第3話 隣人1


デザイナーズマンションというと響きが良いが、いわゆる木造のアパートに引っ越してきた。

家賃はそんなに高くはないのに新築のメゾネットで、間取りが気に入って選んだ物件だ。一階に玄関とダイニングがあり、2階が寝室になっている。

女子の1人暮らしで一階に住むというのだけがネックだったが、半年も住むと何もないことに安心し、快適に暮らせるようになった。


もちろん、家のセキュリティはしっかりしている。

共同玄関の門を開けるのには部屋とは別の鍵が必要で、部屋の鍵は二重になっていた。

さらに、外出時と帰宅時に専用の鍵をささないと警報がなるシステムが部屋ごとに導入されていた。


そんなわけで、部屋に入るには

共同玄関の鍵

部屋の鍵

警報システム用の鍵

の3つが必要だ。


最初の頃は全部もれなく鍵をかけて外出していたのだが、一年もたつと面倒になってくる。

警報システムを起動させるのをそうそうにやめた。

そして2年がすぎると、近くのスーパーに買い物に行くぐらいなら、玄関の電気はつけっぱなしで、部屋の鍵は1つかければいいか、と思うようになった。


今日は友達との飲み会で、近所の居酒屋で3時間ぐらい過ごした。久しぶりだったので、すこし酔っ払ったと思う。

家に帰って玄関を開けるとき、下の鍵だけさしても扉が開かなかった。勘違いか。

部屋に入ると暗闇でスリッパにつまずいた。

何も考えずにこのまま眠れたら最高だと思って、2階へ向かい、ベッドにダイブした。

スマホを充電器につないで、そのまま眠りにつく。

アラームをかけ忘れたから、明け方、玄関が開いたような後で目が覚めた。

面倒だから何も考えないことにした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る