ももとの出会い その2

 机の上に並べられたケージの中にはたくさんの子猫がいる。殆どが日本猫、またはそのミックスで、純血種はまず見かけない。大体生後3ヶ月くらいだろうか。中には大人の個体も混じっている。


 猫たちの様子は実に様々で、甘えてしなを作るもの、鳴き続けるもの、無関心に毛づくろいをするもの、落ち着かなくうろうろするもの、威嚇してくるものなどがいる。


 しかし、後に我が家の飼い猫となるももは、そのどれでもなかった。


 ではここで問題です! ババン!

 いったいケージの中のももはどんな様子だったでしょう?


 チッチッチッチッ


……

……

……


 ちゃんと考えてる?


……

……

……


 ササッとスクロールしてない?


……

……

……


 はい、時間です!


 正解は……ドゥルルルル……


「タオルに頭だけ突っ込んで、隠れたつもりでいる!」


でした〜〜〜!


 当たった方、いますかね?


 ももは白の多い白黒のハチワレ(額に漢字の八のような模様が出ていること)で、白が多いのに鼻と尻尾は真っ黒という個性的な姿をしている。その真っ黒な尻尾をくるんと丸めて(怯えている状態)タオルに顔を突っ込んでいたのだ。


 そもそも白が多い猫は臆病で神経質な傾向があるらしいが、もものそれは常軌を逸している。例えば、さくらやうめが病院の臭いをさせて帰ってきたら、その後2時間はどこかに隠れている。自分が病院へ行った後はもっと長い。キャリーケースを見ただけで逃げるので、病院へはいつも不意打ちで連れ出す。


 よその人が来ても絶対に出てこないし、声がするだけで震える。家人であっても抱っこは嫌がる(何か嫌なことをされると思うらしい)。


 ケージの中のももは終始そんな様子だった。多分それで貰い手がつかなかったのだろう、ももは他の子猫と比べると少しばかり大きくなっていた。


 もしあなたが保護施設から猫を引き取ることになったら、一体どういう基準で選ぶだろう?もし私なら、見た目もあるが飼いやすさを基準にする。預かりボランティアに聞けばその猫の性格はわかるのだから、そう難しいことではない。さくらの時も「この子はやんちゃだけど、甘えてお布団に入ってくるタイプね」というスタッフの言葉は正しかった。


 私なら、この時点でももは選ばない。


 では何故彼女は我が家に?


 最初から読んでくださっている方はもうおわかりだろう。我が家には猫を見る目を持つ男が存在するのだ。

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