memory:86 ストラ・フォートレス 討滅する者、シャルーア
それは当初より予定されていた、
「では各機体側にて、送信された個別強化武装とのリンクを行って頂くであります。汎用武装のリンクに関しては、万一に備える非常扱いとし、今後は送信済み武装での戦闘を主軸と――」
『ささ、
『落ち着けよナルナル(汗)。一佐の声が聞こえねぇじゃねぇか。』
『相変わらず、ロボット専門用語への食付きがすごいね……。それに引き換え、こちらは凄い熱量の差が――』
『
『右に同じだな。メカが苦手っつー訳じゃねぇが、流石に俺もロボットネタは範疇の外だ。いちいちこっちに振ってんじゃねぇぞ。』
データ室からやり取りする
モニター越しの揃った機関制服が輝かしい彼らだが、いかんせん会話の点ではいつもの子供達の
「おうおめぇら! 嬢ちゃんの物好きでいちいち惑わされてんじゃねぇ! データ上での仮想試験運用が後に控えてやがんだ! さっさとアップデートをすましちまえぃ!」
そこで業を煮やした
そうして
他の運用テスト待ちのシステムを含め、それらのM・FAL……通称〈マシン・フェアリーシステム〉を同時運用するのが
さらには二機の近接格闘戦を得意とする片割れ、
それぞれが
「このアメノハバキリには、司令塔となる方が二人おられます。草薙家 表門当主たる
「そうだねぇ〜〜。それを実際運用する事態は〜〜こちらとしても避けたいのだけどね〜〜。」
今まで後手に回るが常の
その入念な対応が緊急運用される事になろうとは、誰も予想していなかった。
†††
デヴィル・イレギュレーダが艦船へと姿を変えて、ゆーちゃん達の祖国へと一直線の進路を取る。それは今まで想像だにしない危機と、自分でも察していました。
「トリフネとの通信を急いで! 同時にフォートレスで、かの者の侵攻を食い止めます!
「はい、分かりました! ストラ・フォートレス、機関出力を最大に! これよりイレギュレーダ追撃に――きゃっ!?」
話には聞いていたけれど、その存在との戦いが激化するにつれ、ただの魔生命の群れでしかなかったそれが確実に知的戦略を取り始めているとの情報。それがまさに、眼前で展開されていたのです。
「アメノトリフネとの通信を継続、同時にフォートレスの火器管制システム起動でやがります! 対魔弾装フツノミタマをぶっこんで、手厚い弾幕の嵐をお見舞いするでやがりますよ!」
「了解であります! 対魔弾フツノミタマを、対空重機銃群へ装填! 並びにフォートレス主砲塔、対魔生命迎撃用
けれどそこは、ゆーちゃんよりも状況慣れしている頼もしい二人。ウルスラおねーちゃんと
「射線軸は下方修正20度の位置までに
「「了解っ!」」
敵追撃角度上発生する本土誤射の不利があり、それを考慮した追撃ではすぐに引き離され、被害拡大も必至です。そこだけ見れば、未だゆーちゃん達は後手の状況であると言わざるを得ないんです。
そのための監視偵察任務――
ゆーちゃん達が、わざわざ
距離をジリジリ離して行く、魔のおっきな船達を凝視する
「
「たった今完了したであります! 施設の状態は推測通り、過去の超大質量エネルギー消失による機能不全を抱えてはいますが、施設自体は現在も生きており――」
「そこからロスト・エイジ・テクノロジーに
「あ、
「分かりました!
そして得られたデータを、ストラ・フォートレスへと活かすための任務だったんです。
ゆーちゃん達の、決して諦めない心がそれを呼び覚ましていたのです。
――
火器管制とデータ解析へ注力する二人の前にも、当然それは表示されていて、二人のおねーちゃんと首肯を交わすと古の君へと返答して行きます。
「ゆーちゃん達は、別々の人だよ。でも、それを繋ぐ言葉と想いを共有してるんだ。」
――
「うん……それは、ゆーちゃん一人では無理かもしれないけど、素敵なおねーちゃん達とならきっと出来るよ。」
機体が秘める
「大丈夫、ゆーちゃん達と行こう。ゆーちゃん達も間違えない様にがんばるから、力を貸して欲しいの、ストラ・フォートレス――」
「……ううん、あなたのお名前はストラ・フォートレス〈シャルーア〉だよ?」
悲しき魔を討滅し、正しきを導く存在 シャルーア。その名が刻まれた機体が眩い光を発した時。機関出力が驚異的に跳ね上がったのを確認したのです。
「
「読み通りです! では
「はいっ! 行くよ、シャルーア!」
有り余る機関出力が超技術起動の要因となり、急激に出力上昇したシャルーアが重力圏内ではありえない様な、急加速と急制動で一気に敵の前へと踊り出て――
そこからこそが、ゆーちゃん達の反撃開始の時だったのです。
「ゆーちゃん、今だ! 愛しの兄貴姉貴分を呼びやがるですっ!!」
「はい、ウルスラさん! 来て……
声に反応してシャルーアが展開するのは、高密度に凝縮した霊的エネルギーを有する、大型リング状の相転移ゲート。それが三機……機体上部へ一機と下部左右へそれぞれ二機が直立。さらに可変分離し、大型リング状ゲート展開へと移行します。
それは言うなれば八塩折天元鏡の縮小版。大気圏・重力圏内でも運用可能な次元跳躍式のマス・ドライバー・システムだったのです。
『とーつーげーきーーーーーっっ!!』
『やるぞ、ゴルァーーーっっ!!』
『族兄さん、掛け声……(汗)。まあそれはいいでしょう! では落としちゃいます、私的にっ!』
当然ここへ運ばれるのは、素敵な大輝おにーちゃん達の駆るストラズィールと言う最強の援軍なのでした。
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