第79話 最強は覇者を志す⑭ PT戦
補給などを済ませ、先生たちが消えて行くのを見送って、そう時間がかからず私たちにもカウントが表示された。前回と違うのはPOTなどの補充が済んだことで、気持ち的に焦りがないことだろう。
カウントが終わり移動するのを待つ間、ティタたちから送られてきた先生たちの潰れたSSをマジマジと拡大しつつ観察する。
確かに先生の太鼓腹と言うべき特徴的なお腹が、潰された空き缶のようにペコっと潰れているし、宮ネェの幼女とは思えない胸が横に広がり潰れている。
見れば見るほど面白い……が、運営のこれを考えた人、詳細にやりすぎじゃない? とも思う……。
そんな事をグダグダと考え、笑っている間に会場へと入ったようだ。
SSを消し視界を確認すれば雑木林のようなエリアだった。
枯れ枝などが落ちているエリアで、移動には十分気を付けなければならないのだが……PTメンバーにキヨシ、チカがいるので今回トランスパレンシーは入れないでおく。近付き相手が見えてからでも問題ないだろう。
まずは画面右端に表示されて、相手のPTの構成を確認する。
盾=
珍しく魔法攻撃職がいないPTだなと思い見ていれば、ティタが珍しく、重ATKの柿Pとやりたいと言い出した。理由を確認すれば、以前お世話になっていたクランのマスターであるリアルフレだと言う。なると納得しつつ皆が頷き了承した。
『ティタのは処理終わって、盾と重ATKになったらティタは単独な』
『よろしく』
『がんばろーぜぇ!』
『殺せぇ!』
『k』
バフ入れ、移動を開始する。漸く見えた相手の装備を確認すれば、飛距離がありそうな弓、暗殺者であろう軽ATKの二人が見える。この二人には注意が必要だとキヨシ、チカに伝え前に出過ぎないよう促した。
流石にそこを理解できない訳では無いらしいキヨシとチカが黒とティタを盾にしつつ、物陰から相手を覗い見る姿に、何故だろうか……良く出来ましたと褒めてやりたいと言う気分になった。
そんな私の気分を余所に、当人たちは開始を今か今かと待ちわびているようだった。
『残り5で飛び出して、弓と回復潰そう』
『チカ、バリア張るタイミング俺が言うから使うなよ!』
『わかったぜぇ!』
『回復、サイレンス試す』
『フリーザー優先誰?』
『盾、暗殺者で』
『了解』
ティタの作戦としては、早めに陣取り囲みたいところなのだろう。それに頷き同意すれば、黒がバリアのタイミングを自分に任せろと言い、チカが胸を叩きサムズアップする。
フリーザーの優先を聞いたキヨシに、ティタが答えたところで開始まで残り15秒となり、トランスパレンシーをここで追加した。
『残り5……4……3……2……1……go』
黒のカウントに合わせ、開始5秒前で飛び出す。全員が配置に付くと同時に、カウントが0となり開始の音がなる。
それにタイミングを合わせたように黒がレンジ ヘイトを発動させる。
キヨシのフリーザーが、暗殺者であろう夕凪へと打ち込まれるもレジられたようだ。
再度打ち込みを始めたキヨシを庇いつつ、ティタが弓へとターゲットマーカーを点け、斬りかかる。
弓の縁の足元付近にバインド(+18)を設置発動させ結果を見ることなく、サイレンス(+25)を回復のモメントに打ち込んだ。
今回の相手は、既に何度か私たちの戦い方を研究しているで、そう易々とは回復に近づかせまいと陣を張っている。挙句、魔法耐性まであげられており非常にヤリ辛い。
『なんだこいつらやりにくいぃぃぃぃ!』
『チカ、俺の後ろにいろ』
『耐性たけーーーーーー!』
キヨシの言葉に無言で、エレメンタル アップ(+15)を追加するもやっぱりレジられているようだった。黒の指示で、チカが動き背後へと回り込む。
弓に入れたバインドは案の定レジられ、仕方なく石化させる方へとシフトしようと考えたところで、チカがピュリファイを覚えていたのか気になりPTチャットで確認した。
