第95話 最強は覇者を志す㉗ PT戦@少数
街に戻り、いつものようにBGM(クラチャ)を聞きながら補給と装備の耐久戻しへ向かう。
[[大次郎先生] なんだろうなー。トーナメント戦キツイ気がするw]
[[宗乃助] 終わったでござる~]
[[さゆたん] 色々と渋いでしゅよ……]
[[キヨシ] 勝ったけど、すっきりしねーw冷凍ダメだーw]
[[宮様] はぁ、やっぱり困るわねぇ~]
[[黒龍] 個人戦のが楽? 団体キツくね?]
[[ゼン] おかです~]
[[さゆたん] フリーザー厳しいでしゅ]
[[ヒガキ] お疲れ様です]
[[†元親†] おもろwwww]
[[白聖] メデューサ盾とか使うやついんのなw]
[[ティタ] お疲れw]
[[大次郎先生] おつ]
デバフ使うメンバーにも同じような感想があるようだ。
個人戦にしても団体にしても今回はデバフが入り難いのは確かで……一応運営に確認しておこうかと、メールを送くる。どうせ、返信はテンプレだろうけど……。
[[黒龍] メデューサ役に立つの?]
[[ティタ] メデューサ盾ってデバフ?]
[[白聖] さっきのPTの盾が持っててさ、renとキヨシレジられまくりw]
[[黒龍] 精錬するより楽じゃん!w]
[[大次郎先生] メデューサ盾って、防御いくつなの?]
[[宮様] 安易に買わない方がいいわよ~]
メデューサ盾に食いつく黒とティタと先生。宮ネェの言う通り安易に買わない方がいいと私も思う。
その性能は、魔法防御以外はゴミと言っていい。まだ、槍とか剣とか持っていた方がマシな程度に……。
黒の場合、盾の防御力が今より30は下がること間違いなしだ。
あの盾を黒が持つつもりなのであれば、それなりにPTの構成を変えていかないと厳しいだろう。
そう言えば、ソロソロあれの結果が出ている時間だったはず……未だクラチャで話しこんでいる白たちの話しを見ながら、倉庫に立ち寄ったついでにクラン倉庫を見ておこうと、中身を見れば見事に2.5Tと500Mが減っている。
今回落札した金額の最大が設定が2.5Tで、税金が500M引かれていたのだろうと思いつつも、一応クランハウス専用の競売NPCへと向かい本当に落札できているのかを確した。
NPCへ話しかけ落札済みクランハウスの項目をタップする。
落札されたハウスの場所と値段、落札したクラン名の一覧が表示された。
それをスクロールしながらクラン名を確認する。
上から十七番目に【 ヘラ | 2,500,000,000,000 | Bloodthirsty Fairy 】と表示されていた。無事落札ているできているのは間違いないらしい。
その項目の備考欄に、元の持ち主の名前が書かれている事が多い中、私が落札したクラン ハウスの備考欄には【 不明 】と書かれていた。
不明……ね……。
確か不明と表示されるのは、予期せずBANされたか、三年間クランの誰もログインせず運営によって売りに出された場合のみだったはず。
思考している私に、シロがまだかー? と呼びだした。
[[ren] クランハウス落ちた]
[[宗乃助] 誠でござるか?]
[[さゆたん] 本当でしゅか?w]
[[黒龍] おー! 場所何処?]
[[大次郎先生] 2.5Tか……]
[[ren] y。 ヘラ]
[[白聖] 見に行きたいw]
[[宮様] 元4Tなら色々弄れそうよね~]
[[ヒガキ] 工房欲しいところですね!]
[[キヨシ] 秘密基地だ―!]
[[ティタ] おー! 見たい!]
[[†元親†] 地下基地だーww]
[[ゼン] 見たいですね!]
