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ふとそんな僕の心情をうかがような小さな目に気付く。


ナビだ。


ナビはなぐさめるように言った。


「心配するな中2病だ!」


そのレトリックにいどろられた発言に頭を抱える。


悪夢だ!壊れている・・・


それを見ていた少女が2人の間に割って入った。


『病気だったの? 薬いる?』


このとき僕は、無邪気で他意たいの無い純真さは、

時にいばらのトゲになる事を知った。


話題を変えよう。


「ところでナビって人工知能なの?」


僕の世界では、

まだこれほどの人工知能は実現していない。


『それって感情があるかって事?

 結論けつろんから言えばあるよ』


それを捕捉ほそくする様にナビがしゃべり出した。


「そもそも人工知能と同一視どういつしされるのは不服ふふくだ」


「人工知能じゃないの?」


その質問に途端とたん饒舌じょうぜつになるナビ。


「君の言う人工知能とは0と1の演算式えんざんしき

 君の世界のコンピューターの仕組しくみみを

 考えているんだろ。

 モールス信号の様な電気が流れるか切れるか、

 0と1。

 僕のコンピューターはそれとは違う、

 0と10の演算式で成り立っている。


 これはたとえるならそれは、

 微生物びせいぶつと人間を同一視どういつしするようなものだ。

 僕には感情があるし、目的もある。


 加減かげんに言えば・・・ 」


永遠と続きそうな講義こうぎを前に、

僕はそれを途中とちゅうさえぎった。


「ごめんごめん理解したよ。悪かった」


このとき僕は理解した。


ナビをロボットあつかいするのは禁忌きんきれる事だと。

 

  

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