第24話『叫べ!合体!アルティメット勇者』
「ここは神聖なる法廷。
勇者の孫とは言え、
法廷侮辱罪は許されません。
衛兵、ただちにこの全裸の男を、
この法廷からつまみ出しなさい」
裁判長は当然の反応として、
法廷に入ってきた裸の"
を追い出そうとする。
2人の衛兵が勇者の孫、
ユータの両脇をがっちりと抑え、
法廷から追い出そうとする。
「うるせー! 離せッ!!
こうなったらっ!!
合体だあァッッ!!!」
ユータが叫ぶと、被告人席に
座っていた勇者パーティーの
孫たちが眩い光につつまれる
そして、商人、盗賊、魔法使い、僧侶
それぞれが光り輝く、アーマーパーツ
に変形する。
過去の勇者が魔王を倒した時に
用いた、仲間を武器や防具に
変える異能『マスター&スレイブ』
の力である。
その能力は一代限りの能力ではなく、
子々孫々まで受け継がれるほぼ
呪いのような異能である。
一度『フレンド登録』をした仲間は、
相手に有無を言わせず、強制的に
合体することを可能にする異能。
「マホォォーツブレェェェェストゥッッッ!!!」
(ユータ早口小声解説)
無尽蔵の魔力供給と超上位魔法を
行使することができることになる、
凄い胸当てだ。
「トゾォークゥレッッグ!!」
(ユータ早口小声解説)
音を殺して動くのくせになったり、
2~3日寝なくても大丈夫になったり、
電流で拷問しても大丈夫になる、
凄いレッグアーマーだ。
「ソーリョハァァンッズ!!」
(ユータ早口小声解説)
相手に手のひらをかざすと怪しげな波動と
光が出てきて相手を洗脳することができる
魔光という闇の波動を放つ事ができる、
凄い腕アーマーだ。
「ショニーンヘッド!!!」
(ユータ早口小声解説)
一秒間に千の策を考える超頭脳。
この世界のありとあらゆる知識を
引き出すことができるようになる、
凄いヘルムだ。
……だが、今は壊れている。
「センシーパァアアアンッ!!」
(ユータの小声解説)
センシーは既に死んでいるから
ウエスト部分のアーマーはない
状態。つまり、フルティングなのだ。
「驚天動地の勇者合体!
オレの名は
アルティメット・ユータ!!!」
神々しい白銀の腕アーマー、
輝く緑の脚部アーマー、
青色と金色で装飾された胸当て、
紫色に輝くヘッドギア。
光に包まれたユータの姿は、
まさに神の化身。
ソーリョの治癒能力と身体強化能力。
マホーツの無尽蔵の魔力と魔法知識。
トゾークの素速さと器用さ、
ショニーンの頭脳(故障中)。
これらのすべての力が一体と
なったユータはまさに
神をも越える力を持つ存在。
……だが、戦士の孫センシーが死んだせいで、
ウエストアーマーが存在せず、
股間部分は丸裸となっている。
傍聴席がザワツク
「なに。あの人……急に法廷内に入って
きたと思ったら、股間だけは裸のまま。
露出狂の変態よっ!」
「いや……でもよく見ろっ!
あの男の股間部分は生い茂る
ジャングルに守られている
せいで肝心な部分は何も見えない」
「どれだけ小さいんだ、
あいつの……マグナムはっっ!
ジャングルの樹林に覆われてマグナムの
先っちょすら見えねぇ……」
「……これが、噂に聞く異世界の"ジシュキセイ"
というチートスキルですか……。面白い。
これなら謎の光がなくても思う存分に、
裸体のままで動くことができる。
ふふっ。さすがは腐っても勇者ですねぇ……」
「さすがは、異世界出身の勇者の孫。
簡単にチートを使いこなしてやがるぜっ!
これは、日曜朝に読ませる子供向けの
絵本とかに出しても大丈夫な健全に局部だ!」
「……これが、噂に聞く"異世界チート"
というヤツか。さすが20年間引き
籠もっていたとはいえ人間族最強の
勇者の血を引く存在だ!」
「「「「ユータ! それ!
ユータ! はい! ユータ!
おら! ユータ!」」」」
傍聴席の人間たちが、股間部を
丸出しにしたユータに熱い声援を送る。
応援している彼らは、そもそもいまの
状況がよくわかっていない。
ノリで応援しているだけだ。
ひとしきり囃し立てたあとは、
裁判長含め、そそくさと安全確保の
ために法廷から逃げていった。
「フン……。有象無象のザコども。
この、オレを応援するこの
あまたの市民の声が聞こえるか?
下半身を丸出しにしていても、
なおこれだけの人気。思い知ったか!
