あの頃の願い

 十二歳の頃、父から終わりのない暴力を受けている最中にふと思った。人生このままだったら二四歳で自ら命を絶とうと。

 一五歳の時彼氏ができた。十八歳の時家を飛び出し彼氏と同棲を始めた。二十歳で子供を産み、今年で二四歳になる。

 私は愛しい子供を撫でながら、隣で楽しげに小説を読んでいる旦那を見る。人生捨てたもんじゃないよ。と十二歳の頃の自分に言う。


「自分の選択次第だよ。私は幸せを自分で掴んだからね」


 旦那が私に視線を移す。私は旦那に微笑みかけ、言う。


「あなたのお陰でね、生きる希望を手に入れたって話さ」

「奇遇だね。俺もだよ。これからも末永く一緒にいよう」


 旦那の言葉に涙が溢れる。十二歳の頃の悲しさからの涙ではなく、幸せから溢れる涙が。

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