第三十三話 戦いの報告
俺たちが鳥居を潜るとまたいた場所にいた。
「今日はこのまま理事長に報告に行くぞ。かなたも夜遅くなるだろうから学校に泊まっていけ。」
固有陰陽術式をときながら先生は言ってくる。
やっぱり報告は必要らしい。つまり、俺の生身で戦ったことも報告されるのかな?
俺もよくわからないで戦っていたから、説明しようがないんだけどなぁ…。
とりあえず、ぬらと話しましたって言おうかな?
「それに、かなたにはこの後説教タイムだからな。」
うっ…ですよね。
「とりあえず、学校に向かいましょう先生。」
そうってクウガさんは歩き始め、俺たちもついて行った。
「お疲れ様、クウガくん。紅蓮くんもかなたくんを守ってくれてありがとう。」
理事長は俺たちの説明を聞き終わると微笑みながらそう言った。
「それにしても、かなたくんが『
理事長曰く、俺の身体が丈夫になったのはその『明妖親和性』のおかげらしい。
理事長が詳しいことを教えてくれた。
妖力層、妖力と明力が混合した層、明力層の3つから構成されている。
妖力と明力が混合した層はとても硬く、その他の層はとても柔らかい。
つまり、明力と妖力がクッション代わりになっている。
そのおかげで衝撃が緩和され、痛みが減る。
これが『明妖親和性』らしい。
だから、殴った時も痛みを感じなかったのか。
ぬらは形代に触った時に妖力を俺に分けてくれたのかな?
「とりあえず、二人が無事で何よりだよ。かなたくんは今日泊まる部屋を用意したからね。白銀くん案内してあげて。」
「はい。かしこまりました。」
白銀さんが一歩前に出て、扉まで促してくる。
俺には理事長室を出る前に確認しなくてはならないことがある。
「理事長、桜は大丈夫なんですか?」
ずっとそれだけが気になっていた。だって、桜は俺たちのために助けを呼んでくれた。
でも、理事長室にはいなかった。桜に何かあったら俺は…。
「かなたくん、そんなに心配そうな顔しないでいいよ。咲良さんは医務室で寝てるはずだよ。明力を急激に使ったから意識を失ってしまってね。」
「それって大丈夫なんですか⁉︎」
「大丈夫大丈夫。」
理事長が言うなら安心していいのかな。でも心配だな…。
「もうそろそろ目を覚ましてもいい頃だよ。白銀くんかなたくんを先に医務室に連れて行ってあげて。」
「かしこまりました。」
理事長は俺の考えを察したのか、白銀さんに先に医務室に案内させる。
やっぱり俺、顔に出やすいのかな?
でも、ありがたいな。ちゃんと桜の顔を見て安心したいしな。
「紅蓮くんとクウガくんは残ってね。きっちり報告を聞くからね。」
「「はい。」」
「とりあえず、白銀くんかなたくんをよろしく。」
「かしこまりました。」
俺は白銀さんと共に理事長室を出た。
俺—鬼灯紅蓮は理事長室に残り具体的な報告をしていた。
巨大なカマキリのこと、クウガの危ない術式のこと、そしてかなたのこと。
「やはり『共鳴者』についてはわからないことが多いね。かなたくん曰く、ぬらりひょんとも通話したって言っていたしね。どうやって電子生徒手帳に関与したんだろうねー。」
「私もそこは気になりました。かなたもよくわかってなかったみたいですし。クウガはどう思う?」
「答えを出すにはまだまだ情報不足かと。しかし、のびしろがあるのは明白です。少しずつ出雲かなたを観察しつつ、修行をつけるのが妥当かと。」
なるほど。実力をつければ扱える力も増えるかもしれないな。
「よし。紅蓮くんはそのまま中野桜、出雲かなた、両名の教育を続行しつつ出雲かなたの観察。クウガくんは『共鳴者』について書物等で情報収集を頼むね。」
「「はい。」」
これで行動方針も決まったな。とりあえず、俺はこれから桜の様子でも見に行くか。
「あ、それともう一つ。」
その時、理事長が真剣な顔をしながら俺たちに話しかける。
「最近、鬼界で調査班が何部隊か壊滅している。生き残りがいないから正確な情報はないが、司令部によると『
鬼人…。数年間、観測すらされていなかったはず…。なぜ、今になって…。
「それにより、鬼が活発化している。今まで以上に警戒が必要だ。」
鬼による縄張り争いか。今日の一件もその一環なのかもしれないな。
「これからは十分に警戒しつつ任務を続行してね。」
「はい。」
「わかりました。」
かなたたちはまだ戦闘経験がないからな…。
あと少ししたら、組み手も訓練に入れて行くか。
だが、かなたのあの戦い方…、武術の心得でもあるみたいな動きだった。といっても、かなた自身無意識でやっていたみたいだが…。
「紅蓮くん、『共鳴者』は陰陽連の救世主になりえる存在だ。実戦にできるだけ早く導入したい。半年で固有陰陽術式の完成、鬼界での任務を遂行までしてほしい。」
「了解です。」
半年か、これからは午前にも陰陽道の授業を入れていこう。
かなたたちには悪いが少しスパルタでやらせてもらおう。
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