星を掴めよ
祖父は言った「星を掴めと」おそらく祖父は、夢を諦めるな追い求めろという意味で言ったのだろう。だが、他の意味が込められている気がした。
祖父が急死し、通夜の帰り、私は夜空へ手を伸ばした。何かに導かれるよう、近所の山を登った。母から電話があったが、「少し風に当たりたい」とだけいい、まっすぐ山を登る。
山の頂上に生えた木のうち、登りやすそうなものを選び、木に登っていく。天辺の枝に腰掛け、星が一面に咲いている夜空に手を伸ばす。祖父が言っていた意味を知りたいと願いながら。
木以外の何かが手に当たる感触があり、見ると、紙が結ばれている。紙を解き中を読むと、
『星は掴めたか? 時には冷静になり、普段行かないところで深呼吸するのもいいんだよ。わかったかい孫よ? さてここでじいちゃんからの連絡だ。なんでこの木に紙が? とおもっていることだろう。これは、全ての木に結び付けられている。じいちゃんは頑張ったよ。多分もう死んでいるだろうが、最期に褒めてくれ。そして孫である君のこれからの人生が豊かで落ち着いたものでありますように』
読み終わる頃には涙が溢れていた。地面に落ちていく涙が煌めいている。落ちる涙を手で救う。
「じいちゃん星を掴んだよ。頑張るね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます