<エピローグ、そして、最後のものがたり>


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 異世界に来てから数か月。結構な経験をした。

 いろんな人達と巡り会ってきた。文字通りの悪党もいれば、クザンの言う通り懸命に生きようと努力を続けてきた者達も大勢いた。随分と影響を受けた気がする。

「かるら~? どうしたの~、上の空で~?」

「いや、ちょっと昔のことを思い出してな」

 前方にはすでに見えている。

 乗っ取られてしまったロックロートシティの入り口が。

「さて、行こうか。ヒーローの快進撃を見せる絶好のチャンスだぜ」

「敵さん。いっぱいいるね~?」

「……そんな心配無用だろうよ」

 今更だろう。カルラはそんな気分でアイザに告げる。

「数年かけて練り続けた計画が健闘虚しく失敗。凡人の間ではよくあることさ……だが数秒であっさりと思いついた妙案が思いがけない成功と革新を導く。こんなこともある。俺たちは“その後者”が出来ちまう立場だ」

 拳を鳴らす。そして、腕が鳴る。

「それに敵がどれだけいようがお前には関係ないだろうがよ。お前は目の前にライオンやワニやカバがいようが素手で喧嘩しに行く馬鹿だし。縦横無尽兵士飛行機だらけの戦場でも無表情で生き残ってただろうが。何の心配だ?」

「心配って、な~に~?」

 冷え切ったエンジンもようやく熱が入り始めた。

 久々に大暴れできる舞台が目の前に迫りカルラのテンションが上がり始める。


「誰もがあっと驚く、最強のヒーローショウってやつだ」

 最後の戦いが迫る。

『……』

 ヨカゼのデータが収納されたデータベース用携帯端末。

 その奥底に眠る“隠されたデータ”。そこには……数字が刻まれている。







 “004”

 “LIMIT.96:00:00”

 “ENERGY 22”


 たった今。最後の“カウントダウン”が、始まった。

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