決戦!ヴェルゼヴュードとパンデモニウム!
memory:118 それぞれの備え
人生でも初めての覚醒能力発動は、思いの
そんな時間経過を病み上がりの起き抜けへと伝えてくれたのは、今まで雑務に奔走してくれていた頼れるSPだ。
「……っ。ここは……医務室、か。」
「……!? ふぅ……お気づきになられましたか、当主
「
「かしこまりました。」
ベット上、真っ白い天井から視線を移すとそこにいた彼。オレの微睡みからの覚醒へ反応した
そこに
本当にオレの周りにいる有力者達には頭も上がらないな。
ふと、
「久方ぶりの顔を見たと思えば……そうか。
「それ、ここで名乗りを上げないといけない流れかい? ったく……あんたの身内に絡むと、アタイもおちおち自衛隊出向特別顧問なんてやってられないさね。」
「
「若造は黙っておいで。こちとら叢剣の死に目を看取った立場だ。あんた如き若輩が、口答えできると思わんこったね。」
回転座イスに、足を組んで腰掛ける堂々たる姿。けれど眼差しの奥には、
彼女の口にした通り、オレの
「っと……やだねぇ、よけいなお小言が口をついちまった。
老齢とは言えど、彼女はあの
「
「ケケッ! 察しがいいねぇ……流石は
「愛想の尽きた奴らとは、早々に縁を切る。叢剣の認めた炎羅って男前の元でなら、アタイもやりがいがあるってもんだからねぇ。ケッケッケ!!」
カラカラと笑う姿が元気を貰えると、評判のそれが炸裂する。対する
この身を案じて止まない、子供達の元へ出向く事とした。
†††
自発的に集まる男子陣営は誰からともなく
映し出されるは言うまでもなく、彼らが今まで熟した
「ここ……。
「ふむふむ……現役自衛官さんの助言はとても役に立ちますね。」
「お褒めに預かり光栄であります。次……
「うっ……そうなんだ。あたしそもそも戦うとかが初めての中で、ここまでやってきたかんね。なかなかそういうのが理解できない所があるっぽい。」
「いやむしろ、経験も何もない所からここまでの戦いを
「……やんのか、この素敵カワイイプラチナブロンド少女め。」
「褒めるかケンカを売るか、どちらかにするでやがりますよあんたは(汗)。」
「あっ……ここは、ゆーちゃんがもっとホバリングを安定させるべきだったよね?アオイおねーちゃん。」
「ああ、アオイおねーちゃん……良い響きですの。ご、ゴホン!失礼でしましたの。そうですの……シャルーアの超技術から来る本体性能は、地球の大気などものともしないですが、それ以外の攻撃は確実に大気圏内特有の影響下にあるのを忘れないでほしいですの。」
「地球の大気って、本来人類が想像もつかないほどにあらゆる物へ影響を及ぼしているのを、考慮して戦う必要があるですの。これが大気圏外の宇宙空間となれば話は別……あ――」
男性陣に負けじと、足りぬ機動兵装技術を知識共有により高め合う少女達。が、その会話へ思わず入れ込んだ大気圏外との言葉で、一同が意識してか黙してしまう。言うに及ばず、それはすでに説明を受けた少年少女初の地球外進出が、常軌を逸した人類存亡を懸けた戦いである事実を起因としていた。
自分達にしかできない事をと意気込む裏で、知らず知らずにがむしゃらの影へ未知の経験に対する恐怖を隠し、目を背ける形になっていたのだ。
そこへ――
「あんた達マジ暗いしぃ〜〜? ウルスラもアオイも、そんな根性なしに育てた覚えはない感じぃ〜〜。ほらほら、ちょっとそれ、見せちぃ。」
「ど、どこから現れたでやがりますか、このJKかぶれママは!? てか狭い……狭いでやがります!」
「押さないでほしいですのママ! この椅子に三人は座れないですの!」
「……ってか、暗いって言ってるでしょ。いつもの元気はどうした? このハルミ・
モニター前。二人で座すがやっとのベンチシートに腰掛け、難しい顔をする双子へ割り込む様に、すでに機関での協力陣営でも幅を効かせる古代技術研究学者……
「ねぇ……ウルスラはこの子達と一緒に宇宙へ上るんでしょ? その宇宙で、オプチャリスカの名を轟かせてくれるんだよね?」
「……轟くも何も、相手は異形の生命体でやがります。それ以前に、ウルスラは脇役――イタッ!?」
「メッチ! あんたがどう言おうと、ウルスラもアオイもこんなすごい場所で活躍する……ママにとって憧れのスーパーヒロイン。だから変な意地張んなし。」
「……やめるでやがります。皆がいるのに、その……恥ずかしいでやがりますよ。でも……ありがと、ママ。」
恥じらいながら自虐する
母親だからこそ、彼女達が地球の命運背負って戦う事を誇りに想い、けれどそれこそを案じて二人を両の手で抱き寄せる。その姿は機神を駆る少女達にも余すことなく伝わって行く。彼女らは緊急性の高い事態を鑑み、心が入れ替わるのを感じた親しい者との交流も後回しで、機関での待機に務める状況。
だからこそ、本当の親心と愛情に包まれる双子の姿を我が事の様に喜んでいた。
暫しの親子の包容の後、すっくと席を離れるママ博士が元の雰囲気へと立ち代わり、伝言として訪れた旨を口にする。そしてそこからが、
「さあ、ひとまずパイロットレクチャーは置いとけぇ〜〜。もうすぐ、えと……なんだっけ? マゾクさん?とやらさんが、このアメノトリフネに到着するらしいよん。つか、マゾクってガチィ?」
「ああもう……JKネタが新しいんだか古いんだか。分かったでやがりますよ。皆、行きやがるです。」
コロコロと変わるママ博士の態度に苦笑を漏らす少女達は、男子陣と合流するや宇宙勢力受け入れえと向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます