第28話 公爵令嬢は土属性魔法を覚える
昼食の時、お母様に少し小言を言われたけど、家中のゴミ燃やしてもあの程度だって分かったから、午後の訓練もやりたい放題してやろうと決めた。
ビビアン・スコッティ先生が来られるまで、庭師のおっちゃんの所に行って、土、泥、砂、粘土等、色んな種類の土壌を見せてもらった。
土属性魔法は、火属性や水属性の様に土を生成するのではなく地面の土を操るだけで、土を生成出来るのは錬金魔法になる。
ただ、土や石の固さや色、重さ、水分量等が分からないと、操るだけとは言ってもイメージしにくいし、何より形や大きさ、配合を変えるだけで、土は盾にも矛にもなりうるのだ。
使いこなせれば、相当便利な武器になる。
どうせ錬金魔法も後々覚えなきゃいけないし、しっかり土と会話をしよう。
という事で、土を丸く固めて磨いてみたり、庭師のおっちゃんと棒倒ししたり、こっそり落とし穴を作っておっちゃんの弟子を穴に落としたりと、童心に返って土遊びをめちゃくちゃ堪能した。
てか私5歳だし、年相応じゃん。
で、遊んでたら、いつのまにかビビアン先生来てた。
「ではこれから、土属性魔法の訓練を始めます。
先程、火属性魔法が上手く発動したとお聞きしました
。
土属性魔法は火属性とは違い、土を操作する様に魔力をイメージしてください。
火属性魔法が使えたんですから、土属性魔法もちゃちゃっと習得してしまいましょう。」
つい昨日まで魔法が一切使えなかったの知ってるくせに、簡単に言うなよ。
とりあえず、さっきいっぱい土いじりしてイメージは湧きやすくなった。
まずは、地面の土と魔力を一体化させて、自分の背丈ほどの高さで固めてみよう。
ゴゴゴゴゴゴ…ズドーン。
そして、私とビビアン先生の間に、私の背の高さ程もある壁が出来上がった。
できたーー‼︎
やっぱり、さっきの土いじりが良かったのか、午前中の時よりずいぶんスムーズに発動した。
「す、素晴らしい!
初めてでこれ程大量の土を操作出来るなんて、まるで昨日までの事が嘘の様ですね!」
この人やたら言い方に突っかかりがあるんだよなー、もっと素直に褒めてよ、おばちゃん。
そして、やっぱ大量の土を操作したせいか、どっと疲れが出た。
今日はもう無理かな?
また先生にお手本見せてもらおう。
「ビビアン先生は土属性魔法でどんな事が出来るのですか?
是非見せてください。」
そう言って色んなことをしてもらった。
それはもう、本当に、思いついた事何でも注文した。
土から小石だけを取り出してもらったり、5メートル四方内の石を大きい順に並べてもらったり、土で私とリッカの土人形を作ってそれを動かしてもらったり、どこまで高く壁を建てられるか試してもらったり、その他諸々、ビビアン先生の魔力を使い果たすまで、
その結果、ビビアン先生は今ベンチで横になっている。
子爵家の貴婦人がお行儀の悪い!と言いたいところだけど、そのご婦人をぶっ倒れるっまでこき使ったのは私だから、何も言えねえ。
まだまだ訓練時間は残ってたけど、ビビアン先生脱落で続行不可能になってしまったので、お詫びと謝罪をしてお帰り頂いた。
ビビアン先生のおかげで、出来る事と出来ない事が色々わかった。
まず、土壌の性質を変える事はとても難しいと言う事。
土の中にある石や砂を取り出すのには、かなり想像力が必要だった。
ビビアン先生は、土の中にある砂鉄を取り出す事が出来なかった。
そもそも、砂鉄の存在を知らなかったらしく、イメージ出来なくて実行不可だったみたい。
ついでに言うと、流紋岩、玄武岩、安山岩の名前を出すと「何ですかソレ、初めて名前を聞きました」と。
土属性魔力保持者のくせに全然詳しくない。
というか、うちの書庫の資料にも、花崗岩や黒曜石、大理石といった、普段よく使われている石の種類しか載ってなかった。
実用的じゃない岩の種類は全部ただの石!とか、大雑把にも程があるだろ、この世界。
とにかく、イメージ出来ない種類の土壌は全般操作不可と判明した。
逆にいうと、イメージさえ出来れば、名前を知らなくても大丈夫。
「そこにある何かよく分からん石」とかでも操作可能。
それともう一つ、操る土は、くっつけたり飛ばしたりは出来ても、浮かす事は出来ない。
なので、作った武器は手に持つか飛ばすか、防具は身体に纏わせるか壁にするか、でないと使えない。
とまあ、ビビアン先生が魔力を使い切った分の情報はしっかりと得ることが出来ました。
夕食までまだまだ時間がたくさんある。
という事で、引き続き泥遊び再開!
泥の跳ね方や汚れ方なんかも大事な情報だからね、ただ遊んでるだけじゃないんだよ?
こうして日が暮れるまで、盛大に泥遊びをした。
いやー、こうやって日暮れまで泥遊びだなんて、俺の幼少期以来で、超楽しかった!
今日はすごく充実した一日だったなぁ、この時までは。
この後、泥だらけの私をみてまずリッカに叱られて、訓練中の行動を知ったお父様に夕食後に叱られて、寝る前にお母様に呼び出しされて「一緒に壁を越えるという事はああいう事ではない」と叱られた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます