memory:15 新たなる家族への道のり
『く、訓練は流石にちょっと……私的にご遠慮願いたいかと! 』
「いやいや、それは無理な話だろう!? そのロボットを動かすために、絶対必要だから! 」
大格納庫でハンガーに固定された
背後にヤレヤレと嘆息する機関員を尻目に、訓練に行くだの行かないだのと叫びあう。
それは見抜く少年が機関へと迎えられて程なくした頃の事であった。
†††
見抜く少年を輸送機にて移送した
「当機関の衣食住は少々制限が付くも、
「まあそりゃそうだろな。女子に女性なら、化粧に衣類に
「
「ふ~~ん。まあ、気を使わないでいいのはありがたいけどさ。」
そんな当主の配慮は、その様な
程なく見抜く少年を連れた憂う当主は、彼に当てられた部屋へと案内して行くのだが……一日を置いたはず機関内でまさに先日と変わらぬ光景が彼らを襲撃する事となる。
「こら、
『ちょっとまだ、ご遠慮させて頂きたいですね。機関員で多く知らない人がいますので、せめて
「……うわぁ(汗)。こいつは筋金入りでやがりますね。」
「日を置いてこれとは。おねーちゃんの、よく調べないで事を焦る体質なみに筋金入りですの。」
「何でそこで、あたしを引き合いに出しやがったですか!? 」
目に飛び込むは、前日の問答を引き摺る様な穿つ少女の引き籠り合戦。そこで彼女をコックピットから出さんとする面々も、変わらずのメンツが揃っていた。
「何やってんだよナルナル……(汗)。昨日の流れのまんまじゃねぇか……。」
「まあ、実はそうなんだが。こちらも機体での引き籠もりを許可した手前大きく出られなくてね。どうだい、
「……協力するって言っちまったし、しゃあなしだな。ちょっと話してみるわ。」
そこで憂う当主から無茶振りをかまされた見抜く少年であったが、口にした協力を反故にも出来ぬと……重い足を
その流れの最初であり、少女と少年の因果が紡がれる始まりでもあったのだ。
†††
地球を守護せし者達の活躍で異形の機械生命一波が屠られる同じ頃――
太陽系に於ける公転軌道で、火星軌道から
だがその意匠へ異形の機械生命にも通じる装飾が備わり、それだけでも舞う巨人が地球の命運に関わる物と推測出来た。
魔の巨人と言うべきそれが一直線に向かうは、蒼き生命満ち溢れる世界。と……それを追う様に、
『シザっ! 待たないかシザ・ビュラ! アスモ……ではない、
「お前の知った事ではない。そもそもお前は
『その様な態度……
しかし状況としては、前を行くシザと呼ばれた少年を追従する同じ世代な少年が追う形。その状況は、地球外から訪れた侵略の徒としては到底似つかわしくはなかった。
先行する聞く耳持たぬ少年は、白髪とも銀髪とも取れる御髪を後方へ流し、三白眼の視線は鋭さと意志の強さを匂わせた。対する追従する少年は、天然であろう紺碧の御髪を持つが、その両こめかみから屈曲した衝角を覗かせる。さらには細い蔓の様な尾が延びる姿は人外のそれであった。
追う紺碧の少年を引き離す様魔の巨人が気炎を吐き、その体躯……疾き風の魔将を思わせる魔光を双眸へ
『ロズウェル。彼が聞き留めないようならば、此度は彼に任せるといい。どの道かの蒼き大地の現状を把握する必要もある。』
「
『それに、かの観測者の息が掛かる者も動いていると……
その映像に映る姿は、日を
『故に貴殿は、シザを支援し観測者に従う者達の器を見極めよ。その者達が器たり得ないと感じたならば、その手を下す事を許可する。』
『我らには、器たり得ぬ者に時間を割くほどの余裕はないのでな。』
「心得ました、
紺碧の少年は返答するや意識を切り替える。己が信じるは
『いいか、ロズウェル。シザが先んじてかの蒼き大地に降り、あの不逞の輩共を滅する。その際に人類側の志士が取るに足らないと感じれば、まずはシザの相手とする。異存はないな? 』
「
『
「だから……
崇拝する存在とのやり取りが終わるや、交わす言葉は気の知れた友人の如き雰囲気を醸し出す紺碧の少年と白銀髪の少年。そして共に視線を前へと見据えるや、二つの魔の巨人は巨大艦船を引き連れ更に気炎をバラ撒いた。
そこから数日の時を置き、彼らは蒼き大地の地磁気帯宙域へと突入する事となる。
広大な宇宙の同胞が動く。それをまたいつもの場所にほど近い街中で
「シザにロズウェルが動くか。彼らはまだ若い。それこそ百年前後で死を迎える人類が、十年足らずを生きた程度かな。ならば彼らはあの
柔らかな視線の高位なる存在は来る因果が明るき物となる事を願い、だがすぐさま己が見定める眼前の危機を察し思考を現実へと向けていた。
「早いな……まだ彼らも十分な準備は整っていないのだけど。間に合うか?シザ達は。」
彼が口にした人類と言う形で言うならば、まだ成人して間もないあどけなささえ
「
高位なる存在は憂うまま天空を見上げ、それだけを零すと……再び誰に気付かれる事なく姿を消して行った。
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