52.サーシャとブレンの初戦闘です!

 サーシャが恒例の配達クエストを受ける事になったので、ボクやスズカ、セルシアも配達クエストを受ける事に。

 2人もまだステータス上昇の上限である3回は受けてなかったらしいね。

 と言うよりも、最初の1回しか受けてなかったっぽい。

 ステータス上昇的にはおいしいクエストだと思うんだけどなぁ……


 クエストの受注場所がそれぞれの職業ギルドになるし、届け先もバラバラみたいなので、それぞれが配達作業に精を出すことに。

 ボク達既に受けたことのある3人はそんなに時間をかけずに終わったけど、サーシャは流石に初めてだったこともあってちょっと時間がかかったみたい。

 それでも、ボクが初めて受けたときより早かった気がするけどさ。


「ふう、ようやく終わったわね。待たせたみたいでごめんね」

「気にしなくても大丈夫よ。最初は皆こんな物だから」

「そうそう、ボクが初めて受けたときより早かったと思うよ」

「そうですね。私の時よりも早かったと思います」

「ありがとう。……それにしても、事前情報通り、クエストでもステータスが上昇していくのね」

「そうなんだよね。……これなら、街中のクエストもある程度受けておいた方がいいかな?」

「セルシアなら、『畑の石拾い』もお薦めなんだよ。STRとVITが上がるから、前衛職にはぴったりだと思うよ」

「たしかにね。春休みも始まったし、時間があるときに受けておくと後々便利かもね」

「そうですね。私も受けておこうかな。物理攻撃職にもSTRとVITは必要だし」

「私はどうしようかしら。後衛職としては、VITはともかくSTRはそんなにいらないはずだけど」

「だったら『ギルドの資料整理』がお薦めだよ。INTとMNDが上昇するからね」

「そうなのね。それじゃあ、今度、時間を見つけて受けてみよう」

「ともかく、クエストも終わった事だしユーリさんのところに戻ろう。待ってると思うし」

「そうね。一度戻りましょうか」


 クエストを終えた、ボク達4人は瑠璃色の風に一度戻ることに。

 瑠璃色の風では予想通り、ユーリさんが待っていたよ。


「お帰りなさい、皆。サーシャちゃんは初クエストどうだった?」

「住人の表情や感情表現が自然ですごいなと思いました。あとは、今回のクエストでアインスベルのほとんどのマップが埋まったのは助かりますね」

「そう、ならよかったわ。それで、この後はどうする予定かしら」

「ひとまず、次の召喚獣を手に入れに行きたいところですね。一番のお目当てはユニーク種のファーラビットです」

「ユニーク種のファーラビットね。かなり手堅いところを狙うのね。趣味全開のリーンちゃんとは大違いだわ」

「ボクってそんなに趣味に走ってるかな?」

「2匹目の従魔を手に入れるのに、ファーラビットを目標にする人はまずいないわよ。基本的に初期パートナーがワイルドドッグ以外の場合、2匹目はワイルドドッグを狙うのが主流ね」

「サーシャは2匹目でファーラビットだよ?」

「ユニーク種のファーラビットって言うのが肝心な部分ね。その後の進化まで考えてるって言うことなんだから」

「進化? ユニーク種のファーラビットだと何かあるの?」

「リーンは調べてないの?」

「うん、調べてないよ」

「そう……聞きたい?」

「ちょっと気になるかな」

「じゃあ、教えてあげる。ユニーク種のファーラビットは特殊進化でヒーリングラビットになれるのよ。ヒーリングラビットは、回復魔法を覚えるから回復役として便利なのよね。だから、ユニーク種のファーラビットと契約しておきたいわけ」

