第42話 最強は撲滅を齎す⑫
劣勢から圧勝する未来を思い浮かべ、楽しさから口角を持ち上げ、メイジたちの元へと戻ればサイレンス(+25)が入らなかったマジックフェイスをさゆたんと、キヨシが沈めたところだった。
逃げ惑うメイジたちを、砲台の如く魔法で狙い打つ二人のアシストをする。
[[ren] ニンクル]
[[ティタ] アクセル乙。次、ドリアンナ]
移動速度を減少させる、単体用のスロー(+25)をニンクルにかけ、杖から二刀へ持ち替えその足を止めるように、右手の刀を肩からワキにかけて切りつけた。
慌てた様子で杖を取り出し、抵抗しているが背後から迫る。アイス ランスを避けきれず、ダメージを負った。
その間に、左手の刀で凍てついた部分を抉るよう差込、腹部へダメージを与える。口を動かし、何かを言っているようだがサイレンスの効果が効いているため、その声は私には届かない。
[[白聖] ダウンプル効果切れる]
[[ティタ] k]
[[さゆたん] フリーザー@3]
必死に肩を掴んで来るニンクルの腹部に、蹴りを入れ飛ばした。キヨシのアイス ランスがその身体を穿ち、さゆたんのサンダー ストームに巻き込まれ姿を確認できた時には既に灰色になり倒れていた。
[[キヨシ] とーかいDO]
[[宮様] 宗。少し離れてMP持たない]
[[宗乃助] 承知]
[[キヨシ] フリーザーで止めるかー?]
[[大次郎先生] 頼む。renも余裕あればバインド。ペトリファクション使って]
[[ren] k]
次々と飛ぶ指示。
自分にできることを考え動く、まずはキヨシの指定したタゲの足止めだ。二刀を持ち走り寄る。
そこで気付く、さゆたんの背後に敵の暗殺者と思われる者の姿を――
クラチャで避けるよう言うより、魔法を使った方が早い。
即座に、さゆたんにペトリファクションを詠唱し入れれば、寸での所で暗殺者のスキルを回避していた。
[[ren] シロ、宗乃助、キヨシ 最優先アーガスト]
クラチャで、手の開いている三人に指示を飛ばし私も、アーガストへ走り左手の刀で切りつけるも、回避されてしまう。
「チッ」
少しでも掠っていればいいのだが、完全に避けられたことに舌打ちする。
これだから回避職は嫌いだ。
攻撃態勢を保つ、暗殺者のタゲがキヨシに行かないよう警戒しつつ、宗乃助の到着を待つも来ない。
ジリジリとキヨシの方向へ移動する暗殺者から目が離せない……少しでも視線を逸らせば、確実に私かキヨシを狙ってスキルを打ち込んでくるだろう。
自分なら確実にそうする。だからこそ判る。
耳が痛くなるほどの緊張感が漂う。そこにビュンと音を鳴らし、私の右腕スレスレを、雷を帯びた矢が高速通過すると同時に暗殺者を貫いた。
体勢を崩す暗殺者に、右手の刀を水平にした状態で切りかかりダメージを与える。間髪おかずにキヨシのサンダー スピアが暗殺者の頭上から降り注ぎ追撃した。
休むことなくその身体へ左右の刀を使い攻撃する。その隙を狙うようにシロが矢を放ち貫けば、キヨシのアイス ランスで防御すら取ることもできず暗殺者は灰色となり倒れた。
[[ren] 宮ネェ さゆたん解除よろ]
[[宗乃助] hhhh(※help me 助けを求めること)]
[[宮様] k]
[[白聖] 宗の最優先]
宗乃助のヘルプに走り寄るが宗乃助が四人に囲まれたこ殴り状態だ。
HPの残りが1センチあるかどうかだ。黒が、宗乃助を囲う四人にレンジ ヘイトを放ち、タゲを逸らしているが、宮ネェの回復でもHPの減りには追いつかない状況だ。
[[宮様] バリア]
クラチャで発言すると同時に、クラメンに無敵時間が訪れる。
その間にHPやMPの回復をし宗乃助を基点に、バインド(+18)を設置し、即時発動させれば囲む四人のうち二人は変色し動かなくなった。
石化を解除されたさゆたんにお礼を言われ頷きかえしたところで、フリーザーの足止めが解除される。再度入れてはたまらないとばかりに敵対のATKは、優先を護衛が着いている宮ネェではなく、魔法攻撃職であるさゆたん、キヨシへ絞ったようだ。
[[黒龍] 二人とも外周でいい走り回れ]
[[大次郎先生] ティタ宗の方、先。黒危なくなったら走って
ren。宮の護衛ついて。シロ、ダウンプル]
黒が二人に助言する。
シロが弓を大きく引き絞りダウンプル アローを発射すれば、さゆたん、キヨシを追いかけていたATKの数名が一時的にだが足止めを食う。
振り向きざまにフリーザーを打ち込むさゆたんを見ていたキヨシが、同じように振り向きざまフリーザーを打ち込むも、軌道が逸れ敵の魔法攻撃職を固めた。
[[キヨシ] 俺は天才だぁ~~!]
