パイロット版「これがいつもの冒険だ!」 Part.7
数時間が経ち、ヤージマスの豪邸に向かって同じデザインの複数の宇宙船が宇宙から降りてきた。星間連合警察が通報を受け、ヤージマス達を確保しに来たのだ。
警察官が豪邸内に駆け込むと、ロビーの中心に胴と足を縛られて身をよじる以外の身動きが出来なくなっているヤージマス達がいた。中心人物であるヤージマスの額には「この者、極悪人也」と書かれた紙が貼られており、更には手紙が添えられている。
中身を確認すると、ヤージマスの悪事のリストが封入されていた。すぐに確認を取り、それが事実である事が判ると警察はヤージマス達をそのまま宇宙船まで連れていった。
そして警察は通報者およびヤージマス達を捕まえた者を探して邸内を捜索したが、人影は見当たらない。一部の部屋や廊下には戦いがあったと見られる痕跡が残っていたが、それだけである。
この様な状況による悪人の逮捕は、これまでに何件もあった。通報者はこれまでに逮捕した者達から証言を得ているので、何者か判っている。
星間連合警察が広域捜査しているスターリットの王女――エルフィネア・シス・スターリットと、彼女をかくまう者達。
オルトδから遠く離れた宙域をメガドラグーン号は漂っていた。目的地を設定していないためだ。
「さあ、次の目的地に向かうぞ」
キャプテンシートに座ったタカトは脇に置いている宝箱から光の鱗を取りだし、眼前のコンソールにあるガラスケースのようなケースに鱗を収納する。
すると鱗の輝きが増し、同時にブリッジ前方のモニターに複数の惑星の画像と座標を示した文字列が表示された。
「次の候補地はこれらか」
「例のごとく、あるとは限らないわ」
「なに、それも冒険さ。それに俺達のこの冒険は『龍の宝』を手にするまで止まらない」
不敵な笑みを浮かべ、タカトは立ち上がり右手を前に掲げながら高らかに指示を出す。
「目標、惑星ネケイオスθ!」
『了解しました、ケイオスθに向けて10分後にワープします』
起伏の少ないイントネーションでソプラノな音声がブリッジ内に響いた。同時にメガドラグーン号がエンジンを点火し動き出す。
この先に何が待つのか、タカト達の求めるものがあるのか。それは今の彼らには知る由もなく、しかしそれ故に彼らは進み続ける。
インターステラジャーニー!-超銀河冒険記- 紅羽根 @BraveFive
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