第10話花音と咲希

神主から謎のオカリナを持ち出すことがてまきた遼は、一と二人で少女の遺体が発見された現場へ向かった。


「神隠しとか言うて、結局人がやってんねや。なあ遼」


「神隠しなんかあるわけない。人が居なくなる=事故か事件だよ。一」


「なんかお前、刑事っぽいし、東京弁まじってんな」一が少し笑いながら言った。


「いや刑事だし。本庁勤務者は大阪弁とか禁止なんや」


「ホンマか?」


「ウソに決まってるやんけ」

遼はくすりと笑い、学生時代に戻ったような一との会話を楽しんでいた。


「着いたぞ一」


「ここか。八幡の藪の神隠しとは、よう言うたもんやで」


「ん?君は…」

お花畑の真ん中部分が、六畳ほどの円形の砂地になっていて、そこに女の子が一人三角座りをしていた。


「あれ?花音ちゃんだっけ?咲希ちゃんだっけ?」という一の問いに女の子はすぐに返事をした。


「花音」


「なにしてんのかな?ここで」


「…」


「あ、ほら、遼お前手ぶらで行くから見てみ。あーなんねんて」

「違う!」

花音は直ぐに立ち上がり、遼と一に詰め寄った。


「咲良はともう会われへんのやて思て…」


良く見ると、花音の目は赤く充血して少し腫れていた。

さっきまで泣いていたのだろう。


「…咲良ちゃんとは仲良かったんだ」


「うん。咲希と二人でいつも妹欲しいね。て言うてて。ほんであの子、私らにようなついてくれとって…」

と言って花音はまたしゃがみこんだ。


そんな様子を、影で伺っている男がいた。



遼と一は、そんな花音を見て、見につまらせる思いになり、言葉を詰まらせていた。




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