46.VS.虎猫戦です!

 こんばんは、リーンだよ。

 スズカやセルシアと一緒にベルの森に来てたんだけど、最深部でフォレストキャットのネームドモンスターと戦っているプレイヤーを見つけたんだ。

 それで、その人は負けちゃって、フォレストキャットだけが残っていたので、せっかくだからボクがフォレストキャットに挑むことにしたよ。


 セルシア達のパーティを抜けて、ボクとシズクちゃん、それにプリムとシルヴァンのパーティでフォレストキャットと対峙する。

 フォレストキャットもボク達に気付いている様子で、周囲には光の壁が発生したよ。


「さて、フォレストキャットちゃん。ボクの挑戦を受けてもらうよ!」

「ウニャン!」


 どうやら、あちらもやる気満々らしいね。

 フォレストキャットは、威嚇のうなり声を上げたまま動こうとしないから、先手はもらっても大丈夫そうかな?


「まずは一撃目! シズクちゃん、サンダーボルト!」

「ウー、ワン!!」


 シズクちゃんお得意のサンダーボルトがフォレストキャットを直撃する。

 流石に、俊敏なフォレストキャットでもサンダーボルトは躱せないようだね。

 ダメージ量は……40%ちょっとかな。

 魔法障壁は貫通してるけど、魔法耐性も持ってるみたいだから、ダメージはあまり伸びないね。

 でも、過剰ダメージで倒しちゃう事も無さそうだし、ある意味安心かな?


「プリムはフォレストキャットが攻撃できないように牽制、シルヴァンはボクとシズクちゃんの護衛をお願い!」

「キュイ!」

「ウォゥフ!」


 フォレストキャットの動きも素早いけど、プリムだってスピードなら負けてない。

 その上でシルヴァンをボク……と言うか、狙われる事になるシズクちゃんの護衛につけるよ。

 あとは、次にサンダーボルトが使えるようになる30秒後まで逃げ切るだけ!


「フシャー!!」

「キュイキュイ!」


 光の壁で囲まれたフィールド内では、フォレストキャットとプリムによる高速戦闘が繰り広げられてるよ。

 シズクちゃんを攻撃したいフォレストキャットを、プリムが妨害している感じだね。

 フォレストキャットの素早い動きに対応できるプリムはさすがだよね。

 でも、AGI素早さに差があるのか、時々プリムの横をフォレストキャットが抜けてくる。

 だけど、それはシルヴァンがしっかりガードしてくれるよ。

 それでシルヴァンのHPは結構減っちゃうけど、ボクが回復魔法とポーションで回復してあげるから問題ないね。

 本当に時々だけど、シルヴァンでも防ぎ切れていない攻撃は、ボクがブロックするよ。

 盾で防御すれば、そこまでダメージも受けないしね。

 シルヴァンやボクに妨害されたフォレストキャットは、プリムに攻撃されてまた追いかけっこになる。

 あと、所々にライトニングマインを設置してるけど、それは踏んでくれない。

 流石にそこまで甘くはないよね。

 ちなみに、ライトニングアローは魔法障壁にはじかれて牽制にすらなりませんでした。

 ……地味に、魔法系キャラを封じに来てるよね。


 1秒1秒がかなり緊張する一進一退の攻防が繰り広げられ、少しずつ時間が経過していく。

 そうして、プリムやシルヴァンが必死になって稼いでくれた30秒。

 シズクちゃんのサンダーボルトが使えるようになった時点で、次の指示だよ!


