第18話 最強はクランのLv上げを目論む①

 【 ヘラ 】にある大神殿内部にいるNPCへと話しかければ、選択肢がまた変わっている。

 一日奴隷から、一日恋人へ、そして現在は、私を救って下さいと表示されていた……、もはや意味がわからない。運営は何を考えているのだろうか? 受けを狙うにしても、もっと上手いこと考えて欲しいものだ。

 

 運営に弄ばれる哀れに見える金髪イケメンのNPCを見事にスルーして、目的の選択肢をタップする。

 ウィンドウが開きクエストアイテムを渡すをタップすれば、【 約束の証 】が消え完了のシステムログが流れた。

【 おめでとうございます。 Bloodthirsty Fairy クランのLvが1上がりました。 】


 これで、クエスト終了だ。

 次のクエストを受けてその場を後にする。


 先ほど買った、お好み焼きのこともあるし一度【 ネキュレネ 】へ戻ることを決めポータルへと向った。

 【 ネキュレネ 】の宿屋の部屋に到着して、室内を見渡せば、先生、黒、ティタが居なかった。三人がどこへ行ったのかクラチャで訪ねる。


[[ren] お好み焼き 先生、黒、ティタ。どこ?]

[[大次郎先生] おかえり。ちょっとフレが、PKされたらしくて、PKKしに行ってる]

[[黒龍] 元クランのマスターに呼び出され中]

[[ティタ] クエ手伝う予定のフレんとこいる]

[[ren] 先生、PKKは声かけて?]

[[宗乃助] 諜報で参加したかったでござる]

[[宮様] 黒大丈夫なの? 説明省いて抜けたんじゃないでしょうね?]

[[白聖] 先生、俺も行きたかった]

[[さゆたん] クエ手伝い大丈夫でしゅか? わたくちも必要なら手伝うでしゅよ?]

[[キヨシ] お好み焼きだ~。]


 先生は、PKK。PKKには行きたかったな……。

 ティタはクエの手伝いらしい。黒は元マスターに呼び出されているようだった。


 待つつもりもないので、他メンバーにトレードを出しお好み焼きとお金を交換していく。宮ネェが、絶対返しなさいよと白チャでキヨシに言いつつ、キヨシの分を立替払ってくれた。


[[大次郎先生] すまん。今度からクラチャで流すわ。雑魚だからいいかなと思った]

[[黒龍] あー。大丈夫じゃねーわ。めんどくせー] 

[[ティタ] さゆたん、あり。もう終わるし大丈夫]

[[ren] 雑魚なら、いらない]

[[白聖] 雑魚でも行きたい!]


 PKKに誘われなかったこと愚痴れば、先生が次から流すといい。黒が若干切れ気味な口調なり、ティタは総時間が掛からず戻るようだ。

 雑魚だからと言う言葉に、行きたかったという気持ちが消え失せる。シロは雑魚参加したいらしい。


[[宮様] 黒。なんなら、私が行きましょうか? あら、これ美味しいわね]

[[さゆたん] そうでしゅか、これ中々食べれましゅね!]

[[宗乃助] 雑魚でも行きたかったでござる。

     誠にこれは中々工夫されていて美味しいでござる]

[[ren] うん。不味くない]

[[白聖] これ、アリだな。何処に売ってた?]

[[キヨシ] やべぇ! これマジ美味しい!]


 クラチャで話しつつ、宿屋のいるメンバーがお好み焼きを頬張る。

 宮ネェは、黒を心配しつつ、後半の感想がお好み焼きに対するものになり、さゆたんもティタに返答しつつ、お好み焼きの感想を言う。

 宗乃助にいたっては、PKKに行きたかったと不満を漏らしつつ、その顔はいい笑顔だ。

 

 バナナの皮のような葉に包まれたお好み焼きを、竹箸を使ってたべれば、サクっとする歯ざわりの豚肉に包まれた、キャベツとその他の柔らかい食感甘辛いソースと鰹節? が程よく効いていて、久しぶりに美味しいと思えた。


 あの店は、今後も利用しよう……。

 

[[黒龍] あー。うぜぇ! 

    俺一人抜けた所でクランの火力がそう変わるわけねーじゃん!]

[[宮様] だから、行こうかって言ってるのに……]

[[ティタ] 終わった~。戻る]

[[大次郎先生] 黒、しつこいようなら言って。密談で話着けるから]

[[ren] アフロディーテの中心部そばにあった。黒、マスター殺せば?]

