=EPISODE.07=『WHITE with BLACK』
<第7部 プロローグ> ~ダーク・サイド~
「……粛清は、しくじったのか」
中央都市。政府局本部の座。
市長は部下である丸眼鏡の男を睨みつける。
「いえ、村の粛清自体は成功しました。ただ邪魔者が入った。それだけです」
市長のテーブルにはメージとアブノチの報告書が用意されている。
「実に厄介な奴らに目撃されたものだな」
市長は息を吐きだし、目を尖らせたまま。その報告書に目をつける度に肩の荷が重くなる一方だった。
妨害を繰り返すのは、金の為なら何でもやりかねない裏の世界の何でも屋だ。
法の秩序の恩恵などお構いなしのアウトロー集団。政府の手では束縛することも出来はしない自由の象徴に邪魔をされ続ける。
国のバランスを整えるための、マッチポンプ計画を。
「変に手を回されると面倒になる」
「そこのあたりはご安心を。既に手を回しております」
湿っぽい空気の中、扇子を煽ぎながら後ろを振り向く丸眼鏡の男。
「フゥアリーン。そうだろう?」
彼の背中。ソファーでくつろいでいたのはドレス姿の麗人。コーヒーカップを片手に一息ついていた美人の女性がいた。
「私は多忙だと言ってるのに。仕事を増やさないでほしいのだけど」
フゥアリーンと呼ばれた女性は溜息を吐いて、コーヒーカップを降ろす。
「オルセル」
オルセル・レードナー。
丸眼鏡の男。災厄をバラまく商人の名前である。
「女に男の尻ぬぐいをさせるなんてね……まぁ仕事である以上はきっちりこなすわ。ですので、どうかご安心を」
ソファーを離れ、スカートをつまんで頭を下げる。
「市長スバルヴァ」
「……頼んだぞ」
政府トップによる会談。陰謀渦巻くこの空気の中。
メージの被害届。悲惨な光景が撮影された写真のある報告書の中には---”政府直々の裏取引契約満了"の報告書があった。
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