コックVSドラゴン
男はシモン=シガールと言った。
彼はかなりの美食家として有名だった。
あらゆる美食を喰らいつくした。ところで…………飽きた。
どれもこれも同じような味、同じような形、同じような………兎に角全ての料理が同じような、ありきたりに見えてしまったのだ。
食べて光景が見えない。
食材になる前の獣たちが生きて来た景色
それを狩る人々
食材を調理するコック。
全てが霞の中、深淵の底。
彼はその霞の中に、深淵の底に沈むことを決意した。
要は、自分で獲物を狩り、
自分でそれを解体し、
自分で調理し、
自分で味わおうとした。
そうして彼が手初めに狩ったのは…………何故かドラゴンだった。
調理場のドラゴン肉なら見た事が有った。
死んだドラゴンを解体したことも有った。
しかし、息をしているドラゴンは初めてだった。
私を消し炭にせんと炎を吐き、
引き裂かんと鉤爪を伸ばし、
空から叩き落そうとした。
ドラゴンの吐息の熱さ
爪と盾がぶつかり合い、火花を散らし、手足を痺れさせる重量
空を飛んだ時の足元の心許無さ。
全てが生の実感であった。
私は包丁(大)で炎を打ち返し、
鉤爪を盾(まな板)で弾き返し、
空から叩き落そうとしているドラゴンの頭に無理矢理乗って素手で殴って墜落させ…………
目を回したところで隙を突き、包丁(大)で首を一刀両断!
そうして今に至る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます