19日深夜 キツネども
「期限切れって…だから崩壊するって言ったのか」
オイナリサマが頷く。
「アナタには素質があるの…それがパークを救う鍵になるのよ」
「…もし俺が協力しなければ?」
「間違いなく全て消える…人間が外から持ち込んだモノ以外の全てが」
全てが消えるって…
あのドールや雪景色、地面も全て無くなる…?
「…どうすればいい?」
「…当日よ…25日当日にやるわ。アナタは寝たらこの島で日が暮れる前に山の麓に来なさい」
「それだけでいいのか?」
「あとで残りは伝えるわ」
オイナリサマが手を振ると暗い中からまた吹雪の中に戻ってきた。
「あ…最後にひとつ」
「え?」
「あまりフレンズとは仲良くならないことね」
オイナリサマは出てきたときと同じように吹雪を纏って消えようとした。
手を掴んで引き止める。
「待った!…俺の質問に答えて」
「何かしら」
「ドールが…雪の中で倒れてたんだけど…あそこってこないだアンタがドールを眠らせた所だった…一体全体何をしでかしたんだ?」
「偶然ね」
オイナリサマは掴まれた腕を振り解くと雪の中に消えていった。
それにしても酷い吹雪だ。
せめて暖まれる場所はないものか…
「スマホ…ないから調べられん…」
Siriに頼もうかと思ったが無理だった。
近くをウロウロしてみると、そこには大きめのかまくらがあって、中にこたつまであったが誰もいない。
「あのー!…風で聞こえないか…まあ寒さに震えてる人がいるわけだし怒らないだろ…」
このお話は別に例の温泉旅館とかと繋がってないし豚になったりはしないだろう…
こたつはコンセントが必要ないタイプだった。
スイッチを入れて中に閉じこもる。
「あ〜…快適すぎる…」
こたつで寝ると風邪引くらしいけど…いいよね…
「だれ…このひと…」
「知らない知らない!キタキツネがかまくらに連れこんだんじゃないの?!」
「ええ?!ぼくじゃないよぉ…」
外から何か会話がぼんやりと…
「大丈夫…?死んでないわよね…」
「勝手に殺すなし…」ムクリ
「「ぎゃぁぁぁぁっ!!?!?」」
そこら辺にあったありとあらゆる物を投げつけられた…痛い。
「で、誰ですか…け、警察呼びますよ!」
「えぇ…ちょっと待ってって!」
俺は座敷の上にいる。
畳は暖かかった。
「べ、別に怪しい者では…」
「ぼく知ってるよ、それ怪しい者がいうためのセリフでしょ」
冷や汗が流れてくる。
相手は二匹のフレンズのようだ。
両方双子くらいのレベルで似ている…キツネだろうか、もう見飽きた←おい
黒い方が電話を片手に振りかざしている。
既に電話にコードが打ってあるようだが…肝心のコードは119だった。
「い、いや凄い吹雪だったから少し暖まれるかと思って勝手にかまくらを使わせてもらってました!本当にすみませんでした!」
手を合わせて謝ってみる…
チラッと顔色を伺うが黒い方はまだ電話を下ろしていないようだ。
「…なんでギンギツネはこの人を引っ張ってきたの?」
「吹雪のなかで寝てたら流石に私のかまくらでも凍え死ぬし…アナタの友達だと思ってたのよ…」
茶色い方のキツネのフレンズは頭にボウルを被って卓球のラケットを二刀流のように構えている。
「え…えと…ここどこですか?」
「ここは雪山のキツネ旅館よ…アナタは何者?」
めちゃめちゃ怪しまれている。
「お、俺はダ…タクミです…旅行者ですよ!」
最近聞いた名前で誤魔化す…
電話と黒いキツネの指が近くなる。
だが繋がる先はどうせ()
「本当にお客さん…?パスポートはある?」
「あー…そういえば無くしちゃってどうしようかと思ってちょっとまって押さないでください」
本当に救急の人に迷惑だ…
「本当に失くしたんです!信じてください…!」
「…そんなに言い張るならいいわ…これで決めるわ!ウソミツケールGよ!」
おいどこからその箱取り出したし。
四次元ゲフンゲフンでもあるんですか?
「これを使えばアナタの言動が嘘かどうかなんて一髪でわかるんだから!さあ覚悟なさい…!」
黒い方が茶色から卓球のラケットを渡されて、恐る恐る構えながらウソミツケールGとやらを寄越した。
「ん」
「ん…?」
「頭につけるのよ!」
「はいはい…」
やべぇー…
「アナタは本当に旅行者なの?」
「お、俺は…」
「あれ、ダイチ君じゃないか」
後ろを振り返るとあのドールを助けた時の男の人がいた。
「…アナタ…タクミじゃないの…?」
「いいえタクミです」ピピーッ
頭の上のサイレンが激しく鳴った…
「…それ僕の名前だなぁ…」
「アナタでしたかぁ…」
「ダイチ…アナタは旅行者?」
「もちろんですとも」ピピーッ
オワタ\(^o^)/ワーイワーイ
「ま、まぁ彼は不審者じゃないし…大丈夫だよ」
「うう…アナタが言うなら…」
きまずーい…
「う、嘘ついてすみませんでした…ダイチです」
「う、疑って申し訳なかったわね…ギンギツネよ」
「キタキツネだよ」
キタキツネはギンギツネを盾にしている…
というかここ旅館だったやん。
豚になってなくてよかった(神隠し感)
「そういえばタクミさんって飼育員ですよね…なんで旅館に?」
「い、いや…まぁ…じゃあまたこん「タクミー!」
あの時にいたふともも露出フレンズ…
ほほう?
ほほうほうほほうほほほうほううほほう?(悟り)
「お察しします」
タクミさんは少し顔を赤くしている。
「ねぇタクミ!あっちに変なゲーム!」
「はいはい、はしゃがないで…」
フレンズに手を引かれてタクミさんが行く…
「待ってください!」
「どうしたんだい?」
「…その…こないだ僕が眠ってるって言いましたよね…どういう意味で言ったんですか…?」
タクミさんが微笑みながら左腕の手首をさすっている。
自分の左手首をみるとそこには紐のような跡がついていた。
「こ、これって…タクミさん?」
タクミさんはよろめきながらフレンズに手を引かれて行った。
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