大掃除

 暮れも押し迫ってくると、一応主婦としてはあちこち綺麗にしなければという気分になってくる。


 しかし、掃除と猫という組み合わせは、例えるならスイカと天ぷらの食べ合わせくらい相性が悪い。


 前回、クローゼットを開けておくと、必ずと言っていいほど猫が入り込むことを書いたが、これが衣替えだったり大掃除だったりすると尚の事厄介だ。


 衣装ケースの引き出しから衣類を取り出して分類整理し、戻そうとする頃にはもれなく猫が入っている。


 手に持った衣類を一旦置いて猫を取り出すと、ふいにエキサイトした猫によって衣類の山が崩される。


 気を取り直して衣類を畳んだ頃には、またしても引き出しには猫が……


 何とか衣類を詰めて引き出しを戻そうとすると、今度は衣装ケース本体の枠の中に猫がすっぽりと収まっている。これがまたとりわけかわええのだが、作業的には大迷惑。何故なら、そこはとても居心地がいいらしく、引きずり出そうとすると相当な抵抗に遭うからだ。


 2、3枚写真を撮った後(撮るんですね)、おもちゃかおやつでおびき出し、その隙に急いで引き出しを戻して終了。これだけでもぐったり疲れてしまう。


 衣装ケースに限らず、空いてる場所に入りたがる習性は、タンスでも、蓋を開けるタイプの衣装ケースでも発揮される。更には本棚でも、カラーボックスでも同様のことが起こるため、猫のいる場所での大掃除は作業効率が非常に悪い。


 更に、新聞を広げれば乗る潜る破く、雑誌を積めば乗る崩す、紙袋を出せば入る破く。


 壁や天井の掃除や床磨きに至っては、猫がいては不可能だ。そのため、ひと部屋ずつ封鎖して、もしくは猫をいずれかの部屋に閉じ込めて作業することになる。これがまたいちいち面倒くさいのである。


 年に一度の大掃除。この時ばかりは猫のいる幸せよりも、不自由さを感じずにはいられない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る