第39話 最強は撲滅を齎す⑨
宿屋に入るも部屋の鍵を持っているのが、ゆっくり歩いてくるメンバーだと気付き、宿屋の入り口に戻るハメになった。
[[大次郎先生] ほい。ren鍵]
[[ren] ん。お金は?]
[[ティタ] いくらー?]
[[黒龍] いくらだ?]
[[大次郎先生] あぁ、今回は奢りってことで]
[[キヨシ] そう言えば装備どうすんのー? 売っていい?]
[[宮様] 却下]
[[大次郎先生] それについてはとりあえず中入ってから相談]
キヨシのクラチャにふと思いついた。
強化貧乏って、名前にすればいいんじゃないだろうか? ……既に使われている可能性もあるけど。
下らない事を考えつつ宿の室内へと入り、先生がクラチャでメンバーに報告と提案をはじめた。
[[大次郎先生] 色々あったけど、皆おつ。でだ、ちょっと考えた事があって
皆の意見を聞きたいから、気になったら発言して]
[[黒龍] おー]
[[大次郎先生] まず、今回拾った装備については、返却して欲しいやつが
居ない場合、クラン費用にしようと考えてるんだけど。どう?]
[[白聖] クラメンが借金で購入することは可能?]
[[ティタ] いいんでない?]
[[大次郎先生] クラメンが欲しいって言うのであれば可能。
その場合キチンと期限は付けるつもり]
[[白聖] 了解]
[[大次郎先生] クラン費用にする目的は、クランハウス。
他には、強化の素材、消耗品とかをクラン内で安く販売する]
[[キヨシ] それいいなぁ~!]
[[さゆたん] 消耗品はありがたいでしゅね]
[[ゼン] クランハウスって高いですよね?]
[[黒龍] それ、砥石とかPOTも含めんの?]
[[大次郎先生] 黒のあたりまでかな。含めるとしたら……。
それ以上になると、やっぱり城持ちになるしかない]
[[ren] 管理、誰?]
[[大次郎先生] 管理は、俺、宮、ren]
[[宮様] サブマスとクラマスだけってことね]
[[大次郎先生] うん。それが良いと思う。renには在庫管理と現金管理任せたい。
補充、販売は、俺と宮が請け負うよ]
在庫管理と現金管理……簡単そうだから受けてもいいと考えるも、ハタと気付く。
現金管理って借金の催促とかするのか? そう思うと一気にだるくなる。
[[宮様] 私は、手伝うわよ]
[[大次郎先生] ren。どう?]
[[ren] 借金の催促 私?]
[[大次郎先生] ……っ! サブマスがやります……]
[[ren] ならやってもいい。面倒なの嫌]
自分でも酷い性格だと思う……面倒なことをやりたくないがために、懇願する視線を先生に送り、催促のことを伝えれば先生は詰まりつつも、やってくれると答えてくれた。
”クレハ” いますか?
”ren” ?
”クレハ” 元グランドロールの者です。
”ren” で?
”クレハ” あの……+12デュアルオリハルコンダガーの返却をお願いします!
”ren” k
”クレハ” ありがとうございます。
”ren” さっきPKした人?
”クレハ” はい。その時に落としまして……。猫の暗殺職で石化させられてました。
”ren” あぁ。宿来て
”クレハ” 既に居ます。
”ren” 行く
[[ren] ティタ。+12デュアルオリハルコンダガーplz]
[[ティタ] 来た?]
[[ren] うん。猫が返してほしいって]
[[ティタ] トレ出す]
[[ren] k]
[[宮様] それ私も一緒にいくわ。聞きたいこともあるし]
クレハから密談が届き、装備を取りに来たと伝えられる。
装備の持ち主である、ティタからトレードで受け取り、一緒に行くという宮ネェと宿の入り口へと向った。と言っても、視覚の中に表示された、退室の表示をタップするだけだ。
視野が暗転し、宿の入り口へと到着する。
そこには、もふもふの毛に耳を垂らしたグレーの見覚えある猫獣人ことクレハが、そわそわと落ち着き無く尻尾を動かし待っていた。
「トレ出す」
「ありがとうございます!」
「ちょっと、クレハさんに聞きたいことがあるからPTに誘って良いかしら?」
「あ、はい」
[[宮様] PTに、装備取りに来た元グランドロールの子入れるから
不用意な発言禁止ね!]