某有名漫画のセリフを吐き出したキヨシに突っ込む暇もなく。
さゆたん、キヨシの足止めをしようと矢を番える弓職へ、ブレス オブ アローを詠唱破棄で、打ち込み攻撃を逸らしてやる間に、ティタと先生が黒から離れ宗乃助を狙う、ドワーフにタゲを合わせ攻撃をはじめる。
[[大次郎先生] 周りの石化いける?]
[[ren] k]
二刀を杖に持ち替え、自身にソウル オブ ウラガーンを入れ移動しながら、ティタと先生に集るATKにペトリファクションを使い石化させる。
残り半分となったところで、バリアーの効果が切れるとガツガツと私、宮ネェ以外のHPバーが減っていく。HPPOTを飲み回復するエフェクトがそこかしこであがる。
[[大次郎先生] HP2割切ったら帰還していい]
その状況を見ていた先生がクラチャで発言するも、返事を返す余裕も無い。
ティタと先生の取り巻きを固めたところで、宗乃助を執拗に攻撃していたドワーフが倒れ灰色となる。
[[ティタ] 銀太郎]
ターゲットマーカーが、次のタゲを示しティタ、先生、宗乃助が取り囲み攻撃を再開する。その間に、黒の周りにいる敵対にMPPOTをがぶ飲みしながら、ペトリファクションを入れる。
シロが、さゆたん、キヨシを狙うATKに対し、チクチク矢を差し込んでいきつつ二人も振り返り、アイス ランスやサンダー スピアを打ち込んでいた。
二人については大丈夫そうだと判断すると、黒たちの方へと集中する。
宮ネェが黒の方へ移動するのに付き合い、ターゲットマーカーが示す敵ATKにアーマー ブレイク(+25)を入れてやる。
エフェクトが頭上に表示されたと同時に、取り囲む三人のスキルエフェクトが折り重なり表示され、ダメージを叩き込まれた敵には抗うすべもなく、エフェクトが消えると倒れ灰色となった。
[[黒龍] ティタたち、さゆ、キヨシの方行って]
[[ティタ] k]
[[宮様] なんとかなった感じかしらね?]
[[大次郎先生] まぁ、そうだな……気は抜けないけど]
[[ren] ディティク]
私たちにとっては、カオスだった場がなんとか落ち着きを見せはじめたことで、クラチャで会話する余裕が生まれた。ディティクションを打ち上げ、周囲を見回し伏兵が居ないかを確認する。
見えるのは、十以上ある敵対の石像と氷像、後はNPCとなった二名のメイジ職、キヨシたちを追うATKが三人、隅から弓で狙うウサギが一人、ダウンプルで足止めされた盾一人だ。
[[宮様] 新しいのは居ないわ]
[[黒龍] キヨシ、さゆ。こっち来い。受ける]
[[大次郎先生] ren。MP回復してバフ更新たのむ]
[[さゆ] いくでしゅ]
[[キヨシ] kkkっく]
[[ren] k]
[[白聖] キヨシ、必死すぎww]
高級MPPOTを10本ほどがぶ飲みして、MPをMAXまで回復させさゆたん、キヨシが範囲内に入ったのを確認するとバフを更新した。
個別のバフを入れ終えれば、黒のレンジ ヘイトのエフェクトがあがる。
黒の側をグルグル回る、さゆたんとキヨシの後を追うように近づくATKの一人にスローを入れる。
ロリエルフ足に鉄球が嵌るエフェクトが見え、ティタが即座にターゲットマーカーを合わせタゲを示す。ティタ、黒、宗乃助、先生がロリエルフを囲み攻撃をはじめるのを見て、アーマー ブレイク(+25)を入れる。
詠唱すること10回目で漸く鎧の砕けるエフェクトがあがる。
あぁ~。マジかっこよく一発で決めれるようになりたい……マジ、無駄なMP使わされた。
軽くレジスト――魔法が入らないこと――されたことに、苛立ちを覚える。
その腹いせとばかりにロリエルフに向けブレス オブ アローを詠唱破棄で連射した。
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