第187話 最強はアップデートを楽しむ⑨
元々ここを使っていたPTが戻る事無く、経験値スクロールの効果が切れるタイミングで、クラチャを開いた。
[[村雨] イベントアイテムは美味いけど……微妙だなw]
[[ren] ボス試したい]
[[白聖] ん~。イベント終わったら魔巣に籠るかw]
[[黒龍] ボス?]
[[鉄男] お! いいねぇ、ボス!]
[[キヨシ] 行きたいぜ!]
[[さゆたん] ボスってどこのボスでしゅ?]
[[ティタ] まさか、ここの新ボス試す気?w]
[[風牙] いいねぇw
攻略法見つかったらしばらく独占できんじゃね?w]
[[大和] 楽しそうw]
概ね皆の返事も良い感じなので、スクロールの時間を確認した。
残り時間の最長がゼンさんで、残り十五分らしいことからそれを使いきって、街で合流することになった。
先に戻った私たちは、各々補充と装備の耐久を戻してから、再び地下入口へ集合することを決める。
今回の討伐対象が新規ボスということもあって、何の情報も無いし調べる事もできない。
そこで、出来る限りのPOTとスクロールを用意することにした。
「麻痺、毒、石化、後は……ディティクションと解除と……」
一人でブツブツつぶやきながら、倉庫の中から必要な物を取り出す。
「装備は、多分闇だよね……リッチって言ってたし。でも、違う可能性もあるから、火は予備で持って行こう」
装備は、一応ダメ元で闇属性と火属性の耐性があるものを用意した。他には何が必要だろう? そう思いつつ、自分のアイテムボックス内を凝視して思考する。
[[黒龍] なー、ren。ちょっといいか?]
[[大次郎先生] renちょっと相談があるんだけどw]
[[ティタ] ねーねー。闇でいいのかな?]
[[†元親†] 俺、闇属性の防具ない!]
[[ren] ?]
二人に同時に呼ばれ、返事をする。
すると二人から同時に、ベルゼが復帰してると言う話をされた。
だから、それがどうしたと言うのだろうか?
意味が分からず、教官で会って話した事を思い出しその事を伝える。
[[ren] 知ってる。話した]
[[宮様] はぁ……この子は……]
[[聖劉] やっぱりrenはrenだったなw]
[[宗乃助] 相変わらずでござるよw]
[[黒龍] 勧誘しろよ! ベルゼなら拳だし即戦力だろうが!]
確かに、ベルゼは無所属だった。
けど、ベルゼは確か……付き合っている彼女がクランのマスターをしていたはずで、戻ったならそのクランに入るはずだ。
[[ren] ベルゼの彼女のクランに行くんじゃないの?]
[[大次郎先生] ベルゼ来るって、ポータルでクラン入れてやってw]
いつの間にかベルゼを勧誘していたらしい先生から、ポータルに行けと言われる。その指示に従い開いていた倉庫のタブと、アイテムボックスのタブを閉じてポータルへ向かった。
何処から見ても頭一つ飛び出したベルゼを発見。
向こうも私に気付いたようで、手を上げこちらに近づいてきた。
「さっきぶりw」
「うん。勧誘飛ばす」
「よろw」
ベルゼの返事に、クランのタブを開き勧誘を押す。
【 ベルゼ が Bloodthirsty Fairy クランに加入しました 】と言うシステムログが流れ、ベルゼの頭の上にクランマークが表示された。
ベルゼの部隊はどうしよう。どこか希望があるか聞いても良いけど、面倒だし人数が居ないティタの部隊に入れておこう。
ほんの僅かな間考えて、ティタの部隊に加入させた。
二人で並び倉庫へ歩きながら、クランに入って良かったのか聞いた私に、ベルゼは苦い顔をしながら「まー、なんつーかなw」と笑っていた。
微妙な空気を払拭したくて、これから新しいボスに行く事と、ボスがどの程度か分からない事から出来る限り備品を揃えて欲しい事を伝える。
するとベルゼは、心得たと言わんばかりに親指を立て倉庫の建物の中へ入って行く、その彼を追うように私も再び中へ入った。
[[風牙] よ、ベルゼ]
[[ミツルギ] よろしくお願いするっすw]
[[ベルゼ] よろしく。三次職カンスト、職は拳系!]