[[大次郎先生] 元ってことは抜けてるの?]
[[宮様] そうみたいね]
[[黒龍] 抜けたからって敵対解除はなしだろ?]
[[大次郎先生] 個人的な謝罪文をクラン宛に送らない限り解除はしない]
[[宮様] それは後々伝えるから、感情的にならないでちょうだいね]
トレードで、装備を戻している間に宮ネェから誘われたクレハがPTへと参加した。
『お邪魔します』
『早速で悪いけど、いくつか質問に答えて欲しいのよ』
『なんでしょうか?』
『さっきのPKであなた達が、死に戻りしなかった理由は何?』
[[さゆたん] あれは、不気味だったでしゅね]
[[黒龍] だなー。くだんなそーだけどw]
『あれは、その……私が言ったって内緒にしてもらえますか?』
『えぇ。勿論よ』
『その死に戻りすると経験値7%減るじゃないですか? それで、クラメンがリアフレに頼んで課金アイテムで起してもらえるってクラチャで報告してて、それ待ちしてたんですよ』
『そうだったの。確かに課金アイテムなら半分だものね』
『はい』
[[白聖] あの野良PTがそうだった可能性が高くね?]
[[宗乃助] 名前入りでSSは取ってあるでござるよ]
[[ティタ] 流石。忍]
[[キヨシ] しかしよ~。ペラペラしゃべって大丈夫なのか? こいつ]
宮ネェの質問に答えるクレハは、キヨシが言うように本当に大丈夫なのだろうか? と心配になるほどその後も素直に全てを話してくれた。
先程のPKで装備が消滅した者がおり、それを伝えたらしいのだがマスターであるアクセルは、クラン倉庫内に資金がないため、補填しないと答えたらしい。
補填も出来ないとは、本当に最悪のクランではないだろうか……。
黒の言葉を借りれば、アクセル。マジ、クソヤロウだな。だ。
補填しないせいで、先程のPTメンバーの半数がクランを抜けたと言う。それでも残りは30人とうちの3倍はいる。
他にも、良く使う狩場について、残ったメンバーの中にはどんな職がいるか、PKで全滅したせいで、暴言を吐かれ抜けたことなどを語った。
『最後の質問よ』
『野良PTのメンバーの名前一人だけでいいから教えて欲しいの。わかるかしら?』
『確か……グランドジェイルです』
[[宗乃助] 当りでござった]
[[大次郎先生] 宗。そのSS回して]
[[宗乃助] 直に送るでござる]
必要な情報を得ることができた。
宮ネェが別れぎわ情報提供の礼にと、個人的にクランに対して謝罪文をメールで送ることで敵対が解除されることを伝えていた。
それに対し、クレハは直に送りますねと言い残し去って行った。
彼女の協力で、新たな敵の協力者がわかった。狩場に関しては全幅の信頼を置くことはできない。だが嘘を伝えているようにも見えなかったことから、半分は信じてもいいだろう。
PKに負けたからと慰めるならまだしも、暴言を吐くその根性が気に入らない。絶対に叩き潰してやると決意を新たに、メンバーが待つ室内へと戻った。
室内へ戻り、クラン倉庫に入れておくため、ドロップした装備を預かる。シロは、自分の拾った弓を20回払いで購入すると伝えていた……現状最強の弓に一番近いといわれている、弓の+11ならば、借金してでも欲しいだろうと誰も反対はしなかった。
身内が強くなればそれだけ、周りが助かるので当然と言える。
[[大次郎先生] よし、補充、装備関係の復旧、トイレで休憩入れるか……。
1時間後に、集合で。次は善悪のボスタイムとかぶるからそっち行こう]
次は善悪でPKか……そう思いつつ、ログアウトボタンをタップした。
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