第四十一話 襲来
さっきからずっと鬼を切っているけど、キリがない。
何かいい方法はないかな?
一体一体切ってたら時間がかかってしまう。下手をすれば戦闘音で別の鬼が来てしまう。
どうにかして、一気に数を減らしたい。
刀を重くする機能、まともに使ってないし、これをうまく使えないかな?
重さで一気にズドン!みたいな感じで。
「『夜桜』、桜に電話繋げてくれ。インカムをすぐにつけるからそこに繋げてくれ。」
『了解しました。』
急いでポケットからインカムを取り出して、耳の穴につけるっと。
よし、これでオッケー。
『どうしたのかなた⁉︎何か危ないことでもあった⁉︎』
「いや、大丈夫。こっちも戦闘中だから手短に話す。桜、お前の矢って大きさ変えれるか?鬼を一気に吹き飛ばせるくらいの大きさに。」
俺が今考えているものは一気に吹き飛ばすことが出来るか出来ないかで話が変わってくる。
どうか出来てほしい…。
『時間はかかるけど多分いけるよ。その代わりかなたの後方を支援出来なくなるよ?』
「それは大丈夫、全方向を一網打尽にする方法を思いついたから。それより桜はどれくらいかかりそう?威力的には昨日と同じくらいがいいんだけど。」
『ちょっと待ってね。『
花火?もしかして、桜のAIの名前かな?
『今流している明力なら、弦を弾いてから2分で可能です〜。明力を増やせば短縮も可能だよ〜。』
……、今のって桜のAIだよな?あんなに俺のAIと変わるものなのか?
一瞬、近くに人がいるかと思ったよ。
『ありがとう『花火』!聞こえていたと思うけど1、2分で出来るよ!』
「わかった。なら俺が思いっきりジャンプしたらため初めてくれ!」
よし!これでいける!
昨日の桜の一撃があれば、ここにいる鬼は祓いきれる!
あとは俺が鬼の足を止めるだけだ!
明力操作で身体能力を上げて、一気に地面を蹴る。
いつもの数十倍の高さまで飛ぶ。
これマジで怖いな。今更だけど、俺高所恐怖症なんだよな。
でも今は抑えないと。でも本当怖い。
あとは刀に明力を最大限流す!
刀が一気に重くなり、体が刀に引っ張られながら地面まで急降下する。
刀が地面に勢いよく刺さり、砂塵が舞う。
そして、刺さった部分を中心に地面に切れ目が広がっていく。
俺はまた明力操作で空中に逃げる。
数秒後、一気に地面が大きな音を立て周りの鬼を巻き込み崩落し始める。
これで、鬼の足は止めれた!
あとは桜の一撃。
今、どれくらい溜まってあるかな?俺は桜の方に目を向け…ってなにあの大きさ⁉︎
ここから桜との距離って目でギリギリわかる距離なのに、矢の大きさがテニスボールくらいあるんですけど⁉︎
『かなたどこを射ればいいの?もうそろそろ限界だよ…。』
「俺の数メートル横の穴を
『わかったよ!かなたも出来るだけ離れてね!』
明力操作を行い、一気に桜の方に駆け出した。
それとほぼ同時。桜が矢を放った。
俺の上を光の柱が放物線を描きながら飛んでいく。
なにあれ。もう矢じゃないじゃん。もうレーザービームじゃん。これはもう『約束された勝利の剣』じゃん。
これって俺、爆風に巻き込まれない?
光の柱が穴の中に綺麗に入っていく。
次の瞬間、ズドン!という音と共に穴の中から光の柱が、天空に向かって伸びる。
光の柱が無くなったことを確認して、俺は穴に戻る。
うそ…。穴の底、暗闇なんですけど…。俺が開けた穴って底見えてたよ…?
『かなた大丈夫だった?』
「大丈夫、ちゃんと祓い切れてるよ。流石だな。」
『鬼じゃなくて、かなた自身が大丈夫って聞いているの!昨日だって危なかったんでしょ!』
「俺なら大丈夫だよ。今回は爆風が真上に逃げてくれたから。ありがとう心配してくれて。」
『そ、そんなこと当たり前だよ!あ、紅蓮先生が集合しろって言ってるよ!』
「わかった、すぐにいく。」
いつも通り明力操作で身体能力を上げて、走り出した。
「今回の任務、二人ともお疲れさま。これより学校に戻るが気は抜くなよ。」
「了解です!」
「はい!」
今回の任務、刀をメインにして戦ってみたけどやっぱり違和感があるなー。
刀の戦闘に憧れてぬらに頼んでみたけど、どうも体が慣れないんだよな。
どうしてもこれ!って感覚がこない。
それに比べて、これまで戦ってきた中で拳を叩き込む方がピンときた。
刀で戦うよりも拳の方がいいのかな?
一応は拳で戦えるように固有陰陽術式は籠手にした。
ぬらとの組み手を活かしつつ自分に合った戦い方なら、拳での近接戦闘かな。
うーん、難しいな。帰ったら先生にも相談してみるかな。
「なんだ、これは?」
不意に先生が止まる。
何か変なところあるか?なにも変わっていないけど?
「かなた、桜、少し離れていろ。」
先生が瞬間的に固有陰陽術式を発動し、空中に向かって鋭い一撃を繰り出す。
だが、先生の糸はまるで壁に刺さったかのように空中で静止する。
「ど、どうなっているんですか?」
「俺たちは見えない壁でこの先に行かなくなった。俺も状況を完璧に理解できていない。事態の把握ができるまで、二人とも戦闘体制をとれ。固有陰陽術式も発動しておけ。」
固有陰陽術式まで発動しておかないといけない状況ってこと…だよな。
俺と桜は詠唱を完了させ、周りを警戒した。
「ッッッ‼︎かなた!」
先生の怒号と共に俺の背中を強く押される。
刹那——
先生の左腕が鮮血を撒き散らしながら、地面に落ちる。
え……。う、、で、が。せ、先生の。
「へぇ〜〜。あれに気づくんだ。シッシッシッ、お前強いな。」
その声の元に俺と桜は目を向けることができなかった。
直接心臓を握られていると錯覚してしまうほどの、威圧感。
どうにかして、見るだけでも…。
顔を少しだけ動かして目尻でなんとか捉える。
だ、誰?
そこには、人が立っていた。
普通の人とは違う。肌が黒く、ドス黒い赤の眼光。漂う威圧感は鬼そのもの。
「貴様、何者だ。」
左腕を押さえてながら先生は睨みつけている。
それでも、先生からは汗と緊迫感が滲み出ている。
「おっと、俺としたことが名乗るのを忘れていたな。シッシッシッ、俺は『
そこには不気味な笑みがあった。
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