第20話ブリーフのルポライター

「山梨さん家に寄りはるんかな?」

近所に住むという、おばあさんが

遼と一に話しかけてきた。


「はい。今回の事件について、少しお尋ねしたいことがありまして」


そのおばあさんの話では、山梨家はずいぶん前から、ほぼ別居状態であるということと

それは、奥さんに原因があるということだった。

どうやら、仕事で出張が多い夫の留守中に奥さんが、不貞をしていたという噂があるということだった。


それは、今回の事件とは全く関係ないと思うが、あまり良い噂のない人の上に、今回の事件もあり、これでは面会どころではないと

二人はそのばで立ち尽くしていた。


ただ、一応何度か呼び鈴を押したが、全く居る気配を見せなかったので、二人は今日のところは帰ることにした。


先ほどのおばあさんに一瞥して、二人はその場を去った。


村長宅の別宅を間借りしている二人は、帰ってこれからどう動くか話し合うか。

と、歩きだしているときに、一の携帯に電話が鳴った。


「はい、もしもし。あ、はい。本当ですか!やっぱり。そうですか。ありがとうございます。ではまた」


一は、さくさくっとした会話をし、ガラケーを閉じると嬉しそうな顔をして遼に左手の人差し指を立て言った。


「遼!あのオカリナの秘密わかったぞ。なぜ音が聞こえないかも」


「マジか!?音が聞こえない?ならないやなくて?」


「せや。なるほど。あの時代にこれがあるとはな」

もったいつける一に、遼は一の肩をゆすり

早く言ってくれと催促した。


「で、オカリナはなんなんや?」


「あのオカリナはな」

ニヤケ顔の一に遼はイライラしていた

「あのオカリナは?」


「ま、帰ってゆっくり話そうや」


「なんやそれ?もったいつけやがって」


ー山部邸ー


「お帰りなさい。遼さん、一さん。二人とも今日は遅かったですね。ご苦労様です。ご飯できてますよ」


「いつもすいません。お邪魔します」


二人は奥方とダイニングの方へ行くと、古林となぜか署長の川村が来て、先にやっていた。


「遼、おつかれ!一君、久しぶりやな」


「ああ!古林さん!戻ってたんすね。言って下さいよ」


「古林さん、お久しぶりです。成人式…じゃねーや、あれ以来ですね」


「あれ以来?…そうそう、あれ以来かな?」

古林はいつ以来だったのか、考える素振りで一に話しを合わせていた。


「どうもどうも、夏川さん、河名さん。お疲れ様です」


二人が席につくと、川村が何やら鞄から箱を取り出して、遼に手渡した。


「川村さん、これは…」


「あー、いや。この前河名さんに頼まれて出していたものが帰ってきともので。今日お持ちしたわけなんですよ。はい」


遼の手からその箱を取り、一は、いそいそと中身をテーブルに出した。


「一君、それは??」


「はい、これは神社に奉納されていたオカリナなんですが、今からこれがどうやって、50年前に奇跡を起こしたか、それを説明いたします」


50年前に、ジュゼッペーキアラがおこした

ハーメルンの笛のごとしオカリナの奇跡の秘密を、河名一は説明し始めた。



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