第37話

「うっとりした顔をしているね」


 頬を撫でられ、気持ちがよくて目を瞑る。すると、唇に柔らかなものを押しあてられた。びっくりして目を開けると、眼前にジョシュアの顔があった。少したって口づけられているのだとわかった。ジョシュアの舌先がドロップを転がし、ミオの口の中でコロコロと音を立てる。


「僕が与える罰は、こういうのなんだけれど、どうかな?」


 唇を離し囁かれ、ジョシュアの甘い息がかかり、ぎゅっと身体が痺れた。腰を折ってミオに口づけていたジョシュアが、今度は床に座り寝台のヘリにもたれた。背中に長い腕が回り、膝立ちだったミオは胸の中に引き寄せられる。


「全部溶けるまで、頑張ろうか」


 口づけの合間に言われ、上手く返事ができなくて「んん……ぅう……ん……」と唸りながら答えた。


「ドロップを挟んで、舌を絡め合うと早く溶けるよ」


生々しい表現は、ミオ煽る。身体全体が発熱し、下腹部が痛くなる。腰がゆるりと揺れてもっと直接的な刺激を欲しがっている自分に気づいた。


 身体を引きかけるが、ドロップが溶けるまで、ジョシュアは許してくれなかった。


 口の中に何もなくなって、ようやく唇が離れた。


「頑張ったね」


という言葉が一言、添えられて。


 胸がざわざわした。


 罰を与えられたのに、何で悲しみとは違う感情が溢れてくるんだろう。


 寝台に置かれたドロップを、トランクに仕舞いながらジョシュアが言った。


「溶けたら朝食を食べに街に出よう。いろいろ散策して、夕方になったら砂漠キツネを探しに行こう」

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