[[宗乃助] おつかれでござった ティタ]

[[白聖] おつ]

[[さゆたん] renちゃん。直に殺す宣言だめでしゅよ!

      PKしても文句言われないように条件を揃えてから殺るでしゅよ!]


 黒の元いたクランについて、知っていることと言えば、ブルービーツって言う名前の大型のクランで、攻城戦やレイドを同盟を組んでやっている。何度かお邪魔させて貰ったことがあるのでなんとなくだが、職の構成もわかる。


 三次職になったプレイヤーが結構な数いたはず。

 盾も黒を含め三名が、三次職と言う状態だったはず。その中で一番の高Lvが黒なのだろう。それでも、一人抜けたからと火力が他の血盟より劣ると言うことはないと思うのだが……。


 クラン運営する、マスターの思惑的な部分で、黒が必要なのかもしれないなと結論付け考えるのをやめた。

 考えている間に、ティタの手伝いが終わり、先生が黒に密談で自分が話しをつけるといいつつ宿屋へ戻ってきた。


 シロの問いに答え、先生にお好み焼きを渡す。もちろん料金はいただいた。

 さゆたんの発言は、聞かなかったことにする。

 ティタと黒の帰りを待つ間、白チャでも別の話キヨシの装備で盛り上がる。


「お前ねぇ。本当にどうすんの? 攻城戦やるにしても、その装備じゃゴミだよ?」


「ゴミといえるかが疑問でしゅ……。貸した相手がrenちゃんでしゅし」


「……ちなみに、ren。どんな装備貸したの?」


 お好み焼きを食べる先生が、キヨシに装備をどうするのかを問いただすせば、ゴミと言う発言を聞いたさゆたんが、疑問をだいたらしい。それを宮ネェが拾い、貸した内容を聞かれた。言うのも面倒なのでSSをメールで送る。


「SS送った」


「ありがとう。見るわね」


「宮、回して」


 シロの言葉に宮ネェから、キヨシ以外のクランメンバー(以降、クラメン表記)へとSSが一括送信されたであろうことが直にわかる発言が次々とクラチャに流れた。

 剥ぎ取れだの、勿体無いだの。言いたい放題なクラメンにキヨシが、精一杯の抵抗をするも敢無く言い負かされてしまい、泣きそうな顔をしていたが、自業自得なので慰めることはしない。


 お好み焼きを食べ終わり、クランLv上げのお使いクエストをこなすため、宮ネェに黒とティタの分のお好み焼きを預け宿を出る。

 そのまま、ポータルまで進み。次のクエストの街【 デメテル 】へと転移した。


 この街は、少し変わっていて面白い。

 豊穣の神であるデメテルの名に因んで作られた町だ。白塗りの壁、緑の屋根をした家々が立ち並び、街の中心には女神の像が建てられている。

 街のあちらこちらに菜園があり場所により、野菜だったり、果物だったり、牧場だったりする。


 その菜園でプレイヤーは採取することができるのだ。初めてここに来た時は、丸7日かけて全ての菜園で採取をした。

 その時に知り合ったのが宮ネェだ。


 この街の東にある菜園の中に、リンゴを木を育てている菜園がある。

 そこのリンゴを採取すると、極々稀に転職に必要なクエストアイテムである【 黄金のりんご 】を獲得するできると掲示板に晒されていた。


 私がこの街に来て採取をはじめた二日後に掲示板に書かれてしまい。

 はからずも、沢山のプレイヤー回復職が、その菜園に集まりリンゴの木から採取をしていた。

 その中に突っ込むかどうかをかなりの時間をかけ悩んだ末、折角だからとリンゴを採取していた。

  

 3本目の木でリンゴを採取していると、突然割り込んだ男エルフが卑下た視線を向けてくる。相手するのも面倒だと無視し続けていれば、手を触ってきたり、足を触ろうとしたりと行為が徐々にエスカレートして行った。


 いい加減、切り殺そうと思った時、それを見かねた宮ネェが、私の足に触れようとした、男の頭に赤いピンヒールを履いた足で見事なカカト落としを叩き込んだのだ。


 「ぶへっ」と気持ち悪い声を出した男は、直さま通報され、キャラが硬直したような状態になり、残像を残しつつ消えた。


 その後、宮ネェにお礼だと別の狩場でドロップした【 黄金のりんご 】を手渡したことで、食事に誘われ話しをするうちに意気投合してフレンドになった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る