「シズクちゃん、念のため手加減を使ってからサンダーボルト!」

「ワンワン!」


 シズクちゃんが青いオーラを身にまとってから、サンダーボルトがフォレストキャットを捕らえたよ。

 プリムの攻撃をそれなりに受けていたフォレストキャットはHPをそこそこ減らしていたけど、手加減付きのサンダーボルトだから倒れることなく瀕死になってくれたね。

 そうして、サンダーボルトを受けて吹き飛ばされてた体勢から起き上がると、ボクの足下まで来て甘えるような声を出してくれたよ。


「よしよし、これでテイムできそうだね。それじゃあ、テイムっと」


〈フォレストキャットのテイムに成功しました。この個体はネームドモンスターのため名前が初めからついています〉

〈同種族内で初のネームドモンスターのテイムに成功したため、ボーナスSP1が与えられます〉

〈ネームドモンスターのテイム成功回数が3回を越えました。称号【ネームドテイマー】が与えられます〉


 テイム成功のメッセージも受け取ったし、テイムには成功したようだね。

 足下にいたフォレストキャットねこちゃんはボクにアイテムを渡すと、光の魔法陣の中に消え去った。

 それに周囲を囲っていた光の壁もなくなったので、無事にテイムできたようだね。


「お疲れ様、リーン。かなり大変そうだったけど、大丈夫?」

「何とか大丈夫だよ。でも、1分間も戦っていないのに、すごく長く感じたよ」

「外から見守っている分には、割とすぐに決着がついた感じだけどね。それにしても、プリムってあの動きについて行けるのね。素直にすごいと思うわ」

「プープー!!」


 セルシアに褒められて、プリムも上機嫌みたいだね。

 でも、光の壁のせいで周りの木々は少なくなっていたけど、それでも木々の間を素早く飛び回るフォレストキャットに追いつけるんだから、プリムのAGI素早さはバカにできないよね。


「さて、リーンのテイムも終わった事だし、今日はもう引き上げましょうか。リーンも疲れたでしょうし、早くあのフォレストキャットに会いたいでしょう?」

「うん、早く会いたいね。でも、2人はいいの?」

「私は大丈夫よ。もう、2レベルも上がってるし、戦果としては上々ね」

「私も大丈夫です。それに、リーンのマイホームも気になるから、早めに切り上げてそっちも見学したいな」

「ああ、それもそうよね。明日も休日だからといって夜更かしできないものね」

「わかったよ。それじゃあ、瑠璃色の風まで戻ったらボクの家に案内するね」

「決まりね。それじゃあ、リターンホームで戻りましょう」


 ボク達はリターンホームを使って、アインスベルまで帰還したよ。

 アインスベルに戻ったら、瑠璃色の風まで戻って、中庭で家に通じる扉を呼び出したよ。


「この先がリーンのマイホームなのね」

「なんだかちょっとドキドキするね」

「ほとんどハイネさんに作ってもらった家だけど、その分綺麗に仕上がってるよ。さあ、どうぞ」

「お邪魔するわね」

「お邪魔します」


 扉を抜けた先にはボクの家である飛行庭。

 初めて飛行庭に来た2人は周囲の様子に驚いてるね。


「……これがマイホームなのね。これは確かに作り込みが楽しそう」

「この家、空を飛んでるよね。なんだかすごそうな家だけど、高かったの?」

「課金で2,000円だったよ。決して安くはない買い物だったね」

「あら、課金だったのね。……ああ、有料アイテムにマイホームっていう分類があるわ。ここで買えるのね」

「2,000円かぁ。結構するね」

「他の家はもっと安かったよ。一番安い家だと、500円だったと思う」

「確かに、一番安い家は500円ね。ただ、説明文を読んだだけでもすごくなさそうなのはわかるけど」

「そうなんだ。うん、マイホームを買うときは色々考えてからにしよう」

「それがいいと思うよ。……それじゃあ、とりあえず庭を案内するね」

「よろしく。……って、扉の後ろも庭が広がってるのね。畑で作業してるのが、この前の卵から孵化したアントかしら?」

「そうだよ。……ところで、あの卵ってプレイヤー間だとそれなりの値段で取引されてたみたいだけど、もらって大丈夫だったのかな?」

「私は構わないよ。だって、リーンなら有効活用できるわけだし」

「そうね、私も構わないわ。実際、ああして役立ってるみたいだからね」

「わかった。ありがとうね、2人とも。さあ、こっちだよ」


 どこに案内すればいいかわからないから、とりあえず公園エリアにご案内。

 ピクニックテーブルみたいな場所も用意されてるから、そこで待っててもらおう。

 さて、フォレストキャットねこちゃんはどこかな?

 噴水の近くにいないし、コールで呼び出した方が早いかな。

 という訳で、早速コールを使って呼び出しですよ!

 名前は、パートナー一覧を確認して……スズランだね。


「コール、スズラン!」


 呼び出されたフォレストキャットは、一瞬きょとんとした後、ボクの方へ歩み寄ってきたよ。


「へえ、その子がさっきのフォレストキャットなのね」

「猫系のモンスターも可愛いですね」


 2人にも好評なようでよかったよ。


 でも、仲間にしたばかりだから、毛がゴワゴワしてるね。

 では、早速クリーンを2回ほどかけて、シャンプーセットを取り出します。

 噴水横に置いてあるシャワーセットも取り出して、まずは軽くクレンジングシャンプーで洗ってあげるよ。

 ……この子はシャワーを浴びても逃げ出さないし、シャンプーで洗っても抵抗しないイイコだね。

 短毛種だから軽く優しく洗ってあげて、一度洗い流します。

 その後は、薬用シャンプーで洗ってあげて、タオルで水気を拭き取り、ドライヤーの魔法で乾かせてあげたら完了ですよ!

 さっきまでゴワゴワだった毛並みが、すべすべになって気持ちいいね!


「お手入れが終わったみたいね。……私達が触っても大丈夫かしら?」

「うん、少しでいいから触ってみたいな」

「了解だよ。スズラン、触っても大丈夫かな?」


 スズランに確認をとると、ピクニックテーブルの上に乗って丸くなったよ。

 どうやら、触っても大丈夫って事みたいだね。


「大丈夫みたいだよ。触るときは優しくね」

「わかってるよ。それじゃあ、ちょっとだけ……うわぁ、毛並みがすべすべしてて手触りがいいよ」

「本当ね。これってシャンプーをしてあげたおかげかしら」


 2人はスズランの手触りに夢中だね。

 今のうちにスズランのステータスを確認しておこうかな。


 ――――――――――――――――――――――――


 名前:スズラン

 種族:フォレストキャット Lv.15

 HP:89/89 MP:80/80

 STR:42 VIT:28 DEX:60

 AGI:72 INT:26 MND:50

 スキル:

【牙撃】 【爪撃】 【強襲】

 特殊スキル:

【魔法耐性】 【対魔法障壁】


 ――――――――――――――――――――――――


 やっぱり、ネームドモンスターだけあってステータスが高いね。

 特にAGIとDEXが高い。

 MNDも高いし、【魔法耐性】と【対魔法障壁】の効果もあるから、魔法系モンスターとの戦闘には活躍してくれそう。


 その後は、女子3人で今日の打ち上げになったよ。

 2人ともマイホームには興味が湧いたようで、今度、ハイネさん達先輩方に聞いてみるらしいね。

 あと、スズカはパートナーがほしいからユーリさんに聞いてみたみたいだけど、【使役の心得】って言うスキルを手に入れなくちゃいけないらしく断念したみたい。

【使役の心得】はマーケットでも売買されてるらしいけど、100万以上するらしいね。

 それでいて、効果はテイマーやサマナーが使う場合の劣化版らしいから、素直に諦めることにしたんだって。

 その代わり、時々ボクの家に遊びに来たいって言ってたから、もちろん賛成したよ。

 セルシアも遊びに来たいらしいし、たまにここでまったりお茶会をするのもいいよね、って話になった。


 打ち上げが終わったら、それなりの時間になってたから2人はログアウトしていったよ。

 ボクもスズランに食事を与えたらログアウトだね。

 スズランの前に料理や食材アイテムを並べたら、迷わず果物の前に行ったからこの子の食事も果物かな。


 さて、食事を与え終わったら寝ることにするよ。

 今日は1つ目の目標だったフォレストキャットも手に入ったし大満足だね。

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