コラム ―― 登場人物の容姿・描き方

 (ΦωΦ)紹介者でございます。


 以前容姿に関してボロクソ抜かしました。

 つらつらと書き連ねた容姿に関して、意味が無いし読み飛ばすと。

 とは言え、容姿を描く事でより一層登場人物の印象付けを図る、それ自体を完全否定はしません。

 書きたい人は書けばよいのですが、ただ、書き方があるのではと言う事で、今回は容姿を描く手段を少々。


 以下の文章の上段は多くの方がやりがちな、ただの

 下段は容姿のになります。


「艶やかで真っ直ぐに伸びた黒髪、陽光を反射し白さが際立つ肌、星が煌めくが如く輝く瞳」


「すれ違いざまに見るその瞳は星が煌めくが如く輝き、風に揺れる黒髪が時折陽光に照らされる白い肌を隠す」


 普段容姿の描写をしないので、例文が拙いのはご容赦頂くとして、上と下の文章の違いはご理解頂けるのではと。

 何が言いたいのか、と言えば上段の文は先に書いた通り、単なる説明に過ぎません。これで印象付けが成功するなどと考えるならば、物書きとして落第です。

 下は時間経過を伴う描写です。

 へたくそな例文は紹介者が日頃から書かない所為で、上手な表現が出来る方はきちんと描写しきるでしょう。


 動きの中で描写すれば物語はそこでも動いています。

 説明は時間が止まっています。話が進みません。


 この違いを理解すれば説明文が如何に駄文であるかご理解頂けるでしょう。

 きちんと描写していれば印象として強く残りますし、登場人物の性格や個性もそこで表現可能です。


 例えば、すれ違いざまに髪をかき上げる仕草をする。そのような女性をどう思うのか。

 ちらりと見やる、視線を送られた、などと言った文言を組み合わせれば、その女性は自分に自信があると認識も出来る訳ですし、もしかして気にしてくれたのか、などと思える訳です。


 そして、男性側の視線が女性を見た時にどう移動するのか。

 まず顔を見ませんか? 髪から入る説明が圧倒的に多いですが、視線の移動は顔面など顔のパーツ、そして髪や肌や服装へと移動しているはずです。

 ですが、書いている順番は髪から書く訳で、そこでは容姿を説明したいだけで、物語を考えた描写では無いのです。


 だからそんな説明に意味は無いし無駄だと吠えているのです。


 同じ容姿を描くにしても説明では印象も何もありませんね。単にああ、そう言う形なんだね、程度にしか思わないのです。

 説明では無い事が小説には求められるので、容姿を描きたいのであれば、動作に絡めるなど相応の表現を持ってすべきでしょう。


 但し、この手の詳細な描写を面倒臭がる人も中には居るでしょう。ラノベの読者は手っ取り早さを求める傾向があるので、敬遠される可能性は否めません。

 くどくど書かずにさっさと先へ進めろ、ってな感じでイライラしてしまう読者も、少なからず居る訳で、その場合はその時点で離れる事もあると思います。

 使いどころとしては、その表現を必要とする作風であるか、文章全体の雰囲気なども考慮するのが良さそうです。


 一度に全部描写せずに話の中で徐々に描く、そんな方法も勿論あるでしょうし、その方がもたつく感じも無く、受け入れられ易いかもしれません。

 最初の印象として瞳だけに触れ、次に話が少し進んだら髪の描写へ、そして肌や服装の描写をして行く事で、もたつき感が無くなる可能性はあります。


 描写に慣れてくれば如何様にも描けるでしょう。

 幾度も様々なパターンで描写し、自分なりの表現を見付ける事が大切ではないかと。


 以上、容姿はこれでお仕舞です。

 どうせ書くならば説明ではない読ませる容姿の描写を。

 結果的に表現力の向上に結び付きますし、コンテストでも注目されますよ、たぶん。

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