memory:88 幼将…蒼き地に降り立つ
対流圏の異常発生を通信を受け、
『
「分かったっす。ふぁぁ〜〜今回は出る幕がなかったなぁ。」
『それは良いことじゃないかな。あと
『ああ、その通りだ。あのストラ・フォートレス……たった今届いた正式名称でシャルーアは、正しく
司令室より響く
さらには、共にあった二人の少女のサポートもおざなりにはできない事態に、司令室に詰める当主も多いに学ぶ物があったと首肯していた。
ほどなく、残る古代施設の観測を経て
「
「了解だよ〜〜。これは由々しき事態でもあるから〜〜こちらも早々に準備は進めていたよ〜〜。」
「助かる。
「ええ、その通りですね。彼女の、出生から日本亡命に至る経緯を鑑みた場合、下手をすれば心の奥に致命的な綻びを生みかねません。未だ彼女の祖国で燻る悲劇の残り火が、彼女に影響を及ぼさなければよいのですが。」
向ける足を並べる三人。憂う当主から、次々指示を受け対応をと双眸を細めるは
少女の戦いの前線に出たと言う現実が、後方の憂いの影響で悪い方へと転がるのを防ぐための対応でもあった。
そこには、如何な神代の機動兵装を用いた戦いであろうと、搭乗するのは子供達であり……だからこそそれを全力でバックアップせんとする機関大人達の熱き労りが垣間見えていた。
時を
古代施設の調査と、宇宙は高貴なる魔族勢力との僅かな対話を終えた
そして、大空を舞った三人の少女の長い一日が終わりを告げていった。
†††
時を僅かに
子供達率いる機関主力が、敵勢力である
しかしそれも杞憂と言える光景に、
「ふむ、ロズの
『はい……。六機目に搭乗する者達が後方支援を
「ほほう。お主もよう見ておるの。中々によい観察眼じゃ。」
「ルミナーティル・マギウス方、今回も宇宙側での共闘に感謝します。今後はさらに、事態も深刻になろうとは思いますが――」
『なぁに、気にするでない! このロズウェルが認めた光の勢力にならば、
「重ね重ね感謝致します、魔界の麗しき魔将閣下。それでは……。」
空域に到達するや、
何よりも彼女は、地上人類が持つ浅ましき行為……容姿や行動の奇異へ浴びせる差別と言う罵倒を耳にしており、だがそんな腐り果てた人類の負の面など吹き飛ばす高潔さを目の当たりにした。その事がいっそうに、彼女の中にある光の人類への興味を増幅させる事となったのだ。
「時にロズよ……お主、あの翼の機体を操る幼子に
『ぶっ……!? な、ななな、何をおっしゃいますか……! ロズは、
「慕うのと懸想はまるで違うわ、愚か者。それに高貴なる魔族であるならば、その程度は堂々と宣言してみせよ。と、言うわけで……じゃ。ちと外郭を近う、もっと近う。」
『いえ……魔導式通信で十分聞こえるのですが(汗)。』
ぶり返した様な幼将の問いで、焦りと共に返答を返す温和な魔太子。されど彼らにとって、それはむしろ日常であるかの空気を醸し出していた。
そして、魔導外郭で何やら手招きする幼将。そのどさくさで、彼女が思い付いた提案を耳にするや、魔太子が驚きのあまりひっくり返る勢いで声を荒げる事となる。
『な……なんですとぉ!?
「……こんの馬鹿者がっ!
『……あちらの魔将さんとやら、あんな幼女で
「ああ、ナルナルと相性が良いかも知れないでやがりますね。鬱陶しい趣味嗜好の点では。」
「ウルスラおねーちゃん、それ以上言っちゃだめだよ(汗)。あの人は、魔軍側の偉い人さんなんだから。」
「そうでありますぞ、ウルスラ。上官にあたる方には、それ相応の礼節を持って対応せねば――」
「そりゃ、自衛官のあんたの場合でやがります。ウルスラは、そこまで堅っ苦しいのは苦手でやがります。それになにやら、跳ねっ返りな幼女感がプンプン臭うでやがりますよ、アレは。」
「だめだって、ウルスラおねーちゃん! そんなお口聞いちゃ!」
漏れ聞こえる会話で、壮絶な機関の日常デジャブを感じてしまう子供達が、相次いでその延長上の様に弄り合い……挙げ句はその対象を魔軍の将にまで広げてしまった。
ところが直後、そんな雰囲気に乗っかる勢いの宣言が、まさかの幼将閣下から放たれてしまう事となる。
『なんじゃ? お主らは、
『
そして沈黙。今まで異形と命懸けの死闘を繰り広げたとは思えぬ、嫌な汗が流れる静寂の後。たった一人、その手のネタに敏感な少女の絶叫が木霊するのであった。
『お……男の娘ですとーーーーーーーっっ!!?』
†††
時は戻り、
「ああ〜
『ええ……(汗)。詳細は後で説明しますが、端的に言えば彼女……ルミナーティル・マギウスの一将であらせられる
『うむ! ちと主らの故郷散策をと、そちの嫁御とやらに頼み込んだ次第じゃ! 良きに計らえ!』
『も……申し訳がない、
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