これが生まれもっての格の違い、
勇者の孫のカリスマというヤツだ!!」
「ああ……確かに、俺はお前を勇者と認めよう。
パンツを脱いでも自動で局部を
隠すその遵法精神は確かに勇者だ。
法の体現者と言っても過言ではない」
「確かに。凄いなの。ボクも戦闘で
敵が股間が露出していたらどうしても、
目を背けながら戦う、不利な戦いを
挑まなければいけなかったなの。
だけど、彼のは完全に見えないから、
これなら本気で戦えるなの。
これが、ノブレス・オブリージュ!」
「どうでもいいけどモジャモジャしていて
気持ち悪いのだ。とっとっと死ぬのだ」
ユータは股間を隠しているわけではなく
隠れてしまっているのではないが、
ユータはそのことには語らない。
クレヨンし○ちゃんとかに出しても
オーケーなレベルな健全性。
若干ユータのマグナムは
根元の部分が陥没しているのだが、
これは"
琉球空手の戦闘時に急所を
体内に納めるためのスキル
だと思われる。
あるいは……生来のものか。
「フンッ。センシーのヤツめ、
オレに断りもなく死んでいるとはな。
確かに、今のセンシーアーマーの
無いオレはパーフェクト・ユータではない。
だが……今宵のオレは、完璧でないがゆえに、
むしろ完璧以上なのだ。今のオレは
パーフェクト・ユータを越える、
アルティメット・ユータだ!
恐怖するが良い! これが勇者の力だ!
アルティメット・ブレイブ・バーストッッ!!」
金、緑、紫、白、青。5色の光が混ざり
一つのエネルギーの奔流となり
シロー達に襲いかかる。
本来は、センシーの赤も加わり
六色だったのだが……。
既にセンシーは故人なので仕方がない。
「竜よ我らを守りたまへっ!
魔王ソフィアの究極の守りの魔法。
だが、ユータの膨大な魔力の直撃を受け、
ガラス細工のように絶対防御壁、
5層が一瞬で破壊される。
直撃を受けていたら、シローたちは
跡形もなく消し炭になっていたことであろう。
「ほう……。奴隷の分際でオレの、
U・B・B(アルティメット・ブレイブ・バースト)
を受け切るとはなかなかヤルではないか」
引き籠り生活が長いせいで、
話し方が分からず妙に、
俺様口調になってしまうのは愛嬌だ。
必殺技の名称は、彼が自室の中で考えた
設定帳からきている。
「フン。おもしろい。実に面白い。
だがな、オレの
真U・B・B(真・アルティメット・ブレイブ・バースト)
を耐えることはできるかな?」
ユータは両手を前面にかざし、
5色の色が混ざりあった魔法陣を
空中に浮かび上がらせる。
その刹那、オーロラに似た神々しい
オーラがソフィアの展開する
絶対の12の防御壁を更に三層を破壊する。
もはや、全ての防御壁が破壊されるのは
時間の問題でしかなかった。
「ソフィア。あいつは、フザけた格好だが……強い。
このままだと、ジリ貧だ。まずは俺が、
ヤツの気を引くから、その間にソフィアと
ラクイさんはこの場から逃げるんだ!」
「「分かったなの!(のだ!)」」
シローはグラビティー・コントロールにより、
自身の重量を100分の1まで軽減させ、
タイム・アクセラレーターで身体能力を3倍に加速、
更にウィンド・ブレーカーで空気抵抗を無効化し、
超高速で法廷内を駆ける。
「フハハ。どうやら貴様は速さが自慢のようだが、
このオレの魔弾から逃れることは不可能だ。
拡散真U・B・B!!」
散弾のようにシローに向かって5色の
極光を放つ魔弾が放たれる。
シローはギリギリのところでかわすも、
仮に当たれば致命傷は免れない、
強力な魔力の塊である。
シローは、一瞬のうちにユータと
数メートルの距離まで近づく。
加速スピードを殺さず、
シローは鎧に覆われていない、
ユータの股間部分をアダマンタイト
製の鞘で思い切り横薙ぎに叩きつける。
「ほうっ……。速さだけが自慢のザコが、
このオレに一撃を加えるとはな。
褒めて使わそう。だがな無駄だ!
究極の守りUPOY(アルティメット・プロテクション・オブ・ユータ)
の前にはなぁッッ!!!」
(コイツ……。UBBはゴロが良いから
分かるととして、なぜゴロの悪い
UPOYなんていう略語を作ったんだ……
……さすがは勇者という事かっ!)
ユータの全身が金色のオーラに包まれる。
鉄壁の守り、UPOYに阻まれシローの
股間に向かって放った渾身の一撃は
致命打を与えるには至らなかった。
「スキ有りなのだっ!」
シローがユータを引きつけている間に、
ユータの背後にまわりこんだラクイが
10トンハンマー大に拡大した木づちで、
ユータの
「オレのケツを殴るとは命知らずな
メスガキだな。だがな、効かん」
ラクイのユータの
恐るべき、勇者の孫。艷やかなもち肌である。
勇者の孫は、
「まだまだ終わりじゃないなのっ!!
炎、雷、氷、風の精霊よ契約に応じ力を貸したまへ!
