memory:103 反撃の翼広げる、明日への希望達!
配膳係となった
「おい、あの車椅子のガキはどうした? まさかお前……監視担当じゃ――ごへっ!?」
が、返答が飛ぶまでもなく、当て身で部隊員を昏倒させたのはほかでもない食堂施設の長。現在その長へと成りすましていた
「監視が二人など……たかが食堂施設と見て、油断もこの上ない部隊だ。奴らの、我々に対する素性洗い出しがどれほど
「カカッ! そもそも宗家広しと言えど、まさか守護宗家の当主様が食堂長となって料理の腕を振るっとるなんざ、天地がひっくり返っても考えはせんけぇのぅ!」
「それもそうだな。そして、そんな守護宗家の新たな世代に見合う多様性を体現する、
「相手が悪いわ。ワシを除けば間違いなく、宗家で最も恐れられるはおんどれじゃけぇの。んじゃ、守備はええか?」
「当然だ。
そうして食堂施設が刹那で制圧された要因は紛う事なく、
事態を予め想定していた機関では、ハナから対特殊部隊制圧に特化した宗家メンバーが選りすぐられていたのだ。
「居住区画はクリアです。
『ああ〜〜問題ないね〜〜。すでに機体の制御も取り戻した所だよ〜〜。こちらはいつでもOKだね〜〜。』
「分かりました。では
『ええ、任されたわ。このまま司令室を奪還の後、
「はい。
アモノハバキリの名が体現する通り、不逞に対する反抗の狼煙上げる機関の勇士達。確かに
対し、古より巨大霊災を相手取って来た血脈を連綿と受け継ぐ守護の本丸は、そんな
それは、
「き、貴様! 監視護衛は……ぐぼぁ!?」
「馬鹿な、こんなアマ如き――ぐふぉ……――」
「あら失礼。しかしそんないかにもな機関銃も、当たらなければどうと言う事はありませんね。」
「いやいや、
なんと、特殊部隊の放つ機関銃の弾丸さえも見切り避けきる聡明な令嬢。彼女は曲りなりにも、武装組織潜入殲滅を初めとした、宗家の対魔討滅部隊としての訓練を受けた身。守護宗家部隊でも最強格と言われる、
程なく司令室も難なく制圧され、さらに彼女らの動きの影では、パイロットである子供達が即座に成すべき事のため駆ける。
そこからは子供達の正念場……彼らの俗世人生に於ける、一世一代の戦いの始まりであった。
†††
それほどの施設を敢えて開放し、掌握可能な領域を晒す事で、
「分かっているな! 君らパイロットは、迷わず本土へ飛ぶんだ! そのためにシャルーアが先行して活路を開く!」
『了解っす
『なんやいっちょ前に心配けぇ! じゃが悪い気はせんのぅ! まあそもそも相手は、ミサイルフリゲートに原潜如き! どっちも電子システムへのクラッキングを許せば、迂闊には動く事もままならんけぇ安心せぇ!』
飛ぶ通信は、不逞の部隊により掌握された電子通信網を介したものではない、それを超越する
「我らはあくまで、あのフリゲートと原潜の足止めだ! 確かにこのヤクサイカヅチでは役不足この上ないが、相手が現代の行き詰まった技術兵装ならば与し易い!」
『まさかおんどれと、共同戦線を張る事になるたぁのぅ! 忘れんなや……ガキ共に真っ当な背中見せるためにも、ここで仲違いは無しじゃけぇ!』
「言われるまでもない! ヤクサイカヅチ、出るぞっ!」
『同じくじゃけ! 海中の原潜はおんどれに任せるけぇのぅ!』
すでに伸された不逞の部隊員を物ともせず、霊装の機体を囮にしてカタパルトへ搬入済みであった二機の疑似霊格兵装が咆哮を上げる。そこには
突如
「クソっ! 奴ら、大人しく軟禁されていたんじゃないのか! 通信管制では何の動きもなかったぞ!? ええい……あの大型兵装かと思えば、カトンボの様な雑魚機の襲撃――」
「構わん、たった一機にはもったいないがくれてやれ! ファランクス起動の後対空防御! 主砲……撃ちー方始めっ!!」
遅れる様に、海域を包囲する不逞の艦船部隊からの砲撃が飛ぶが、カタパルトより射出された機体は彼らの想定すらしない小型兵装。さらには戦闘機に匹敵する空戦能力を有するそれに、さしものフリゲート対空砲火も捉えられずにいた。
「無駄だにぇ。すでに電子兵装撹乱と海上艦へのハッキングは終了……もはや進歩しかねる現代兵装では、超古代の叡智が齎す真の科学を超える事はできないにぇ。」
たった一機の戦略兵装の動きが捉えられぬ事態は、現在制圧完了した司令室で本領発揮した
「海中を侵攻してくる機影あり! 核搭載のハープーンは、天月殿の認可なくしては撃てぬ! ここは戦略魚雷で――」
「ふっ……原潜も、戦略兵装が海中で暴れられる現実には太刀打ち出来まい! そもそも、その様に造られてはいないのだからな!」
同時に戦略原潜側でも異変が巻き起こる。ソナーに移る影は明らかに小型の機影であり、海洋艦でさえない物体である。驚愕たるその機動兵装は、海中での戦闘を考慮した特殊装備を纏う出で立ち。海中とは人類もほとんど未解明な危険地帯であり、
海洋の壁を越えて来る守護宗家の機動兵装は、まさに古の超技術の一端により生み出された隠し玉であった。
原潜が戦略魚雷を放つか否か、それを察した
「……っ、これは!? こちらの戦略魚雷より先に、小型の機影から攻撃……しかもこれは――」
不逞の部隊員も焦燥する攻撃は、原潜を直接狙うものではなかった。双方の中間点で起爆したそれは、海中へ無数の音波の乱反射を生む音響魚雷。潜水艦の要であるソナーの性能を著しく低下させる、海中戦に於ける必殺の戦略武装である。
そのままソナーは愚か魚雷の目標さえも見失った原潜へ、またたく間に迫る
『
形成逆転からの
『カカッ!今じゃ、
「はい、
それを合図に、一足先に
海原を割る様に、ストラフォートレス・シャルーアが本土へ向けて舞い上がった。
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