[[ヒガキ] このクラン本当に入ってくる方皆さんカンストなんですねw]
[[キヨシ] よ!兄弟w]
[[白聖] まぁ、カンストしてるのは仕方ないw
元がクラメンばっかりだしなw]
[[宗乃助] いつから、ベルゼとキヨシは兄弟になったでござるか?w]
[[村雨] なぁ、博士と春日丸もログインしてるし誘っていい?]
[[黒龍] つか、ベルゼお前さ、ソロするならなんで
すぐ、うちにこなかったんだよw]
[[大次郎先生] 人数に余裕あるし構わないよw]
[[ベルゼ] いや、ログインしてすぐさ、renに会ったけど
誘われなかったから、要らんのかと思ってw]
[[さゆたん] 人数は多い方が良いでしゅw]
[[鉄男] あぁ、24人まで入れるしなw]
[[宮様] ベルゼ……renには自分から入るって言わないとダメよ?w]
[[村雨] だなw 俺らも一切勧誘されなかったしw]
[[ベルゼ] あ、やっぱり……そうなんだ?]
まただ、また会話が折り重なり、カオスになり始めた。
つか、ベルゼクラン入りたいなら言ってよ。てっきり、彼女のとこ行くもんだと思ってたから誘わなかっただけだし……。
言い訳がましいしくクラチャで発言しようかとまで考え、言い募ったところでディスられるだけだと思いやめた。が、言わなくても、ディスられた。
もういい。ディスられるのはいつもの事だ。そう気持ちを切り替え準備を優先させる。
アイテムボックスと倉庫を開き、他に必要な物が無いかを吟味した。
よし、これで大丈夫だろう。これ以上は考えても思いつかないし、集合に遅れるのも迷惑になる。
倉庫とアイテムボックスのウィンドウを閉じ、入り口へ向かい歩き始めた。
歩きながら、新しい魔法書があるかもしれない。と思い立ち取引所を開くも、今の所目新しい物は売りに出ていなかった。
今回のドロップ率から考えれば、出ていないのも仕方ない。
まだ一日目だし、数日して再び見てみることにする。
それから少しして、入り口に到着した。
全員が入り口に集合する間に、PT編成を話し合いで決める。
今回のPT編成は、以下の通りだ。
第一PTはメイン攻撃を担って貰うため、黒・鉄男・風牙・ミツルギ・村雨・宮ネェ・先生・源次
第二PTは火力でごり押しする、大和・白聖・聖劉・ベルゼ・ティタ・宗乃助・チカ・春日丸
第三は魔法攻撃に特化した、キヨシ・博士・さゆたん・ゼンさん・ヒガキさん・私。
第三PTに回復が居ないけれど、そこは諦めて貰うほかない。
そうは言っても、別に誰も気にしてなさそうな雰囲気だ。
連合を組み終わり、黒の声に意気揚々出発した。
一階でまずは、雑貨屋NPCで買いものを済ませる。
購入するのは、解除のスクロールとペルケプティオのレンズだ。
解除のスクロールは、予備含め百枚もあれば足りるだろう。
そして、謎のアイテムであるペルケプティオのレンズは、一枚だけ購入して鑑定する。
使い方が分からなければかなりの損失になると考えた。その理由は、レンズ一枚が500kと言う高額品だからだ。
======================
【 ペルケプティオのレンズ (1回分) 】
所有者のみ使用可能。
隠れたモンスターを発見する事ができる。
効果時間 1分
使用回数 1回
※ 不死鉱山でのみ使用可能
======================
いまいち何に使うのかは分からない。けれど、米印が気になる。もしかしたらボスで使うかもしれない。これは持っておいて損はないだろう。
鑑定の結果を鑑みて、購入する結論を出した。
予備含め十枚ほど、購入しておく。
買い物が終わるタイミングで先生が皆に声をかける。
それに答え、買い物が終わった事を知らせ、トランスパレンシーと移動速度上昇のバフを入れ移動を開始した。
移動中、どんなボスが出てくるのか、とてもワクワクした。
周囲を移動する皆も、楽しみなようでその表情は明るい。
階層を登る毎に、トランスパレンシーではスルーできないモブが増え始めた。
モブが来る度に多勢に無勢で、応戦しているので問題はないが、流石にこの先はバフがいるだろう。
八階の階段でバフを入れる。個別のバフは、時間をずらす目的で今は入れずにおく。
黒を先頭に、PTは進む。殿は大和で前後を盾が囲む形で進みボス部屋へと到着した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます