第5話『魔王のパワーレベリング』

3日間の魔王同行でのパワーレベリングの結果、

シローはわずか3日間で46レベルまで

急成長を遂げていた。



「おお……。いつのまにやらレベル46っ!

 FF5とかならネオエクス○スを余裕で

 倒せるくらいのレベル。これって

 相当成長したんじゃないか?!


 なんか俺、短期間でとてつもなく

 強くなった気がするぞ!

 ところでソフィアってレベルいくつ?」



「ボクはレベル999なの。100レベルを

 超えるとそこからは徐々に伸びが悪くなるから。

 999まで成長させるのはけっこー大変だったなの」


「999レベル! 46レベルでもかなり

 強くなった実感があるのに3桁とか

 正直想像もできないくらいだな。さすが魔王!」



「えっへん! なの」



つるぺたの胸を張りながら、

ドヤ顔をするソフィア。



(はワわァ。カわいィ……なオィッ

 静マれェッ……心の一方通行ッ!!)



シローは心の中のもうひとりの自分を

押さえるために、深呼吸をする。



「……ところで、レベルがあがった分

 基礎ステータスは随分とあがっているみたいなんだが、

 この『スキルポイント』とやらはどういう

 振り方をすればいいんだ?」



「スキルポイント……。そういえば、まだシローに

 教えていなかったなの。


 スキルポイントは、一般的には魔法か力に

 多めにスキルポイントを振るなの。


 ボクの場合は、魔法に全振りしたなの。

 魔王の名を冠するのに中途半端なステ振り

 では格好がつかないなの」



「なるほど。極振りか。ネトゲではソロプレイをする

 事が多かっったから、バランス型のキャラで

 遊んでたけど今の俺にはパートナーがいるから

 極振りという選択肢も……。うん、ありだな!」


「パートナー……。ちょっと恥ずかしい言い方なの。

 ところで、魔法、攻撃、防御、素速さ、

 運どれに極振りするつもりなの?」



「俺は素速さ全振りでいこうと思っている。

 スキルツリーで確認したところ、空中に壁を作って、

 二段ジャンプできる能力が中二心が刺激されるし。


 他にもいろいろと便利に使えそうなスキルが

 あるから、素速さに全部のポイントを使おうと思う」



「転生前に苦労したシローのだから"運"に

 極振りするかと思っていたなの」


「そうだな。確かに生きていくためには

 運も重要かもしれないけど、

 どうせなら与えられるんじゃなくて運は

 自分の手で掴みたいと思ってるんだ」



意図せず真面目な物言いになったため、

少し照れくさそうにシローは

頬を人差し指でかく。



「シロー。それは良い心がけなの! 賛成なの

 運命も運も自分の力でつかみとるものなの」


「それじゃ、獲得したポイントを全て素早さに振るぞ!」


素早さに全ポイントをつぎ込むや否や、

シローの全身が青白いオーラにつつまれ、

体の底からパワーが湧き出る。



「……っ!! すごい! これがスキルポイント

 素早さ極振り! 体が羽のように軽い……」



能力を試すためにシローはその場で跳び上がる。

シローの靴底の下の何もない空中に

青白い魔法陣が浮かび上がり、

その魔法陣を蹴ることで更にもう一段跳ぶ。


スキルポイント45で獲得できる

自動発動スキル『ハイ・ジャンプ』

の能力である。



「シロー。はしゃぐのも良いけど、

 王都の近くだと目立つから

 あまり目立たないように気をつけるなの」


「おお……。わるい! ちょっとはしゃいじゃったぜ!

 それにしても、想像以上に気持ちいいな二段ジャンプ。

 格闘ゲームとかの"エリアル・レイブ"ってやつも

 いまならできそうな感じだ」



シローが楽しそうに新スキルをため

しているのを見て、ソフィアも

楽しい気分になる。



「シロー随分と楽しそうなの。

 幸せなのは良いことなの」


「はは。ちょっとばかし、

 はしゃいじゃってごめんな!」



新しい能力ではしゃいでると、

王都の出入都を管理している

門番がシローに話しかけてくる。



「あー。旅人さん。王都の門の前で

 はしゃがないで下さい。身分確認の

 ためにギルドカード見せてくれますか?」



シローは、ソフィアに作ってもらっていた、

超巧妙に偽造されたギルドカードを提示する。

職業は『冒険者』に設定してある。



「はいはい。冒険者さんね。ところで、後ろの

 小ちゃい首輪のお嬢ちゃんはなにかな?」



「この子は、俺の所有する奴隷です」


「ボクは奴隷なの」


「旦那、顔に似合わず趣味が良いじゃないですか。

 きっと王都にはお兄さんなら王都を楽しめますぜ。


 ところで、その奴隷。特別に高値で下取りしますよ。

 ここで売ってくれませんかいねぇ?」



ねちょっとした脂ぎった顔で門番の

男が告げる。鼻息がとてもあらい。



「あいにくだが、俺の奴隷は売るつもりはないんで」


「きっひっひ。ケチなこと言わないで下さいよ旦那ぁ! 