[[ren] 終わったら、案内する]
不明な部分は見なかった事にしよう。
どうせ、クランハウスが売りに出された時点で、全て初期化されている。元の持ち主が例え敵対であろうと気にせず使わせて貰おう。
トーナメント戦NPCへ向かいながら、思考を切り替え次のPT戦へと思いを馳せた。
NPCへ到着すると直に呼び出しのカウントが開始される。
『次は、デバフ入るといいなー』
『最悪シロのDPで乗り切るでござるよ』
『俺に頼るなwwww』
現状、シロのDPに頼るほか打開策がないので仕方ないと諦めて貰おう。
それよりも、デバフの強化をするためには、やはり四次職になるしかない。現状まだ三次職までしか公開されてはいない。
四次職の話しは、ユーザー間内での噂でしかない。だが、サブクラスをもう一つとる事が出来る現状を鑑みて考えればいずれ、どこかのタイミングでアップデートされる可能性が高い。
そうなった時に、他よりも一歩先にいくためにはできうる限りの事はしておいたほうがいいだろう。
『四次職……来ないかな』
『え? ren目指すのかYO!』
『y スキルこれ以上強化出来ない』
『あー。サブ何にすんの?』
『盾か……回復』
『renが盾……違和感しかないでござるw』
『案外盾は上手いんじゃね?w 回復か……俺何にするかなー』
『拙者、弓やりたいでござるよw』
『俺、MP攻撃と俊足欲しいから……暗殺者やろうかなぁ?』
『ないでござるw』
『キヨシは無しだなw 他のメンツとの折り合いみながらだなw』
カウントが進むのを待つ間に、四次職に向けてサブクラスを何にするかの話しあいが行われた。
私の希望としては、盾か回復を育てたいところだ。シロは他の皆と合わせると言い。
宗乃助は弓を、キヨシは暗殺者を希望している。
まぁ、キヨシに関しては、死に戻り専用か……と皆が思った事だろう。
いずれ四次職の夢を語り終えたところで、視界がブラックアウトすると同時に湿地帯へと切り替わる。
足元はぬかるみ、少し歩くだけで水音が上がる。
周囲を見回せば私たちを全て覆い隠すほど背の高いススキやカヤが覆い尚且つ枯れている。間違いなくあたるだけでもカサカサ音が鳴るだろう。
『トランスパレンシーいる?』
『これ入れても入れなくても一緒じゃね?』
『でござるな。ディティク優先の方がよさそうでござる』
『周り、燃やそーぜーw』
『お前の周りだけにしとけ?w 集中攻撃受けて死ぬだけだぞw』
トランスパレンシーは今回も無しで……と言うか入れても意味がないと言うべきか……。
バフを開始しつつ、相手を確認する。
大槌ドワ、使えない回復、二次職大剣三毛猫、双剣使いのヒューマンの四人である。
よく見知った名前に、バフをいつも通りに入れPTMの三人に視線を向けた。
『うへ……潰し合いww』
『殺るなら回復からでござるなw』
『ティタをrenが止めている間に、チカとゼン。
ドワは足遅いから、出来るだけ距離とるかw』
『ティタか……面倒だな』
『まーやるしかねーよw』
そう、今回もまたメンバーとかち合ってしまった……と言うより合わない方がおかしい時間帯だったのだ。
[[大次郎先生] 面倒なPTに当たった]
[[白聖] 本当にな……]
[[†元親†] キヨシじゃんw]
[[ティタ] とりあえず、優先でrenかな?w]
[[キヨシ] おー! チカww]
[[大次郎先生] そこはキヨシにしようw]
[[ゼン] 宜しくお願いしますw]
[[宗乃助] 勝つでござるよ!]
[[ティタ] 勝つのうちだからw]
開始前と言うこともありクラチャで和気あいあいと話してはいるが、双方勝ちを譲るつもりはない。
手の内を知られているクラメンだからこそ、本気で戦えると言うものだ。
前回はネタで召喚したが、今回は召喚はせず本気のバトルを行う。
三人を見れば、各々気合十分と言ったところ。
視線を合わせ頷き合う。
『勝つぜ!』
『おうよー!』
『常勝でござる!』
『うん』
バフをかけ終わると同時に、PTチャットでシロが勝ちを取りに行く宣言する。それにキヨシ、宗乃助、私の順で返す。
よくも悪くも全て知っているクラメンが相手であり、今回のPT戦に意味があるかどうかは不明ながらも、譲るつもりは毛頭ない。
くだらない話をクラチャしつつ、相手の油断を誘う。その間に、道を選び先生たちのPTがいるであろう方向を目指し移動を開始した――。
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