54.進化に向けてのレベル上げです!

 さて、クエストも完了したので改めてレベル上げの旅に出発です。

 パーティメンバーは、タンクの黒号とアタッカーのプリム、それにいつものシズクちゃん。

 本当ならシズクちゃんじゃなくてシルヴァンを連れて行けば効率がいいのだけど、シズクちゃんのモフモフは捨てがたいですし、何より一人でベルの森深層部に行ってレベル上げをするなら、シズクちゃんの火力は保険として外せないのですよ。


 さて、それでは女神像からベルの森深層部まで一気に移動です。

 移動が終わったら深層部に向けて突撃、なんだけど今日は人が多いね。

 他に狩りをしている人を見かけたことは何度かあるけど、ここまで人が多いことは見たことがないかも。


「ヒーラー募集中です! こちら、アタッカー3にタンク1!」

「スキルレベル上げのためのパーティ募集中。当方タンクです」

「アタッカー2名ほど募集中。ゴブリン3周予定です」


 ふむ、人が多いのはパーティ募集のためだったんだね。

 でも、様子を見る限り深層部に向かうパーティじゃなくてゴブリン族の集落に向かうための募集みたいだね。

 それならボクには関係ないかなっと。


「ねえねえ。キミ一人? 俺達と一緒にゴブリン周回に行かないか?」


 おっと、ボクに声をかけてくるプレイヤーがいるみたいだね。

 でも、ボクはパートナー連れなのに一人ではないのですよ。


「見ての通り、パートナーと一緒ですよ。それから、ボクの目的はゴブリン族の集落ではなくて、ベルの森深層部なのでお構いなく」

「でも、パートナー連れとはいえ深層部でソロができるならゴブリンにだって挑めるでしょ? 俺達、アタッカーが足りなくて困ってるんだよ。一緒に来てくれないか?」

「お断りするよ。ボクはボクのレベル上げで忙しいので」

「そう言わずに頼むって。ライトニングシーズーの火力なら、多少レベルが低くてもゴブリンを一撃できるからさ」


 なるほど、シズクちゃんの火力が目的なんだね。

 まあ、付き合う理由もないしお断りですね。


「やっぱり、お断りですよ。ボクには別の目的があるからね。それじゃ、バイバイ」

「あ、ちょっと……」


 しつこい勧誘男は無視してベルの森深層部に突入だよ。

 さすがに森の中までは追ってこないみたいだね。


「……勢い任せにベルの森深層部に来たけど、今は夜時間だったんだよ」


 ゲームだから夜時間でも薄暗いだけで周りが見えない、なんてことはなかったんだけど、さすがに森の中になると薄暗いを通り越して真っ暗といってもいいくらい暗いね。

 さすがにこの暗さじゃ、木々の中に分け入っていくのは難しいかも。

 というか、これじゃあレベル上げにならないね。


「何かいいスキルはないかな……」


 周囲の警戒を他の子達に任せて、ボクは取得可能スキル一覧からよさげなものを探す。

 スキル一覧の検索機能は、条件設定に曖昧な内容を入力しても検索してくれるから便利だよね。

 そして検索結果として出てきたのが【夜目】のスキル。

 夜や洞窟内みたいな暗い環境でもある程度見通せるようになるんだって。

 攻略サイトでも調べてみたけど、そこそこ以上の効果はあるみたい。

 レベルが上がったら、上位スキルの【暗視】を覚えられるみたいだね。

 それじゃあ、早速SP3を支払って【夜目】を取得っと。

 ……おお、森の中が真っ暗だったのに、ある程度見えるようになったよ。

 スキルレベルが上がればもっとよく見えるようになるんだろうね。


「さて、準備はできたので改めて出発ですよ」


 深層部を入口方面に向けて歩いて行くと、森の中から黒い影が飛び出してきたよ!


「ホーホー」

「おお、あれが普通のナイトオウルですね」


 飛び出してきた影はナイトオウルが3羽。

 暗い森の中、焦げ茶色の体毛がいい感じに保護色になってますね。

 何で色がわかるかって?

【夜目】の効果である程度の色ならわかるんですよ。


「ナイトオウルはアクティブらしいので、先手が大事だよね。黒号、挑発と威嚇だよ!」

「ウーウォン!!」


 黒号のスキル効果でナイトオウル達の注意は黒号に釘付けだね。

 黒号の挑発が引き金になって、ナイトオウル達も攻撃を始めたよ。


 ナイトオウル達の攻撃方法は上空からの急降下によるくちばしや爪による攻撃。

 さすがに3羽の連携攻撃だと黒号でも苦しそうだね。


「プリムは降りてきたところを攻撃して迎撃、シズクちゃんはライトニングバレットだよ」

「プー!」

「ワン!」


 プリムは指示通り、ナイトオウルが攻撃のために急降下してきたところを蹴りで迎撃。

 おお、1回のジャンプで2羽のナイトオウルを迎撃したよ。


 そしてシズクちゃんはライトニングバレットを発動。

 目の前に4発の弾丸が現れて、次々とナイトオウル達に飛んでいくよ。

 スピードもライトニングアローより速いし、ナイトオウル達も躱しきれずに命中してる。

 1発の威力はそんなに高くないみたいだけど、連続でヒットするからダメージはかなり稼げてるね。

 何より、空中で相手の動きを封じることができるのがとっても便利!

 そして、ライトニングバレットの4発目が発射される頃には次の弾丸が用意されていて、次々発射されていくよ。

 ボクは銃には詳しくないからよく知らないけど、こういう銃ってあったよね。


 プリムの迎撃とシズクちゃんの弾丸で、ナイトオウル達は次々に撃破されていく。

 黒号が受けたダメージはボクが回復魔法で癒やしていくから、何も問題はないね。

 2分ほどで戦闘は終了。

 全員無事だし、それなりに余裕もあったから油断しなければ大丈夫そう。

 この調子でどんどん倒していこう!




 1時間ほど狩りを続けた結果、ボクとシズクちゃんはレベル17に、黒号とプリムはレベル15まで上がったよ。

 そして、それぞれ、レベル15になったときには『進化が可能』ですって、システムメッセージも表示されたんだよ!

 進化可能になったのに進化してない理由、それは進化先が複数あったから。

 今は獲物モンスターを求めて森の中だし、のんびり進化先を選んでいられないからね。

 今日のところはこれで終了して、明日になってからゆっくりと進化先を選ぼう。

 それじゃあ、今日は撤収!

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