memory:87 三つの心、討滅の翼で天空を支配せよ!
日本本土へ向け、異形の魔艦が隊列成して飛ばんとした時。
刹那、そのリング中央へと形成された高次元の膜は、光学的な明滅と激しいエネルギー放射を伴う次元振動を発生。そしてなんと地球上の位相空間とも言える次元を経て、
その時代に於ける科学的見地からしても、巨大な重力源領域内での大質量物体の移動は極めて困難である。正しく、
「ゲイヴォルグ、ガングニールにフォイル・セイラン……空間転移を確認したでやがります! 姫リーナ!」
「了解であります! 各機神へコードを転送……GEカノン、GGキャリバー、守り
「行くでやがりますよ! ストラズィール外部専用兵装 マシン・フェアリーパージ! ナルナル達……持って行きやがるです!」
そして機体の到着を確認した
「アイ・ハブ・コントロール! これ一度言ってみたかったんですよ、私的に!」
『……あたしはよく分からんけど、このまま合体すればいいんだね!?』
『
「そうだよ、おにーちゃん! 他のお船みたいなのを三隻、魔族さんが相手してくれてる!」
「イレギュレーダは艦隊を成し侵攻しています! こちらの二隻は、我らアメノハバキリで対応せざるを得ません! ですがあなた達とストラズィールが……トリフネで苦楽を共にする皆が協力すれば対応もなるはず! 落ち着いて挑みなさい!」
地球の対流圏と言う場所で、仲睦まじき兄妹は想像もしない巨大機動兵装による共闘を演じる事となる。当然、同じく家族である
『凄っ!? 機体の機動出力が、通常の3倍っポイ!?』
『マジですか!? 3倍……なんと言う素敵な響き……って、そんな事してる場合ではないですね! 族兄さん!』
『普通に名前で呼べや! じゃあ俺と沙織で突撃するぞ!』
同時に、各武装へと備わる大気圏内飛行機能強化を成すシステムで、機動力が全体で底上げされる。さらには強襲突撃が基本戦術となる
「残る霊機戦力が必要か否かは、あなた達の戦いを参照とします! ではまず、
『その機体の名前はシャルーアですね。いい名前です。了解……こちらゲイヴォルグの
「次に
『分かったぜ!
大翼騎甲板上へ
「沙織さん、訓練の成果……見せる時ですよ!」
『はい、分っかりました! ガングニール、とーつーげーきーーっ!!』
機械的な知識で劣る分、機体の性能を必至で身体に叩き込んだ
†††
目の前に迫る魔艦を追い越す様に、急激な加速と停止を繰り出したシャルーアは、間髪入れずに古の技術による空間転移ゲートを展開。それを通り援軍として駆け付けてくれたのは素敵な家族達――
けれど、シュミレート時間も僅かなゆーちゃんは気後れしながらの対応でまごつき、それをフォローする様に二人のおねーちゃんがオペレーションアシストをくれます。
すると事前知識にあった、遠隔武装バックであるマシン・フェアリーが各機体へと飛び、シャルーアと敵艦の間へフォイル・セイランとガングニールが。そしてこちらを足場にするため、機体甲板へと取り付くゲイヴォルグがモニターそれぞれへと映し出されました。
「……い、イスターリオン展開準備! 出力バイパスを生体反応コアへ接続!」
「いいですか、
「ゆーちゃん達の心……!」
そうして三機のストラズィールが、前衛と後衛へ別れて敵艦を目標に定められる様に、シャルーアの対空砲座でグレムリン級にガーゴイル級を迎撃します。そんな中発射を待つ、シャルーアの虎の子でもある艦主砲の力が、ゆーちゃん達の心の力である旨を再確認する
改めて耳にした事で、いっそうの緊張がゆーちゃんを包んだのです。
霊的な力を指す
そのシンボルで言う陽に位置する力こそが、
『いっくよーーっ! 三倍加速で強襲突撃……エクセリオン・バーナー起動――って、速っっ!!?』
『ちょっと何やってるんですか、このサオリーナ! 三倍加速を舐めてはだめでしょう! それはかのOが二つ並ぶ白い奴の、赤い加速突撃にも匹敵する――』
『説明が要領を得ないっポイーーーっっ!!?』
『沙織、シュミレートの訓練とやらを思い出せ! ただ突撃すれば的にしかならねぇが、ガングニールの機動力が伊達じゃねぇ所を思い知らせてやれ!』
『いい、言われなくても分かってるっポイ! 姿勢制御、訓練を思い出せ……今度こそ突撃だーーっっ!』
おにーちゃんのフォイル・セイランの守り
霊振動超高機動ブースト エクセリオン・バーナーは、ストラズィール全機システムへアップロードされた新機能。動力機関の
その重要なポジションへ、このシャルーア起動運用が関わっていたのです。
「ナルナルの狙撃と、サオリーナの突撃が効いてやがります! イレギュレーダの雑兵が混乱し、魔艦の守りが
「ならば今であります! ゆーちゃん……このシャルーアの力を、あの魔の異形へと叩き付けてやるであります!」
ストラズィールの連携が、次第に敵艦の防衛線をこじ開け、日本本土までの勢いが大きく失速。撹乱された小型の魔存在が、みるみる
そこでモニター越しに視線をくれた
『
「ふふ……今さらだよ?
「一緒に戦お?おにーちゃん。大切な命を守るために……素敵な家族と一緒に明日へ歩き出すために。」
交わした言葉は、新しい人生と言う戦いへの覚悟。けど、前の様に絶望しかない暗闇じゃない、希望を手にした素敵な一歩。
「おねーちゃん達、心を一つに! シャルーアへ想いを集めて!
突撃撹乱で、敵全体を射線上へ誘導してくれたガングニールの、射線上からの退避を確認し――
ゆーちゃんは、戦いの咆哮となる霊撃の閃条を撃ち放ったのでした。
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