『チカ。ピュリファイある?』
『んー。わかんねー』
『調べて』
『わかったー!』
なんとも心もとない返事だ……調べている間に、バインドを再度設置し発動させてみるも縁には効かない……が、弓の傍に陣取っていた暗殺者には効いたようだ……。
そっちじゃないと思いつつもこれで少しは動きやすくなると思いなおし、回復にサイレンス(+25)を詠唱発動させた。
漸くサイレンスが入り回復をただの人としたところで、状況を確認すれば弓がチカをタゲっている。黒がなんとか庇っているようだが、相手の盾と重ATKに挟まれみっつを一度に捌いている状況だ。
ティタとキヨシが、弓をタゲりスキルを使いつつ攻撃するも、足が自由な弓は回避する。
『キヨシ。弓にガム』
『待って……ガム……なっ、あぁ! わかったぜぇぇぇ』
ティタの言葉に、キヨシが何? と言いかけ ”ガム” と呼ばれる相手の足をその場に留めるために使う、アンディーシブを思い出したようだ。
すかさずキヨシがガムを詠唱発動すれば、ティタと私から逃げ回っていたはずの弓の足元に、煙の様なエフェクトが上がる。
このチャンスを逃す訳がないと、即座にキヨシがアイス ランスを打ち込み、ティタが高速で移動すると同時に剣を×印に構えスキルを発動すれば相手のHPを三割削った。
二人に負けじと属性MAXの杖に持ち替えブレス オブ アローを詠唱し叩き込んだ。
『キヨシ、余裕あったら柿Pにもガム。入ったらフリーザー』
『わかったぜええええええ』
『使える男=キ・ヨ・シ!!』
『訳わかんね―こといってねーで俺にヒールとばせ? チカ』
『チカが一番役立たず?』
『ちがいねーかもなwww』
『ren、それは違う! 俺は、やらないだけで、やろうと思えばできる男なんだYO!』
『じゃ、やれ?』
『あ、ピュリファイは覚えてなかった』
ティタの指示通りキヨシが、ガムとフリーザーで柿Pを一時的に止めれば、通常回復が暇なはずはない状況の中で、ひとり暇だったらしいチカがキヨシを褒める。それに対し、黒が回復をよこせと言い。
折角なので、役立たずと伝えてみれば黒が同意した。やらないだけでやればできる男らしいチカにやれとティタが伝えたところで、漸く調べ終わったらしいピュリファイが無いと伝えられた。
現状、なんとかなりそうな状況に少しだけいつもの会話を楽しみ、相手盾職にバインド(+18)を発動させた。7回目で漸くバインドが入ったかと思えば、バフが点滅している。
慌てて個人バフの更新をかけ、二刀に持ち直すと未だ動けない弓の背面へと回り込み、袈裟斬を仕掛ける。右手の刀で脇から腹にかけて斬り、反動を利用し一回転回り逆手にした左手の刀で斬りつけた。
キヨシのサンダー スピアが止めとなり縁が灰色へと変化し沈んだ。
『よし。次>夕凪』
『身体がムズムズする! 俺も戦うぜぇぇぇ!』
『いや……回復しとけよw』
『一人だし、黒なら平気だろ! おらぁぁぁぁ!』
ターゲットマーカーが、バインドで固まる軽ATKを示せば限界を迎えたチカがついに動く。
なんのための回復職なのかとクラメンも、相手もきっと思っている事だろう……だが、チカは昔からこうだ……相手の回復でさえその行動に目を見張る中彼は、ローブを翻し颯爽と暗殺者へと走り、大剣を背からふり抜くと「卍○」と叫び斬りかかった。
『お前に、それは100年早い!』
『キヨシ、あれどっちかって言うと○龍閃じゃない? スカってるし……ださw』
『ティタ、石つぶてとんでないよww 』
良く分からない話で盛り上がるティタとキヨシを放置し、攻撃が3回に1回はスカるチカに仕方なく近接用のバフを追加した。
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