ライトニング・ブリザード・ファイヤー・テンペスト」
電撃と氷晶と風の刃をまとった火球が
ユータの股間部に直撃する。
火球がジャングルを燃やし尽くすや
いなや、燃やされた分のジャングルが
一本一本が生命を持った
触手のように再び生い茂る。
合体したソーリョのパッシブスキル
"自動治癒"の能力は毛根にまで達している。
恐るべきは勇者の孫最強の守り
"ジシュキセイ"
「次から次へと……奴隷に、
アライグマに、冒険者。
フンッ。オレの前に、
拝謁する権利も有さぬ有象無象どもめ」
「キモいモジャモジャ……。
……
ユータのケツをラクイの殺意の
こもった全力のスイングで振り抜く。
「ぬお……?!」
ラクイの放った殺意のこもった一撃の
想像以上の衝撃に、ユータは足を滑らせ
うつ伏せに、バタンと倒れる。
シローは、ユータの背中を靴底で
おしつけ、アダマンタイトの鞘を
装着した短剣の柄を両手で握り、
ユータのアナに短剣を突き刺そうと試みる。
その光景は伝説の剣、
聖剣エクスカリバー
を岩から引き抜く姿に似ていた。
「無駄だ!! そのような棒きれ程度で
四人の孫の力を束ねる今のオレの
鉄壁の守りUPOYを貫けると思うな!」
「くっ……さすが勇者(のケツ)! 硬いッ!!
用意に侵入を許さない意思の強さを感じるっ!」
「無駄だと言っているだろうがっ!
下郎が! オレの背中を靴底で
踏みつけるとは、極刑に値するぞっ!」
ユータはやせ我慢をしているが、
20年間引き籠もっていたユータ
に耐えられる痛みではなかった。
本当は痛くて泣きたかった。
お尻がジンジンと痛みだし、
悲鳴を上げたかったが、
いまさらキャラを変えることも
できずに耐えきった。
さすがは、勇者の孫である。
「駄目だ……。無防備な下半身も、
ソーリョの自動治癒の能力、
身体強化の能力で全く
ダメージが通っていない。
どうやら、痛みも全く感じて
いないようだ……。
更にその魔力源であるマホーツの
魔力源は無制限。もうこうなったら、
アレをやるしかない!!」
シローはユータの背中を
靴底で抑えつけながら叫ぶ!
「うおおおおおお!!!!
グラビティー・コントロール重量1000倍!!
タイム・アクセル四倍速!!!
ウィンド・ブレーカー空気抵抗完全無効化!!!!
ちぇすとおおおおおっ!!!!!」
ガツン! ガツン! と激しい
音を立てながらユータの
鉄壁を崩さんと鞘の切っ先を
ユータのアナに叩き付ける。
「フハハッ。痛っ……無駄だ!
やめ、……オレは勇者の孫。
20年間引き籠もっていたとはいえ、
貴様らとは出来が違うのだ。
もういい加減に諦めろ……頼むから」
「シロー。さすがは勇者の孫、
全く効いていないのだ……。
少しも痛みを感じていないのだ。
だけどまだラクイさんは諦めてないのだ!
打ち出の木づちよ大きくなるのだ!」
20トンハンマー大の大きさに
巨大化させた木づちで、シローの
短剣の柄頭の部分を何度も叩き付ける!
まるでその光景は、巨大な杭を
地面に打ち付けるような光景であった。
「くっ……硬いのだ! まるで
石を叩き付けているような
感触なのだ……」
「フハハ。オレのケツを貫くなど、笑止千万だ!
UPOYは最強の守り。打ち破るなど不可能。
だから、もう頼むから勘弁してくれ!」
「俺たちでは打ち破る事は、不可能……なのか。
打ち破ることは本当に不可能なのか……。
だが、諦めるなラクイさん! 諦めなければ
絶対に活路はあるはずだ!!!!」
「「うおおおおおおっ!!!」」
――ブスリッ
渾身の力で、短剣の柄頭を木づちで
叩きつけると、UPOYにヒビが入り、
わずかに鞘の先端が内部に侵入する。
「ナニッ! 貴様ァ!!! オレの庭に
許可もなく、侵入したその罪、
万死に値するぞ!! だから抜いて
くれよ……頼むよ。マジ。
このままだとオレの貞操が危ないんだよ……」
短剣の鞘の先が肛門の鉄壁の守りを
貫きユータの内部へと侵入する。
「トドメなの。集えあまたの精霊たちよ!
我が主の剣に力を貸し給へ!
魔法剣ファイヤーボルト・アイシクルストーム!!」
シローの剣の鞘の先端部に
炎、風、氷、雷の属性が付与される。
四つの属性を束ねた最強の魔法剣である。
「今こそ、3人の力を合わせるぞ!!!」
「シロー。タイミングは任せるなの!」
「ラクイさんも本気を出すのだ!」
「「「うおおおおおおおおおおっ!!!」」」
ついにはユータの作り出した最強の
鉄壁を打ち砕き、無防備になった
肛門を鞘の先端が蹂躙!!!
「ぐぎゃああああああああああ
ああ”あ””””っ!!!!!
あはぁああああん……っ」
短剣の鞘はユータの内部に
30センチほど内部に侵入。
短剣で無ければ死んでいただろう。
ユータは痛みと(快感)のあまり、
床に伏せたまま果て、気絶した。
ユータの気絶によって合体は解除され、
他の孫たちも人間の姿に戻った。
最強の力を得た引き籠りユータは、
3人の力の前で完膚なき前に
敗れさったのであった。
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