第6話 全部でいくつあるんだ?
手紙にミューの名前がでてきているということは、彼が行先を知っている可能性が高い。
「リートン、ちょっと羊に森の都について聞いてみてくれ」
『森の都って聞いたことある?』
『魔界2番出口近くにあるラハテイト公国のことですか?』
『魔界2番出口かぁ、なんか気になる名前だけど…その公国は森の中にあるの?』
『そうですね、森を切り開いて作られた国ですから。森の都といえばそこですね。ただ魔物が多いですよ? あなた方ならあまり問題ではなさそうですが』
「ラハテイトっていう国じゃないかって」
「すぐに思い付くほど、分かりやすいなら、さっさと教えてほしかったな!」
「まぁまぁ。ひとまず、行き先の候補があって良かったでしょ? で、その公国はどこにあるの?」
「魔界2番出口の傍の森の中だって」
「せめて大陸の名前や方角を聞いてくれる?」
アムリが頭に手を当てて、呻くように聞いた。確かに魔界2番出口と聞いて、あああそこね、とはならない。
いや、しかし2番出口ということは1番出口もあるわけで。もしかして魔族はその出口からこの世界へとやってきているのだろうか。
『どこの大陸にあるの?』
『ええと2番出口ですから、イリス大陸のーええと2番目は東から二つ目? いやこちらが東から始まるから近くとなると西か? まあ、そこらへんです』
「イリス大陸のどこかだって」
「イリス大陸か」
サイクル王国はアムレス大陸にある王国だ。一番大きな大陸で、次いで東側にある2番目に大きな大陸がイリス大陸になる。サイクル王国で勇者として日々戦闘に明け暮れていたディーツは他の大陸どころかサイクル王国からほとんど出たことがない。
「じゃあイリス大陸に行くってことで。ねぇちゃんがこの国にいないなら、俺がここにいる理由もなくなったしな」
「ディーツ、そんな簡単な話ではないです。勇者が他国に行くには国王の許可が必要ですから」
「許可なんか出るわけないわ。領土を全部取り戻すまではって王様、息巻いちゃってるじゃないの」
「だよなぁ…」
「こうしている間にも神兵が近づいてきていますし、先にそちらをなんとかした方がよろしいのでは?」
「あーその問題もあったんだな。ううーん、そうだな―――よし、いっちょ派手に死んでみますか!」
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