桜を見にいかないと

『桜のシーズンがやってきましたね〜。全国各地から、桜の開花情報が届いています〜。お花見をしてみるのもいいかもしれませんね』


 ラヂオから流れるパーソナリティの声に、彼女はわかるよという雰囲気で何度も頷いた。吸っていた煙草をトントンと、灰皿に落とし、僕の方に向き直った。

 口から紫煙を溢れ出しながら、言う。


「桜生えてないところにピクニック行かへん? なんかいい感じの花畑あるやろ。どっか」

「うん、調べておくよ」


 彼女のこういうところに惚れたんだと再確認した。

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