ガンを飛ばす

ガンを飛ばす……相手を睨みつけること。 主に関東で用いられる表現。 「ガンをたれる」ともいう。(Weblioより)


 高校時代、男女数人で喫茶店にいた時、見るからにヤンキーなお兄さんが先輩(男子)に絡んできた。


「オイ、ゴルァ、おまえ、今ガン飛ばしたよな?表出ろや、ゴルァ!」


 幸い、先輩は忍耐強い人で、相手も口だけの奴だったようで、暫く睨み合った後、捨て台詞を残してヤンキーは去って行った。今にして思えば、なかなか貴重な体験だ。


 小さい頃のさくらは、まさにこのヤンキーそのものだった。猫の視力ってどれくらいなんだろう?さほど良いとも思えないのだが、目が合うと飛んで来る!


「オイ、ゴロニャァ、今ガン飛ばしたにゃろ!」


 文字にするとかわええ♡


 しかし、やることはヤクザ並み。何の躊躇もなくがぶりと噛みついて、風のように去って行くのだ。


「気安く見るんじゃにゃいわよ!」


 多分、捨て台詞はこんな感じ。


 随分まるくなったとはいえ、今でもその凶暴さは健在で、気に入らないことがあれば、猫だろうが人だろうが遠慮しない。怪我をするほどではないけれど、できればやめてもらいたいところだ。


 こんなふうに書くと、とんでもないアバズレ猫なのだが、そこはツンデレの女王猫様だけのことはあって、自分が甘えたい時は豹変する(猫だけど)。甘くくぐもった声ですり寄り、何度も頭をこすりつけ、最後にコロンと仰向けになってうにゃっと鳴いたら、アホな飼い主なんぞイチコロだということを、彼女はよーく知ってるのである。


「そんなの生まれつきの猫の特性じゃないの?」


 そう思ったそこのあなた。さくらを侮ってはいけません。猫の知能は人間の2〜3歳程度と言われているようだが、これはさくらには当てはまらない。三毛猫は本当に賢いというお話はまた今度。

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