第56話
ミオは、鼻をすすりあげながら言う。
「一緒の、食事っ、ですっ」
涙どころかしゃっくりまで止らなくなったミオの背中を、ジョジュアは優しく撫で始めた。
「あとは?」
「カードゲームやっ、水浴びっ。抱擁していただくのも、本当は大好きです。添い寝して眠る夜も、一緒に目覚める朝も……口づけも」
「よかった。僕も好きだ」
ふいに、小鳥が花の蜜をついばむような軽い口づけをされた。
感情が、荒れた海の波のように溢れ出し、ジョシュアに向かう。
気が付けば、彼の頭を抱きかかえて、むさぼりつくような口づけを返していた。
「控えめなミオさんから、こんな風に激しくされる口づけは特に好きだよ」
自慰を拾させられていた過去を打ち明けても、ジョシュアがミオに愛情を注ぐ態度は全く変わっていなかった。
むしろ、増しているのかもしれない。
ミオの心の中に、とある言葉が生まれた。
今まで誰にも使ったことのない言葉だ。
恥ずかしくて堪らないけれど、どうしてもジョシュアに伝えたい。
「俺、ジョシュア様のこと、とても……慕っています」
彼は、本当に心の底から嬉しそうに笑ってくれた。
「たぶん今の状況だと、好きですっていうのが、正解だ」
周りに誰もいやしないのに、ミオは辺りを見回した。
そして、ジョジュアの耳に口を当て、教えられたばかりの言葉を囁いた。
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