11

少女は子供に説明せつめいするように、

僕の理解りかいが追い付くのを待って静かにかたった。


限定的げんていてきかぎられた空間につくられた並行世界へいこうせかい


それを聞いて自然しぜん疑問ぎもんが口から出ていた。


「その境界線きょうかいせんから出る事は出来ない?」


『本来ならね』


「それって僕達はすでに・・・ 」


その時ある言葉が脳裏のうりよぎった。


不法入国者アウトサイダー


それは僕の住む世界のタブー。


僕の育った世界は一種いっしゅ閉鎖状態へいさじょうたいにあり、

外界げかいとの交流はいっさいゆるされない。


それが僕の住む世界。


不法入国者ふほうにゅうこくしゃ徹底的てっていてきまられ排除はいじょされる。


高い壁でおおわれ、外界げかい隔離かくりされた世界。


いつからなのか、

僕がまれた時にはすでに都市は閉鎖へいさされていた。


そのわけはアッパーミドルの僕にはわからない。


僕は外の世界をまったく知らないのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る