第5話 TRPG日記 -ろーぷれ日記-より、『番外6』
∞月∞日 番外 世界創造??日め、その1
夢を見た…。
かずまと猫又の未来、その後のゆめ。
猫又たちと変なだべりをしたからだろうか?
「ね〜、あやかしって死んだら、どこに行くのかな?
人間て死んだら地獄に行くでしょ?」
猫又は、かずまとしていた何か別の話に割り込んで、そんな話題を切り出した。
「あの世な(笑)」
かずまが茶化す(苦笑)
人の魂は、あの世から現世の業の度合いによって振り分けられ、いろんな道を歩みながら、最終的には魂の源、あるいは故郷たる集合存在へと還ってゆく。
稀に現世に立ち戻ってくる場合もあるけれど、そういうことは本当に数少ない。
そんなことを話すと、
猫又は繰り返して聞く。
「あやかしって、死んだらどこ行くのかな?」
「変わらないよ。」
と自分。
魂の在り方や造りがちょっと違うだけだ。
最終的には同じような道筋をたどる。
多少、スパンが長いか短いかの差はあるけれど。
更に重ねて聞く猫又。
「神さまは死んだらどこ行くのかな?」
「どうだろう、かな…。」
神も変わらない、と思う。
人と虫ほど、岩と樹ほど寿命が遥かに違うが、やはり来て去る存在だといわれている。
自分はそう聞いた。
死によって世界から去った神や龍が、人と同じところへと向かうのかは知らないし判らない。
命のあり方は同じだから、同じところへと向かうのだろう。
同じだと信じたい。
そんな話を猫又たちとした夜だ。
自分には覚えのない場所
霧がかかるみたいな、ぼやけた景色。
音は聞こえない。
人影。ぼんやりとしか判らないが、仕草からなんとなくかずまだと判る。
唐突に焦点が合う。
人通りの少ない商店街?繁華街か?
知り合いとばったり会ったのか、道端で話し始める様子だ。
音が聞こえる。雑踏のノイズとかずまの声。
「…猫又、ひさしぶりだなぁ。」
かずま、おっさんにななってた!!(汗)
「うん、ひさしぶり。」猫又は変わらない。
今と同じだ。
猫又の足元、後ろから顔を出すふたつの姿。
幼稚園児?小学生か?
右が男の子、左が女の子のようだ。
「かーちゃん、コイツがオレのオヤジか?」
「お母さま、この方がわたくしのお父様?」ふたりが同じタイミングで口を開く。
待て!!猫又、かずまの子供産んでるの!?
あっ、フリーズした。
かずま、すげー驚いて言葉もないようだ。
…夢とはいえ、他人のプライバシーを覗いているみたいで、ちょっと気が咎める。
かずまと猫又はかなり長い間あっていなかったようだ、10年以上みたい。あれ!?計算合わなくない?
かずまは父親の後を継いでリサイクル業のかたわら、マネートレードをやって稼いでいるらしい。
金には困ってなさそう(苦笑)
聞こえてくる猫又との話だと、
かずまには別れた奥さんか内縁の妻との間に子供がいるらしい。行き来はあるようだから、関係は良好と思われる(笑)
彼らが遠ざかってゆく。旧交を温めるつもりでどこかで食事でもするのだろうか?
猫又の子供たちは初めて会ったかずまには、まだ戸惑っている様子だ。
周りが白くぼやけてゆく。
やがて何も見えなくなる。
また何か見えてくる。車椅子の人物。誰だろう。またかずまか?
かずま、じじいになってる!!
車椅子で、押しているのは猫又の娘か?面影がある。
成人?したのか、猫又の姉妹で通用くらいの年頃に見える。
猫又と違い、髪はストレートのおかっぱだけれど。
現れた猫又に、かずまあいさつする。
「よお、元気か?」
「うん、ひさしぶり。
怪我したんだって?」ひさしぶりの再開のようだ。
「あぁ。
足はすぐ治るけども、とっさの対応、現場の荒事はもう無理だ。
「お前さんがやってた「なんでも屋、あやかし探偵」、俺もそろそろ引退だなぁ。
あとは息子らがやってくれるだろ(笑)」
猫又息子は、かずまの息子が引き継いだリサイクルの仕事を一緒にやりながら、あやかし探偵の助手もしていたらしい。
猫又娘はかずまの看護をしているようだし、あれからの家族の仲は悪くないみたいだ(笑)
いや、訂正。猫又の息子は、かずまに冷たいらしい。
今そんな話が出た。
大丈夫だろう、猫だから(笑)
一緒に仕事しているんだから心配ないって。
ツンツンしているだけ(笑)
周りがぼやけてゆく。
また未来へ跳ぶのか?かずまは?
誰かベッドに寝てる。やっぱりかずまかな〜。
かずま…、もう寝たきり。
呼吸器も含めて、身体には何本もの管やコードがつながっている。
もうかろうじて生きている。
見ただけで、そんな様子がわかる。
けれども、かずまは現れた猫又たちを見て笑う。
「もういけねぇや、手足や内臓の替えは効くようになってはいても、ここだけは替えようがないな…。」そう言って、震える手でこめかみをゆびさす。
「昔、○○が言っていた未来の話、記憶の転送には届かなかったな。」
苦し気に息をつくかずま。
「でも、なかなか面白い人生だったよ。
好き勝手やって、楽しんで、後継ぎもできて看取ってもらえる。
いうことねーや(笑)」
「…猫又、おまえら、また会おう。じゃあな…。」
かずま、眠るように静かに目を閉じる。
ぽつりと猫又が言う。
「そういうこともあるかもね…。かずま、またね。」
猫又たちは動かなかった。
それからどれくらいが過ぎたか…、数分か1時間か、
かずまにつながっていた機械が、その生命の終わりを告げた。
猫又、祈るようにしばらく目を閉じる。
涙は流さない。
「猫は泣かない。」
猫又が以前にそんなことを言っていたのを思い出した。
「初めて会った頃、お前はかずまの事嫌ってたけど、どうだった?
ダメなやつだった?」
猫又の問いかけに、眉間にしわを寄せながらかずまを見ていた猫又息子は、ため息を吐き出すようにそっと答えた。
「…悪くないオヤジだったよ」
兄の答えに猫又娘も頷く。
「うん、お父様かっこ良かったです…」
世界がぼやけてゆく。
次の日、
遊びにきたかずまにぽつりと言う。
「こないだ、おまえが死ぬ夢みたわ。
笑って死んでた。」
かずま、読んでたマンガから顔を上げる。
「おまえっ。なに勝手に殺してんの!!」
話がかみ合わない。
というか、言いたいこと通じてない。
「かっこよく死んでたよ。」
「かっこ良くても殺すなー!!
オレは100までだって生きるんだからな!!」
それは大丈夫そう…。
100かは判らないけど。
そしてまた夢をみた。
「よっ、ただいま〜」
かずま、若返ってる!!!
今くらい?もうちょっと年上、20くらいか?
猫又笑う。
「おかえり。早かったね(笑)」
「戻れるよう、○○に頼んだのかい?」
えっ俺?
「いーや、オレだって長く生きたんだから、それくらいの伝手くらいはある(笑)」
どの代行者に頼んだんだ?代償は?なんだ?
というか夢!!夢だよ!!
未来視とか予知夢じゃない!!
間違いない!!
でもこいつ、なんでこっち見てんの?
なんでVサイン出してんの〜!!
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