第十六話 かなたの可能性?

 俺—ぬらりひょんは驚いていた。明力の流れる感覚がわかれば出力を制御は出来る。

 しかし、明力の質を上げることは普通できない。明力の質の上げる方は様々だが、明力制御だけでは上がらない。

 だが、かなたの明力の質を目に見えるほど簡単に上がった。

 「そんなにおかしいか?」

 俺の目がかなたを観察する様な目だったので質問してくる。

「いや、明力の制御がうまくできてるか見てただけだよ。やはり俺の教え方が上手いおかげだな。」

 なんとか誤魔化す俺。

 しかし、かなたの成長の仕方はおかしいな。

 はじめて身体を使わせてもらった時から思っていたが、かなたは俺たちや陰陽術といった異能側ととても合っている。

 それにしても、この成長の速さは恐ろしいな。一般の陰陽師でも一歩踏み入れたぐらいなのに、かなたの場合もう十歩近く進んでいるな。

 


「この明力の制御でこんなに身体の感覚が変わるもんなんだな。身体がいつもよりも軽いし、視野もなんとなく広く感じる。」

 俺—出雲かなたは少し跳びながら話す。

 「明力の制御は身体の潜在能力を引き出すことと一緒なんだ。今は全身に均等に分かれているから、普段の身体の身体能力の2割増しといったところだ。」

 そう説明すると、準備運動を始めるぬら。

 準備運動を終わるとおもむろに脚に力を入れる。そして、ぬらの全身に淡藤色あわふじいろの光が見え始める。

 その光がだんだんと脚の方へ集まっていく。

 そして次の瞬間、ぬらが消えた。

 「これが妖力集中だ。妖怪の源の力を一部分に集める基礎の技だ。次にお前に教える明力集中と要領が一緒だから、俺が教えてやる。」

 後ろから不意に声をかけられる。

 そこには1秒前まで俺の目の前にいたはずのぬらがいた。

 「すげーな、早すぎて何も見え…なかっ…た…。」

  身体が重たくなり、意識も朦朧もうろうとし始める。

 なんだこれ…。さっきまでの身体の軽さが嘘みたいだ。立ってるのでやっとだなんて。

 「今日はここまでだな。とりあえず、明力操作は出来るようになったじゃないか。起きたらすぐにに明力の流れを感じろよ。」

 そして俺は意識を手放した。


 俺が起きた時、目覚まし時計は朝5時を示していた。

 9時に理事長に呼び出されており、まだ時間があった。

 夢の中で感じた身体の重さは無くなっていた。

 結局あれはなんだったんだ?とりあえず、ぬらに言われた通り明力の流れを感じてみるか。

 「じゃあ、始めるか。」

 俺はベッドの上で目を閉じて集中する。

 ぬらに言われた通りに明力制御をやってみる。夢の中とは違い明力が見えない。

 しかし、感覚は夢の中と一緒で今どこにどのくらい明力が集まっているのか大体わかる。

 そして、それを全身に均等に分けていく。

身体全体に行き渡ったことを感じ、目を開けベッドから身体を起こす。

 いつもよりも身体が軽く、視野も少し広くなっていた。

 「外で少し試したい!」

 俺は新しいおもちゃを貰った子供のように部屋を飛び出した。


 

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