


いや部屋というよりこれは・・・




『エレベーター?』




カズマの考え通りそれはエレベーターのようだった。


マナはエレベーターにのりこみ、カズマもそれに続いた。


マナがスイッチを押すと扉が閉まり、エレベーターが動き出した。




『これがエレベーターってことはこの時代は中世じゃないのか?中世以前の古代文明には科学技術が発達してたらしいとかいってたから古代なのか?』




エレベーターは動き出したが、ここでもカズマの予想は裏切られた。


エレベーターは上にのぼらずに下へ向かっているようだった。


しかも一階二階の下りではないようだ。


結構なスピードで下へ向かっているらしく10階以上下っていると思われた。


ようやくエレベーターが到着すると扉が開く。


扉の向こうには岩の洞窟が数メートルのび、南京錠をかけた木製の扉があった。




『やれやれ・・・また中世の文化に逆戻りか』




マナ:「この扉の向こうには『開かずの間』があります。『予言の書』では『開かずの間』に入ることができるのは勇者様だけとあります。」




マナはやや怯えた表情で首にかけていたペンダントを取り出した。




マナ:「わが一族でも『開かずの間』の扉を開けられるのは私だけです。この扉の鍵は私が肌身離さず持っていました。」




マナは震える手でペンダントを開き、中から南京錠の鍵を取り出した。




マナ:「予言の書では勇者様の出現を発見した者が、勇者様を開かずの間へ案内すると書かれています。勇者様に城を案内しろと言われてこの事を思い出しました。」




カチリと南京錠を開け木製の扉を開く。


扉の隙間から煌々とした光が漏れだす。


そこから先は全く別の世界への入口だった。




カズマ:「なんだコリャ?」




カズマは目を疑った。

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