「そうなんだね。ボクの場合、ボク自身が回復役だからあまり必要ないかな」

「そうね。リーンちゃんのパートナー構成なら回復役は必要ないわね。それじゃあ、これからファーラビットを捕まえに行くのね。引率は必要かしら?」

「うーん、どうしようかな」

「ねえ、セルシア達はどうするの?」

「私達? ……あまり考えてなかったわね」

「そうですね。私達が同行しても大丈夫ですよ」

「そう? でも、念のために私も一緒に行くわ。パーティ外からの支援でも問題ないでしょう」

「じゃあ、決まりだね。それじゃあ、出発しよう!」


 サーシャを連れて、街の外へと向かいファーラビットの群れを探す。

 昼時間なのでファーラビットを見つけるのは難しくないけど、白いモフモフは見当たらないからユニーク種はいないみたいだね。


「うーん、そんな上手くユニーク種は見つからないね」

「ユニーク種を手に入れるなら、同種族を狩り続けるのが一番よ。もっとも、ある程度進んだら、お仕置きモンスターが出てくるようになるから、それに注意しなくちゃいけないんだけど」

「お仕置きモンスターって何?」

「一定時間、同じ場所で同じモンスターばかり狩りを続けていると出てくる、強力なモンスターよ。適正レベルで狩り続けている限り、勝ち目のない相手ね」

「そんなモンスターもいるんだね。でも、何のためにいるのかな?」

「狩り場の独占を防ぐためって言われてるけど。詳細は運営じゃないとわからないわね」

「そうなんだね。ともかく、ユニーク種のファーラビットがでるまで、ファーラビットを倒していこう」

「そうしましょう。サーシャは手加減スキルを覚えるのに、瀕死狙いの方がいいんじゃないじゃかな?」

「うーん、私がファーラビットの瀕死を狙おうとすると、必然的に魔法頼りになるのよね。そうなると、コントラクトに回すMPがきつくなるから、今日は無理かな」

「それじゃあ、今日のところはそれでいきましょうか。セルシアは手加減を覚えたい?」

「うーん、ちょうどいい感じなら覚えてもいいかな?」

「じゃあセルシアは様子を見ながらね。それ以外は、ユニーク種のファーラビットを探しながら、ファーラビットを倒していくわよ」


 ユーリさんの号令とともに、ファーラビットを倒し始めるボク達。

 セルシアの方も武器を持ち替えてクリティカルを出さなければ、ちょうどいい感じにダメージを与えられてるみたいだね。

 サーシャの方は……プチドラゴンのブレンがいい感じに頑張ってる。

 というか、噛みつき1回で8割くらいのダメージを与えてるし、このまま戦闘を続ければ手加減スキルも覚えるんじゃないかな?


 それぞれがバラバラにファーラビットを倒す事30分ほど、遂に待ちに待った目標が現れたんだよ!


「皆、ユニーク種のファーラビットが出現したんだよ!」

「どれどれ……本当ね。それじゃあ、私が瀕死にするからサーシャはコントラクトをお願い」

「わかりました。お願いします」


 その後は、ボクの時と同じようにユーリさんが手加減付きの攻撃とバインド魔法でファーラビットの動きを封じて、サーシャがコントラクトに成功するまでスキルを使い続ける形になったよ。

 5回目で成功してたし、なかなかのものじゃないかな?


「どうやら成功したいみたいね。それじゃあ、この先はどうするのかしら?」

「出来れば手加減スキルを覚えたいですね。それが無理ならレベル上げかな?」

「そう、それじゃあ、私は離れたところで様子を見ているわね。MP回復用のポーションもそれなりに持ってきてるから、必要になったら言ってね」

「はい、ありがとうございます」


 その後は、サーシャ、ブレン、セルシアが手加減を覚えるまでファーラビットを相手に練習。

 それが終わったら、ワイルドドッグとプレーンウルフ相手に経験値稼ぎをしたよ。

 ……流石に、プチドラゴンは強くてワイルドドッグくらいならすぐに倒せるようになったんだよ。


 あと、ワイルドドッグやプレーンウルフは契約しなくていいのかサーシャに確認したけど、とりあえず今は必要ないって。

 捕まえたくなったら自分で捕まえに来るから、必要ないって言われたよ。

 そんなに気にしなくてもいいのにね。


 ともかく、午後は経験値稼ぎで終わった感じかな。

 夜については、また夜に考えようね。

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