パイロット版「これがいつもの冒険だ!」 Part.6
「相変わらずカッコつけてるねぇ、だけどそれも今日で終わりさ!」
律儀に超銀リューガの合体を見届けたゴルスペルが、両腕を振り上げて突進してきた。
「ハッ!」
超銀リューガはすかさず剣を振るい、ゴルスペルの両腕を剣で受け止める。
「凄いパワーだな、超銀リューガと競り合うなんて!」
「毎回毎回やられてるけど、その度にアタシ達は強くなってるのさ!」
「敗北を無かった事にしないその姿勢、嫌いじゃないな!」
タカトとグリムが不敵に笑い合う。敵同士ではあるが、互いに似た者同士と感じているようだ。
「だけど連敗も今回で終わらせるよ! ラクーン、あいつを放り投げてやりな!」
「ハイサー! いっくよぉ~!」
ラクーンの操縦によってゴルスペルの両腕が上下に分割され、四本腕になる。
更にゴルスペルは左の二本の腕で剣を掴み、超銀リューガを引き寄せると残りの右の腕で超銀リューガの腰を掴んだ。
「どっこいしょぉ~!」
そしてラクーンの掛け声と共に、ゴルスペルが超銀リューガを上空へ思い切り投げ飛ばした。
「無駄だ! 超、銀竜剣!!」
だが超銀リューガは空中で姿勢を立て直し、剣を上段に構えると剣の刀身が黄金に輝き出す。
「雷・撃・斬!!」
超銀リューガはオルトδの重力に引かれて落下し、叫びと共にゴルスペルに向かって振り下ろした。
が、剣はゴルスペルに達する事はなかった。
「何っ!?」
ゴルスペルはその四本の腕で、超銀リューガの剣を両側から挟みこんで受け止めていた。
「その技は既に分析済みさ!」
「パワーと速度さえわかっていれば、受け止めるなんて造作もないぜ!」
「名付けて、『真剣白刃取り』! からの、『白刃投げ』!」
グリムの叫びと同時にゴルスペルが四本の腕をひねり、剣と共に超銀リューガを後方に投げ飛ばす。
「くっ!」
超銀リューガは何とか着地するものの、思わず苦悶の声を漏らした。
「今回こそその剣と一緒に鼻っ柱をへし折ってやるよ!」
すかさずゴルスペルが距離を詰め、猛烈な速さでパンチを繰り出してくる。
「ヘキサフィールズ!」
超銀リューガは多数の六角形のエネルギーフィールドを前面に展開し、ゴルスペルの全てのパンチを防ぐ。だがパンチからパンチへと繋がる速度が速く、隙を突いて反撃に出るどころか移動もままならない。
「手も足も出ないかい。お得意の『奥の手』はもう尽きたのかい!」
だが超銀リューガもタカトも、焦りは感じていなかった。二人とも周囲の状況を把握しており、これから反撃が可能になる事を察していたからだ。
「そのバリアだって、万能じゃない事はわかってるんだよ! ラクーン、割っちまいな!」
「ハイサー!」
とどめと言わんばかりにゴルスペルが四本の腕を思い切り後ろに引いた、その瞬間だった。
ゴルスペルの右側から砕けた拳銃メカが勢いよく飛んできて、ゴルスペルの頭部に直撃した。
「どわあぁぁぁっ!?」
ゴルスペルはその衝撃で横転してしまい、コクピットの三人が驚いて絶叫する。律儀にシートベルトをしていたのでシートから身が投げ出される様な事はなかったが、衝撃そのものは伝わってきたためダメージは受けてしまっていた。
「ナイスヒットだ、フィー!」
拳銃メカを飛ばしたのは星雲だった。破壊されて機能停止したそれを、ゴルスペルに向かって勢いよく投げたのだ。
「こっちは全部片付いたから、後はそれだけよ!」
「了解! リューガ、『奥の手』だ!」
「承知!」
タカトの言葉を受けて超銀リューガが剣を構え直し、今度は自ら空高く跳躍した。
「超、銀竜剣!!」
再び空中で剣を上段に構え、刀身を黄金に輝かせる。
「くっ、その手は通じないのを忘れたのかい!? ラクーン!」
「あいたたた……ハ、ハイサー!」
ラクーンはシートにぶつけた頭を押さえつつゴルスペルの体勢を立て直し、超銀リューガの攻撃を待ち構えさせた。
「同じ奥の手と思ったら、大間違いだぜ!」
直後、超銀リューガが背部のブースターを噴かせ、急加速する。
「!?」
一瞬で音速の壁を越え、ソニックブームが発生すると同時にゴルスペルを両断した。
「閃光、雷撃斬……!!」
「だ、脱出ーっ!」
グリム達はゴルスペルの顛末を悟り、グリムの掛け声とほぼ同時にラクーンが「緊急脱出装置」と書かれたボタンを叩く。
辛うじて斬撃を免れたコクピットがゴルスペルの後部から勢いよく射出され、加速しながら離れていく。
次の瞬間、ゴルスペルは自身の崩壊に絶えきれず爆発、眼前で県を振り下ろした格好のままの超銀リューガを爆煙に巻き込んだ。
だが数刻の後、煙が晴れた後には無傷の超銀リューガが姿勢を変えないままたたずんでいた。
「成敗、完了!」
タカトの高揚した言葉と共に超銀リューガは立ち上がり、剣を背負うように背中側へ回す。
それがタカト達の戦いの終わりを告げる合図である。
「おのれ~、覚えてらっしゃい!」
そんなタカト達を尻目に飛び去っていくグリム達およびグリムの捨て台詞もまた、締めとしてもはや恒例となっていた。
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