 金貨3枚で買いますよ? 何かと物入りな旅人に

 とっては相当な大金のはずですぜっ!」


「どれだけ金貨つまれても売る気はない。

 急いでいるからとっとと門を開いてくれるか?」


「金貨5枚! いや8枚までだしますぜ!」


「ことわる!」


「へへ……っ。商売上手ですねぇ旦那。

 なら金貨10枚。これ以上は出せませんぜ」



(……さすがにしつこいな)



「だからですね……」


別の門番がしつこく食い下がる門番に耳打ちをする。

その後、舌打ちをしなが面倒くさそうに、

投げやりに、門番がギルドカードに王都に押印する。



「けっ……冒険者の分際で生意気な。

 とっとと入んな。ようこそヤルダバ王都へ」


「ああ」


「冒険者の旦那、一言だけいっておくぜ。

 ……月夜ばかりと思うなよ」


門番の時代がかった脅しをあとにして、

二人は王都の巨大な石造りの門をくぐる。


ここは、ヤルダバ王都。

人間族の支配する最大規模の都市である。



「さっきの門番、すっごく気持ち

 悪いやつだったなの……」


「だな。さすがにフォローできん。

 あんなヤツを門番につけてこの

 王都は本当に大丈夫なのかね?」


「奴隷の個人間売買は法で禁じられて

 いないとは言え、あれはさすがに

 だめだと思うなの……」


「だな」



門をくぐるとそこは、さすが人間族最大の都を

うたうだけあってきらびやかな町であった。



「すっげー。なんっていうか祭りみたいだな!

 この王都は毎日こんな感じで賑わっているのか?」


「王都の中に入るのは始めてだけど、聞いていた

 情報によると、いつもこんな感じらしいなの

 華やかで楽しそうなの」


「百聞は一見にしかずというやつだな!」


はなやかな、王都の大通りは日本の祭りの

時のようで、道の左右には屋台や出店が並び、

店員は威勢よく呼び込みをしていた。


「ソフィア。せっかくだし屋台でなんか食うか?」


「おなかすいたなの。しょっぱいやつがたべたいなの」


「おっしそれじゃああの肉を串刺しにした店のヤツを買おうか」


シローは牛串のようなものを売っている。

『串肉』というらしい。

シローは屋台のおっさんに声をかける。


「そこの、串肉2つください」


「へい。半生とこんがり焼きどっちにしやす?」


「ソフィアどっちが食いたい?」


「ジューシーな半生が食べたいなの」


「それじゃ、半生とこんがり焼きを3つづつ!」


「まいど! お兄ちゃんたくさん買ってくれたから

 サービスで銅貨6枚のところ5枚にまけてやるよ」


「すみません。いま手持ちで細かいのが

 無いので金貨一枚でいいですか?」


「おっ! お兄ちゃんいかにもな身なりのわりには太っ腹だねぇ。

 その身なりじゃ、さては博打にでも勝ったのかい?

 それじゃありがたくもらっとくよ。それじゃ、

 お土産用の串を2つ追加だ! またきてくれよー!

 ロリコンのお兄ちゃん!」


串肉を合計10本もらった。

ソフィアは串肉をほおばりながら語る。


「ジューシーでとっても美味しいなの」


「こっちのこんがり肉もうまいぞ!」


「ボクもこんがりの方をたべたいなの」


シローのもっていた串肉をサッと取り、

もぐもぐと咀嚼するソフィア


(落ち着け……俺は人生経験的にはもう関節キッス

 ごときで動じない年齢のはずだ! 落ち着けっ!)


「こんがりも、香ばしくておいしいなの。

 シローもボクの半生の方たべたいなの?」


「そうだナ。せッかくだシ、やッぱ、イろいろンナ

 味を食べたくなっツー、もンだよナァ?」


「なんかシロー喋り方が変なの……」


「キノセーダヨッ!」


シローはソフィアから渡された半生の串を食べる。

レアとかの火加減が苦手なシローでも

うまいと感じるほどのたしかな旨味を感じた。


味付けは塩のみというそっけなしだが、

逆にその方が肉の旨味を感じられるというものだ。


「うまい! レアの肉もうまいんだな!

 肉汁がこぼれおちてきてんめーわ」


「まだまだ串肉はあるからゆっくり食べるなの」


串肉をほおばりながら王都の中心街を歩く

シローとソフィア。


適当な冒険者向けの宿屋を探すために

あてどなく歩いていると、前方から、

いかにもな感じの商人が満面の笑みで現れる。



「そこのお兄さん。そのお肉がもっともっと! 

 美味しく食べられるようになる王都の隠れ名産品、

 "魔法のホワイトソース"に興味はありませんか?」

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