小鳥遊さんは遊びたい!

雪月華@33331111

第1話 小鳥遊さんは挨拶したい

春、桜の咲く綺麗な川。

俺はこの道を通ることを心待ちにしていた。

「・・・今年もきれいだな・・・」

俺は椿 夕陽。変な名前だと自分でもわかる。

俺の母親の椿薫は夕日が好きだった。

だから俺の名前は夕陽なんだって、父さんから聞いた。俺の母親は儚げな美女で、俺を産んだ後その辛さから次第にやつれていき遂には死んでしまった。それでも死ぬ間際まで、俺のことを恨ますに愛してくれていたと父さんはよく俺に言う。俺の父さんは椿蛍。女みたいな名前といつも言われる。だがとてもイケメンで、今はもう四十になるのだが、再婚のはなしが今でも持ち上がる。でも父さんは母親に一途なのだ。

俺も、いつかそんな人に会いたい・・・

「・・・あの、すみません。」

「はい?」

突然話しかけられて、びっくりした。

制服は俺の入学する香桜学園のものだし、リボンは赤色。俺の同級生らしい。

「わ、わたし、小鳥遊心桜こはるって言います。と、隣の席の椿くん・・・ですか?」

隣の席かは知らない。だが・・・間違いない。この辺りには椿という名字はない。父の実家はそれはそれは名門で、父の兄・・・つまり俺の叔父さんは東京の本家で豪邸暮らし。ちなみにどれ程名門なのかというと日本全国何処へ行っても「椿」と名乗ればえっ!?となるほどだ。まあいわゆる財閥だ。椿財閥。

「うん。多分そうですね・・・小鳥遊さん。」

「あ、あの・・・っ!わ、わたし、、、。あっ、あなたを弄りたいんです!っ!わたしと遊んでくださいっ!」

「・・・は」

それはそれはおかしな告白で。俺が固まるのも道理で。春は気がおかしくなるやつがいるから小鳥遊さんもその一種かと思っていた。

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