第46話 エルフの居る世界
メイドに手を出したくて仕方がない英吾と、それを見てため息をはくスティ。
そんな英吾はほっておいて嘉麻が困り顔でスティに言った。
「しかし、どうします? これ以上を人を増やす方法はあります?」
「難しいですね……このまま行くと亜人達にも声を掛けなければいけないかもしれません……………………」
「「……亜人? 」」
聞きなれない言葉に不思議がる英吾と嘉麻。
「ええ。この辺は隣の魔王国から逃げ出してきた亜人の集落もあります。エルフ族、ドワーフ族なども居ますので、そういった集落に声を掛けるしかないかもしれません……」
そう言ってため息をつくスティ。
だが、二人は違う事が気になった。
「「エルフにドワーフ? 」」
エルフもドワーフもファンタジーには定番の種族である。
もはや説明は不要であろう。
特にエルフは重要である。
男二人は同時に同じことを思いついた。
((エルフのお姉ちゃんたちとお近づきになるチャンス! ))
二人とも見た目も性格も反対だがスケベなのは一緒だ。
当然のことながら美人で有名なエルフのお姉ちゃんとは仲良くなりたいのだ。
「こっちにもエルフが居るんだぁ……」
感慨深げにぼやく英吾。
するとスティは驚いた顔になる。
「そっちにもエルフが居るんですか? 人間しかいないと聞いていましたが? 」
一応、スティは二人が異世界から来たというのは知っている。
異世界が今一つわかっていないが、ものすごく違う外国ぐらいに思っている。
「あー……居るってのは語弊があるな。そういった伝説があるって話しだ」
「……いないのに伝説だけ有るんですか? 」
不思議そうなスティに嘉麻が細かい説明した。
「金髪で耳と目が細くて、森に住むって言われているんだ」
「……やっぱりいるんじゃないですか。こっちにも同じような人たちが住んでますよ? 」
「おー! エルフが居るんだ! 」
嬉しそうな英吾と嘉麻。
そして感慨深げにぼやく。
「一度会ってみたいよなぁ……」
「そうだよなぁ……」
そうやってエルフのお姉ちゃんとフンゴモンゴする想像を巡らせる二人。
するとスティはキョトンとした。
「??????……何回も会ってますよ? 」
「「……へっ? 」」
スティの言葉にきょとんとする二人。
「いつも仲良く話してるじゃないですか? 今更何を言ってるんですか? 」
本当に不思議そうなスティ。
((どういうこと? ))
二人が不思議そうにしていると、ドアが開いてメイドの一人が現れた。
「アクドイ様が来られてますが? 」
「あー! 入ってもらってください! 」
スティがそう言うと、ドアから醜悪な顔をした小太りのおっさんが現れた。
悪趣味なパッチワークの服を着た成金趣味丸出しの男だが、こう見えても善良な男で心優しい商人である。
スティの代わりにゴムを販売する男だが、非常に誠意のある男で、いろんな面で世話になっている男だ。
「お兄ちゃん遊びに来たヨ! 」
「おーお前ら来たのか! アベシとタワバ! 」
後ろから金髪モヒカンと金髪ツンツン頭の『世紀末雑魚』のような男たちが現れる。
彼らはアクドイの養子で幼いころに奴隷として売られるところをアクドイが買い取って、色々勉強を教えたアクドイ商会の店員で、凶悪な顔つきと服装だが見た目に反して純粋無垢な男たちでもある。
平たく言うと『物凄く良い子ちゃん』で、こう見えてもまだ12歳である。
「ヒデブはどうした?」
「今回は留守番。風邪ひいたから」
「そりゃ残念。健康は大事だからな。安静にしないといけないぞ」
「ここにもっと健康を大事にして欲しい人が居るんだけど!」
嘉麻のやり取りに、抗議の声を上げる縛られて正座させられてる英吾。
アクドイが困った顔つきで尋ねる。
「あのぉ……お邪魔でしたかな? 」
「いえいえ大丈夫です! お気にせずに! 」
スティがそう言って笑いかけるが、床で縛り付けて正座させられている英吾をチラリとみるアクドイ。
「しかし……なにやら忙しそうな……」
「いえいえ! いつものようにお仕置きしてるだけですからお気にせずに! 」
「それもそうですな」
「納得しないで助けようよ……」
あっさりと放置するアクドイにツッコミを入れる英吾。
嘉麻が誤魔化すかのように言った。
「いやね。こいつと話してたんですわ。『エルフに一度会ってみたい』って…… 」
そう言って笑いかける嘉麻だが、アクドイの顔がきょとんとする。
「……へっ? 」
この男にしては珍しい間抜けな声を出した。
後ろに居る金髪モヒカンもきょとんとしている。
嘉麻が不思議そうに尋ねる。
「アクドイさんは会った事あるのか? 」
「え……ええ……会ったことがあると言いますか……毎日見ていると言いますか……」
困り顔のアクドイ。
その様子を不思議そうにする嘉麻と英吾。
英吾は不思議そうに金髪モヒカンに尋ねた。
「お前らは会った事あるの? 」
「いや……会った事あると言うか……」
困り顔になる金髪モヒカン。
隣のどう見ても世紀末雑魚の金髪ツンツン頭が言った。
「僕らがエルフだよ? 」
「今すぐ原〇夫と水〇良に謝れ! 」
いつの間にか縄の戒めを解いた英吾は金髪モヒカンの胸倉をつかんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます