古龍の慟哭

古龍こりゅう慟哭どうこく 完結済 短編

交通事故から始まる古龍エンシェントドラゴンの転生譚。

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https://kakuyomu.jp/works/1177354054893621170

「その生物、孤独にして孤高」


 どこにでもいる普通の青年、ヴィッチセップはある日交通事故によって死亡し、気が付けば完璧な生命体・古龍に生まれ変わっていた。

 生まれついての孤独、牙を剥く野生……。ついに倒れたヴィッチセップの前に、竜の女王が現れる。

――――――


 カクヨムコンの締め切りも迫る一月の半ば、緑玉りょくぎょく天寵てんちょうが規定文字数に間に合わないと目を回している最中、どこからともなく唐突に沸いた短編です。いきなり思い付いたものを勢いで書いたわけですが、思わぬ名作ができたと驚いています。



 なろう系と呼ばれる転生ファンタジーのテンプレートに思いを馳せていて出来上がった作品です。


 主人公ヴィッチセップは交通事故で死亡し、最強の生命体・古龍エンシェントドラゴンに生まれ変わります。野生動物としてスローライフを送りつつ、生態系を成り上がり、最強の生物として無双し、特に意味もなくメスたちにモテモテ、そしてヒロインと出会う……。なろうで愛されているであろう要素(注:作者は無理解の塊です)の詰め合わせながら、何故か爽快感は皆無の、奇跡のような作品です。



 冗談はさておき……


 本作は古龍という生き物のリアルさに重きを置いています。実在の生物の動きや生態を混ぜ合わせ、そこに少しのファンタジー要素を足して、古龍という生物の詳細な生態を描きました。


 その動物の中に芽生えた人間の意識が、ヴィッチセップです。


 人間とは何か。人間の希求する大きなテーマの一つであると思いますが、その追及の一環として人間と動物を混ぜてみる、という試みは昔からあったのでしょう。文学作品で言えば「山月記」や「変身」、伝承には「狼男」「吸血鬼」、神話においても動物化する人間の話は数多あります。人間という輪郭が崩れた時、精神性における人間の在り方を問うことができる。


 ではヴィッチセップは人なのか獣なのか。


 読んで確かめていただければ幸いです。

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