memory:124 決意、波打ち際に集え
叢雲の子供達へのサプライズ。もともと
「どうだい?皆楽しんでいるかな。」
「あ、
そこへ遅ればせながら参じた、
「なんだいなんだい〜〜ミヤミヤも
「
「おやなんだね。このSPの若造……未だシスコンの気が抜けきって――」
「
「こいつ、堅っ苦しいにぇ……(汗)。」
「まあまあシュリリンたん……ここは気楽に行きましょう。」
「そうそう、ここはチルく行こ〜〜。」
「
「誰がたるんでるって〜〜?悪いのはこの口ぃ〜〜?」
軽く
その光景は、あの子供達あってこの大人達ありと言わんばかりである。
「当主
「ああ、
「ええ、それはもう重々承知しております。そもそも我が海上自衛隊でも、過酷な試練を越えるためにはまず、共にある同僚との日常を何より重んじる様指導しております。かの旧帝国海軍の歴史に残らなかった英雄……我が祖先の魂に変えても、今は楽しませて頂きます。」
その機関大人側一団へ、
そんな女神の如き片われは、海自指揮官を務める
「
「
「そうだな……。だが二人とも分かっているんだ……この戦いいかんで、世界の命運が決まってしまう事実を。
「まさに……当主
視界に映る機関員のはしゃぎ様とは異なる思考で、当主と従者たるSPが居並び歩く。彼らはやはり、古来より国家守護を成して来た三神守護宗家の一員であった。社会派分家ならいざ知らず、覚醒の当主は今の今までその
ほどなく、様々な思惑はあれどかけがえのない時間のために機関員総出のナイトバカンスは宴もたけなわへ。その光景を目の当たりにする
『ふむ……かのイザナギノミコトとイザナミノミコトが生みし暁の大地は、辛うじてその希望を保っていた様じゃのぅ。いやはや、この電脳の海で得た人類の数多の所業から、もはや蒼き大地が進む未来は無限地獄
『その中でもやはり、アマテラスの血脈受け継ぐ暁の黄金種末裔は、絶望の中にあっても輝いておる。ならばワシも、その連綿たる命脈が絶たれる事だけは阻止せんとな……。』
触手銀髪揺らすライバー神は、紛う事なき神代の知識で想いを吐露する。
積み上げた歴史すら崩壊寸前となる蒼き大地に、力強く芽吹く希望を賛美しながら。
†††
アメノハバキリに属する表立った者達と、戦いの矢面に立つ子供達が波打ち際で人生を謳歌する。そこに交じる
「やめ……だから、私は泳げないとぉぉぉぉ――」
「いいから来なって! そもそもここなら足が付くし、溺れるほどの場所とかほぼないっポイんだし!」
「くくっ、観念するでやがります! 普段弄って来る分、しっかりノシつけて返すでやがります!」
「おねーちゃん、それはだめですの! そーいうのはイジメですの!」
「むっ……それはいけないであります! ウルスラ……そこに直るであります!」
「すわっ!? こら
「……おい、カオスじゃねぇかよコレ(汗)。」
「カオス……だね。って……
「遠泳、ってほどの距離でもないけどな。」
叢雲の子供達は、全てのしがらみから逃れる様に心を開放させていた。
そして――
「ど、どどどうだい?
「喝ーーっ!! この
「ああ、
「き、貴様シザ! 言うに事欠いて……あ、ああ
「ロズ君、手……繋ぎたかったの? いいよ、ほら!これぐらい全然お安い御用だよ!」
「「だ……台無しだ……(汗)。」」
ナイトバカンスは、想定された以上の効果を協力者全体へ行き渡らせた。そんな状況を満足げに見やる
「ここにいる者達は、ものの数日後には地球と太陽系の最果てと言う境界に引き裂かれる。けれどそれを、孤独の戦いなどと思う訳にはいかない。」
視線ははるか、地球の夜空の先にある
「離れていても、オレ達家族は明日を招来するために再びこの地で再会する。すでにかの地で封印を破らんとする……偉大なる魔王を討伐した後に。」
それでも――
たった一つ脳裏へと刻まれた後悔が、彼の魂へ憂いを生んでいた。それは、自らを討てと宣言した彼の友人の事。魔蝿の王……
語りあったのはほんの僅か。されど彼にそんな時間の短さなどは些末な事である。それはかの高貴なる君が幾星霜の時を生きた魔王であり、彼との時間さえ宇宙の時間からした瞬く刹那でしかないから。そんな永劫の時の中で共に語り合えた瞬間は、炎羅にとっての奇跡でしかなかったのだから。
見上げたまま双眸を閉じ、彼方に存在するであろう友を思う様に思考を宇宙と重ね合わす。するとすでに覚醒を得た当主へ、忘れえぬ親しき胎動が高次元の膜宇宙を介して伝わっていた。
「感じるよ、
「君は安心して、オレ達に討たれるといい。君が深淵を引き付けるとは即ち、そう言う事なのだろ? だからオレは……オレ達は覚悟を持って、君と対峙しよう。かけがえのない、魔族の盟友よ……。」
心へ、魂へその決意を行き渡らせて、静かに双眸見開く覚醒の当主は、名実ともに守護宗家の誇る対魔討滅の志士としての面構えを手に入れていた。
決意を新たとするバカンスは更けて行く。残すその時間で、決戦に挑む総員の覚悟は鋭利に研ぎ澄まされた。
やがて、決戦の地へ向かう日は、容赦なく彼らを煽り立てて来たのだ。
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